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THOUSAND EYES "Betrayer"公開!~YU-TO的こだわりを徹底解説!~

どうも皆さん、YU-TOです。

本日6月1日、自分が所属するTHOUSAND EYESが来月に発売となるニューアルバムからの先行デジタルシングル、 "Betrayer" を発表した。

もう既に聴いてくれた方々も多いと思うが、非常にTHOUSAND EYESらしいスラッシーかつメロディアスな、"節" が炸裂した1曲に仕上がっていて、タイトルにちなんでの「全然裏切ってないやんけ!。」といった感想を数多く頂いている(笑)。

この曲は、自分が加入してから1番最初にデモが上がってきた新曲で、初期バージョンを聴いたのは何だかんだでもう2年くらい前になるだろうか?。

最初のデモを一聴した時に自分が感じたことは、「うん、千眼の曲だ。」という当たり前かつ直球なものだった(笑)。

目新しい要素はないけれど、数秒聴いただけで "千眼" と分かるリフやリズム展開がそこかしこに散りばめられていて、捉えようによっては "クセが強い音" とも言えるのかもしれない。

今回のアルバム『BETRAYER』は、自分にとっては "デビューアルバム" となる作品。

よって、この "Betrayer" が自分のドラミングが入った初めてのTHOUSAND EYESの曲として世に放たれたわけだが、この曲のドラム、如何だっただろうか?。

はっきり言って、素人が聴いても「凄い!。」と思えるような派手なドラミングは一切していない。

アルバム全体でも言えることだけど、今回は敢えてそういう "分かりやすく凄い" みたいな要素は排除し、"呆れるくらいにストレートなメタルドラミング" をするように心掛けた。

THOUSAND EYESに加入してから3年という月日が経ち、途中コロナ禍を挟みつつも、幾度となくリハーサルとライブを繰り返して、自分なりにこのバンドでのベストアプローチを考えていった結果が、この単純明快で直球なドラミングスタイルだったのだ。

もっと具体的に言うのであれば、THOUSAND EYESで自分が表現したいのは、"速いけど重い" ドラミングだ。

"重さ" と "速さ" 、それらを両立させるというのは非常に難しい。

この2つは、ドラムにおけるリズム表現においてもはや対立関係にあると言ってよく、どちらかの要素が増えれば必ず一方が犠牲になってしまうような間柄で、両方のバランスを維持していくには、他の何かしらの要素を捨てなくてはならなかった。

だから、今回の作品では小技的なテクニックは一切使わずに、フィルインもなるべく難しく聴こえないようなものにすることを意識してフレーズを構築していったのだけど、それが最も顕著に出たのが今日公開された "Betrayer" かもしれない。

多分、このドラミングは表面的に音符をなぞるという意味でコピーするのであれば、下手をすればその辺の大学の軽音サークル生でも叩けるくらいなものだと思う。

ただ、自分以外のドラマーが叩いても、恐らくこういう "ノリ" にはならない。

真似しようと思えば真似出来なくはないだろうが、少なくとも、「こういう音とノリでアプローチしよう。」とは今のエクストリームドラマー界では誰も思わないだろうし、思ったとしても実践はしないだろう。

速く、正確に、テクニカルな事や、聴覚的にも視覚的にも派手なことが演れるドラマーだったら、日本にも海の向こうにも大勢いる。

だから、そこの戦場で自分が勝負しても、もう勝つことは出来ない。

しかし、速い中でも極悪に、ヘヴィに、フレージングではなく、それを "タイム感'' でもって表現出来るドラマーは、今のエクストリームメタル界隈では数少ない。

自分は、そこの境地に辿り着きたいと常に考えていて、まだまだ "完成" とは言い難いけれど、今回の作品はそこに一歩近付くことが出来たのではないだろうか?。

音作りの特徴は、とにかくスネアのピッチが低く、スラッシュビートでも胴鳴りが聴こえてくるような音作りと鳴らし方にこだわった。

シンバルはいつもライブで使っているままの枚数で、ベルを使用するのを最小限に抑え、チャイナシンバルは "カーン!" というよりは "バシャーン!" という余韻が多いタイプの音の物を使っている。

これにより、シンバルをあくまでも "色付け" 程度な役割にして、キックとスネアに主軸を置いた音のバランスにすることが出来たと思う。

ミックスの最初の段階では、チャイナシンバルの音が "ここぞ!" という時に全然抜けてこなくて困ったのだが、最終的には全シンバルクッキリ聴こえる音作りにエンジニアHiroさんがしてくれた。

グルーヴ面で重視したことは、"スタスタ" という小気味良いスピード感があるスラッシュビートではなく、"ズダズダ" と地を這うようにして疾走するスラッシュビートを叩くこと。

そんな力強いスラッシュビートが織りなす "ヘヴィな疾走感" を、Betrayerでは表現したかった。

「この手の音楽にしてはスネアのサスティン長いよね?。」とレコーディングの際にHiroさんから言われたりもしたが、音の長さをたっぷり感じられる音作りをしないと、重いビート感というはなかなか出せないものなのだ。

本当に今回の作品では、前任者のFUMIYAさんのドラミングを一切意識していない。

過去曲を演奏する際は、どうしても彼が叩いたアプローチをなぞる必要が出てくるけれど、今回に至っては「FUMIYAさんならこうするだろうな。」みたいなアプローチは全くの皆無と言って良いほど叩いていないと思う。

むしろ、ここで自分が彼を匂わすフレーズを叩いたら、逆に彼に失礼になるだろうとすら考えた。

別にライブサポートでもピンチヒッターでもなく、 "一員" として自分はこのバンドに彼に代って参加したのだから、自分らしいプレイを堂々と披露すれば良い。

バンド側にも、それを求められているとも感じたし。

だから、もう今回は今までの作品とは全くベクトルが違うドラミングにはなっていると思う。

仮にもし「前のドラムの方が良かった。」と言われても仕方なさ過ぎて、3周まわって何も思わないと言うか、もはや「でしょうね。」としか言うことが出来ない(笑)。

しかし、このドラミングこそが、自分なりの "千眼ドラミング" で、デイブ・ロンバード、ポール・ボスタフ、ヴィニー・ポール、ロイ・マヨルガ、ジョン・テンペスタといった先人達から受け継いだDNAを昇華した結果なのだ。

新作『BETRAYER』が、この後の自分のドラマー人生に何をもたらしてくれるのかはまだまだ分からない。

だが、自分なりのやり方で "メタルドラム" と向き合ってきた約23年間と、THOUSAND EYESでの3年間で培ってきたものの全てを投入した作品であることは間違いない。

そんな "今の自分" の全てが詰まった『BETRAYER』の一端を味わえる先行シングル "Betrayer" を、アルバム発売までの約1ヶ月半のあいだ聴き狂っていて欲しい。

まだまだヤバい曲は沢山ありますよ、、、(ニヤリ)


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