似た者同士って引き合うのかな?。ふふっ♡ここも《リモートワークカフェ》☕になりそうかな♡仕事と憩いの場を求めて☆〈カフェ55勇樹5+♂〉
カランカラーン。
勇樹さんが、テーブル席でリモートでの仕事を始めて暫くしたら、店のドアが開いた。
勇樹さんがここで、リモートワークを始めて2回目だけど、その時にたまたまなのか今まではお客さんは入って来なかった。
だから、店のドアが開いた時に勇樹さんは一瞬ドアの方を見た。
「いらっしゃいませ」
店に入って来た人は、初めてのお客さんだった。
テーブル席では、勇樹さんがチラチラ、入って来たお客さんを気にしてドアの方を見ながら仕事をしている。
入って来たお客さんは、やっぱりジーンズに薄手の黒い長袖のTシャツ、意外とラフな格好。40代ぐらいのサラリーマンに見える。
今日は平日。お休みかなと思いながら。
「どうぞ、コーヒーしかありませんけど」
そう言ってニコッと笑った。
すると、その男性は
「あの、ここってパソコン使えるんですか?」
チラチラ、勇樹さんを見て言った。
「あ、はい。お客さんも入って来ますが、大丈夫でしたら大丈夫ですよ」
そう私が言うと、またチラチラ勇樹さんを見て、
「あの、リモートワークって大丈夫ですか?」
そう聞いて来た。
「大丈夫ですよ」
私が言うと、勇樹さんがチラッと私を見た。
何だか、罰が悪そうな犬みたいな表情だ。
--- ぷっ。
私は思わず吹き出しそうになったけど、こらえた。
「とりあえず座って下さい」
私がそう言うと、男性はカウンターの左側に座った。
私は、いつものようにおしぼりと水の入ったグラスを置いて、コーヒーの準備を始めた。
「ママさん、カップ可愛いですね」
そう男性が言った先には、そう言えばさっき勇樹さんが飲み干した、オレンジ色のパンダの勇樹さんマイカップを洗ってカウンターの所に置いておいたカップがあった。
男性は、そのカップを見て言った。
「あ、あの。これはお客さんのマイカップなんですよ。持ち込みも自由ですし、ご希望があれば、ここにあるお好きなカップにでも入れますよ」
そう私が言うと、
「なんだ、残念。このパンダのカップが可愛いなぁって」
男性が言うと、さり気なく聞こえていたのか、勇樹さんが今度は、はしゃいだ猫みたいな顔をした。
嬉しかったのか。
「じゃ、ママさん。藍色のカップがいいかなぁ。お願いします」
そう言った。
「はい」
私がカウンターに立って、コーヒーを入れていると勇樹さんの顔が見える。
やはり気になるのか、勇樹さんはチラチラこちらを見ている。
「実は、リモートワーク中なんですが、家だとうるさくて」
そう男性が言った瞬間
---ん?。
見ると勇樹さんが、今飲んでいた水を吹き出した。
慌てて、拭いている。
--- ぷっ。
ついつい、私まで吹いてしまった。
勇樹さんも、まったく同じく家がうるさいからここで仕事をしている。
ただ、勇樹さんはテレビばかり見る奥さんの笑い声や、騒ぐ声がうるさいのだが。
うるさい理由は同じかはわからない。
「あのぉ」
「すいません。実は、後ろのテーブル席に座って居るお客さんもリモートワークなんですよ」
「やっぱりですか。入って来て思いました。だから聞いてみたんですよ。家だと、うるさいのとストレスが溜まって、気分転換に来てみたんですよ。静かそうなお店に」
すると、またテーブル席に座って居た勇樹さんが今度は何だか赤ベコみたいに頷いている。
私は、おかしくて笑いをこらえるのがやっとだった。
「そうだったんですか。大丈夫ですよ」
私は、勇樹さんも事情が同じなのだと言っていいものなのかちょっと考えて、淡い藍色のカップにコーヒーを入れて、
「コースターも選べますよ」
そう聞いて、男性が選んだ橙色のコースターの上に置いた。
それでも、勇樹さんは黙って仕事をしている。
「ママさん、美味しいですね。このコーヒー」
「ありがとうございます」
男性は、ホッとため息を漏らすようにコーヒーを口にした。
まだ、今来たばかりの男性だから、私は静かに見守って居たけれど、勇樹さんを見るとついつい笑ってしまいたくなる。
その男性は、やっぱり仕事が気になるのか
「ママさん、ありがとう。ごちそうさま。また来てもいいですか。もし大丈夫でしたら、仕事持って来てもいいですか?」
そう言って、コーヒーを飲み干した。
「はい。大丈夫ですよ」
私がそう言うと、嬉しそうに男性はお金をピッタリカウンターに置いて立ち上がった。
「ありがとうございます。ママさん。また来ます」
男性はそう言って、テーブル席の勇樹さんにも頭を下げて帰って行った。
すると、勇樹さん、
「あ~、緊張した」
そう言った。
「大丈夫でした?」
私はちょっと心配して聞いてみた。
「いやぁ、あまりにも私とそっくりだから。お水、吹いちゃいましたよ。家がうるさいなんて、似た人って居るんですね。何だか嬉しいような、私が見抜かれて居るような、変な緊張しちゃいましたよ」
--- 確かに。
思わず勇樹さんの事情も話そうかとも思ったけど、そのうち逢えば意気投合するだろう。
リモートワークも、いろいろなんだなぁと。
それから、勇樹さんは黙々と仕事をしていた。
このオレンジ色のパンダの勇樹さんのマイカップも、気に入ってたしね。
気が合うかもね。
「ねぇねぇママ。さっきのお客さん、私のマイカップ可愛いって言ってたよね」
嬉しそうな勇樹さん。
「言ってたわよ」
するとまた、赤ベコみたいに嬉しそうに頷く勇樹さん。
そのうち、リモートワークカフェになるのかな。
なんだか、ふっと笑ってしまった。。
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🌈☕いらっしゃいませ☕🌈コーヒーだけですが、ゆっくりして行って下さいね☘️☕🌈