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私はここにいる---人は何故ここに居るのだろう---ふと思う時がある 〈カフェ7〉
ふと思う時がある。
--- 何故ここに居るのだろう。
開店して数日が過ぎた。特徴があるわけでもなく、気ままに店を開け気ままに店を閉める。休みたい時に休んで。たくさんのお客さんを望むわけでもなく、そんな感じで良かった。
だけど、店を開け何日かが過ぎ何人かのお客さんを見て来てふと思った。
--- 私は何故ここに居るのだろう。
特徴のあるお客さんもいる。私といろいろ話すお客さんもいる。かと思えば静かに入って来て静かに帰るお客さんもいる。ただのよくあるカフェ。ここにカフェをオープンして、そして私がここに居る。
お客さんは、このカフェが気に入って入って来たのか、ただふらっと入って来たのかいずれにしても --- ここに私は居る。
例えば、店の感じが気に入って入って来たとしても店に入れば私を見る。たまたま入って来ても私を見る。私を見てまた感情が入り店の中を見てまた感情が入る。更に私と話す機会があればまた私と関わる。
お客さんは多分たまたま入って来て都合が良ければまた来てくれる。店だとか雰囲気だとか私だとかに拘るお客さんもいれば、まったく関係無く利用するお客さんもいる。だけど、私はここに居る。
お客さんからしたら私の存在は、ただの店のママ。更には話を聞いてくれるママなのかもしれない。だけど、私はここに居る。
そして、私からしたら、お客さんはここに来てくれるお客さん。だけど気づけば日を増すごとに、人と関わる度にお客さんから笑顔や感動、喜びを貰えていた。そして、私はここに居る。
人は人との出逢いの中で何かを感じ何かを得る。確かに良い事ばかりではない。不快を感じたり嫌な思いをする事もある。だけど、必ず人は人と関わる。タイミングなのか縁なのか運命なのか。
ただ私はここに居て今は感謝している。まだまだわからないけれど、確かにただの私の癒やしの場から癒やしを頂ける場になっている事を感じたから。
--- 私はここに居る。
そして、私がお客さんの癒やしの存在になれたら私はもっともっと笑顔が増え感謝しながら更に、ここで出逢っただけの人と人が癒やし合えるようになるのだろうか。
--- 私はここに居る。
--- ありがとう。
思わず心の中で微笑んでいた。
開店した日から雪は降っていない。空でさえいろいろな顔を持っている。人も私もいろいろな顔を持っている。
なるべく笑顔でお客さんを迎えたい。
--- いぇ。もう笑顔になって迎えている私がそこに居る。
カランカラーン。
ドアが静かに開いた。
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