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YU-TOが叩いた21作品

どうも皆さん、YU-TOです。

スカッとしない天気が続いていて、夏の終わりを感じる外の気温には寂しさも感じてしまう。

そんな中でも今月は久しぶりにTHOUSAND EYESのライブがあったり、新プロジェクトHAINTの次回作に向けたレコーディングがあったりと、なかなか充実した音楽ライフを過ごすことが出来ている。

ここ最近は、Dark Urban Boysgroupの音源をリリースしたり、HAINTの制作が良い具合なスピード感で進んでいたりと、自分の音楽活動の中心が"作品作り"にシフトしてきているように思う。

そんな中で、ふと「今まで自分がドラムを叩いてきた作品ってどれだけあるんだろう?」と考えてみたのだが、もう確実に10枚は超えていて、中々の数の作品を世に残してきているなと自分でも少しビックリしてしまった。

もちろん、スタジオミュージシャンを専業にしている人には到底及ばない数ではあるし、多ければ良いという訳でもないのだが、その事実は少々誇り高いというか、何となくではあるが感慨深さのような気持ちも感じてる。

「あれ、聴いてましたよ!」と人から言ってもらえる作品から殆ど世に出回っていない作品まで色々あるが、やはり自分が参加した作品には特別な思い入れがあるし、聴き返す事でレコーディング当時を思い出すことが出来たりするもの。

そんな音楽を通して自分の人生を客観視出来るような感覚は、作品を残してきたミュージシャンにしか味わえない特殊な感覚だ。

自分は昔からこの感覚がとても好きで、それが音楽を続ける原動力になっていたりもする。

ライブは"その瞬間の自分"を表現することが出来ると思うのだが、作品というのは"その時代の自分"を表現することが出来るのだと思う。

作品作りというのは、その時に自分が感じていた事や観ていたもの、聴いていた音楽などが色濃く反映されるものだ。

例え自分が0から携わった作品で無いとしても、そこで吸収した事がその後の自分のプレイを大きく変え、思い返した時に"作りながら学んだ"というか、そこでのアプローチが後の自分自身の個性にも繋がったと感じられることもある。

作品作りには、そのような深い魅力が沢山詰まっているのだ。

今回の記事では、今まで自分が叩いてきた作品を振り返ってみて、そこから学んだ事やレコーディング当時の思い出、今聴き返してみて感じる事を作品ごとに綴っていこうと思う。

一応、今回はストリーミングサイトやYouTubeなどで聴くことが出来る作品だけを抜粋して選んでいるので(※一部例外あり)、もし良かったらリンクを添付するので一聴してみて欲しい。

名前すら聞いたこと無い作品もあるかもしれないが、自分がドラミングを残してきた作品達に是非ともこの機会に触れてみて頂けたら、とても嬉しく思う。

さてそれでは、振り返って参りましょう。

※掲載順は一応、リリースの時系列通りになっています。

#1.INFECTED MALIGNITY 『DEMO 2005』

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実はこの作品の前に、DEFIANT MANNERというバンドでデモテープ(今では信じられないけど本当にカセットテープだった 笑)をリリースしているのだが、もう恐らくどこにも音源は落ちていないので、割愛させて頂いた。

そんな訳で、記念すべき1作品目はこのINFECTED MALIGNITYの『DEMO 2005』。

"2005"と明記してるが、レコーディングは2004年の12月。

12月とは思えない、春のような暖かい陽気の日に録った事を何故だかよく覚えている。

"高円寺アフタービートスタジオ"という普通の音楽練習スタジオに機材を持ち込んでボーカルも楽器も1日で全て録り終え、ドラムに関しては本当に本当の1発録りで、クリックも未使用。

エンジニアは当時の国内デスメタル界隈のレコーディングを一挙に請け負っていたDISCONFORMITYの岡田さん。

今聴いてもかなり強烈かつクリアな音質だと感じるし、この時代のセルフレコーディングでここまで出来た人って国内では殆どいなかったんじゃないかと思う。

当時流行っていたスナッピーを抜いた"カンっ!"というスネアの音色が懐かしく、今聴くとなかなか気持ちの良い音だなと感じる。

それにしても当時の自分、ブラスト速い。というか、速過ぎ(笑)。

当時はリズムの理論なんて全くと言って良いほど理解していなかったし、フレーズも単調だけど、このブラストの速さだけは一級品だなと誉めてやりたい。

実際、この作品はネットに音源をアップした直後からすぐさま海外からも反応があり、記録は残ってないけれど、多分かなりの枚数が売れていると思う。

レコーディング費用も岡田さんのご好意でスタジオ代のみで無料だったし、CD-Rでのリリースでプレス代も殆ど掛かってないから、もしかしたら自分の人生で商業的に1番成功してるのってこの作品であるのかもしれない(笑)。

#2.INFECTED MALIGNITY 『THE MALIGNITY BORN FROM DESPAIR』

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『DEMO 2005』から殆ど間髪入れずにリリースした1stアルバム。

今回からエンジニアはDefiledやVomit Remnantsを手掛けたYellow Knife Studioの酒井さんが担当。

初めてちゃんとしたレコーディングスタジオを使用して録音をしたのがこの作品で、セルフプロデュースに悪戦苦闘しつつも何とか仕上げる事が出来た。

ドラムの音がかなり大きいミックスになっていて、リズムの甘さを露呈している箇所もあるが(苦笑)、そんな部分も今聴くと微笑ましい。

「もっとやれたはずだ、、」と完成した当時は感じていて、完成した時は充実感よりも悔しさの方が気持ち的に勝っていたような気がする。

未だに「好き」と言ってくれる人も多い作品ではあるが、自分はこの作品に関しては完成してから殆ど聴き返していない。

というより、聴けない。

アメリカの名門ブルデスレーベル、Unmatched Brutality Recordsからリリースされ、それなりに評価もされたが、もうこれが完成した時には完全に"ブルデス"に飽きていて、"自分達の型"にハマってしまったような単調な音像が聴いていて嫌になるのだ。

ただ、作品を聴いてくれるのは嬉しいし、"日本のデスメタルの名盤"としてこの作品が取り上げられているの見れば、多少鼻高い気分にはなれるのだが(笑)。

#3.INFECTED MALIGNITY 『RE:BEL』

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ブルデスに嫌気が差し、当時海外で流行り始めていたメタルコアの要素を大胆に取り入れた1作。

UNEARTH ,ALL THAT REMAINS,THE RED CHORDといったバンドからの影響を色濃く受けていて、ブルデスの匂いを残しつつもメロディアスなリフワークや凝った曲展開を随所に散りばめていて、一筋縄ではいかないハイブリッドなエクストリームサウンドを提示している。

当時のボーカルだった太田くん(後にINFERNAL REVULSION,PALMに加入)にもスクリームを変えさせて、録ったメンツこそ同じだが、1stの時とはもやは別バンドのようなサウンドスタイルに変貌した。

実はこの作品、今までの人生で1番よく聴き返している作品でもあり、レコーディング当時は19歳だったが、「なかなか良く頑張ったじゃねーか」と自分で自分を誉めてやりたくもなる。

ドラムのフレージングも1stの時よりも断然音楽的になっているし、まだまだ甘さは残るものの、リズムもかなりカッチリしてきているなと思う。

エンジニアは1stの時と同じYellow Knife Studioの酒井さんで、一緒に試行錯誤しながらスネアの音を作ったり、馬鹿話をして盛り上がったりと思い返してみると楽しい思い出が沢山ある。

アレンジが上手いことハマって「これはヤバい作品になるぞ!」という興奮をレコーディング中に何度も味わっていて、自分が"制作の楽しさ"を初めて知った作品でもあるかもしれない。

Myspaceに曲をアップしたら、音楽性が変わった事に対する誹謗中傷が凄まじく、決まっていたアメリカのフェスティバルも主催者側から「出ないでくれ」と言われてしまうほどだったが、Kerrang、Terrorizer、Decidelといった海外誌では割と良い評価を貰えていた。

専門学校時代に行ったハリウッド研修で、現地の本屋に自分達の広告やレビューが載ったマガジンを発見した時の嬉しさは一生忘れらない。

このアルバムは自分の周りからの評価が非常に高く、「当時聴いてましたよ!」と言ってもらえることも多い作品。

この『RE:BEL』に関しては各ストリーミングサイトでも聴くことが出来るので、是非探してみて欲しい。

#4.QUIXOTIK 『CHARGE TO NOTHING』

2008年にINFECTED MALIGNITYを解散させて組んだバンドがこちらのQUIXOTIK。

読み方は"クイゾティック"と読む。

音楽性は"カオティックコア"と呼ばれる事が多いが、正直何の音楽をやっていたか自分でもよく分からない(笑)。

当時、後に"djent"と呼ばれるスタイルが海外で流行り始めていた時期で、MESHUGGAHであったりだとかSIKTHであったりだとか、そういうプログレの入ったサウンドがやってみたくて始めたのがQUIXOTIKだった。

あとは偶然Myspaceで見つけた無名時代のPERIPHERYに衝撃を受けて、「こういうサウンドがやりたい!」と思い、彼ら独自の3連符を3連符に聴かせないようなリズムアプローチを研究してもいた気がする。

QUIXOTIKでの自分のドラミングは、"如何に人を乗らせないリズムを叩くか"を第1に考えていて、もう訳の分からない複雑怪奇なリズムをやたらと叩きまくっていて、今聴くと何を演っているのかが全く分からない(笑)。

QUIXOTIKは良くも悪くも実験的なバンドで、ライブの評価も低かったと思うし、お世辞にも上手くいってたとは言えない活動しか出来なかったと思う。

ただ、レコーディングやCDのプレス、フライヤーデザインなどを全部自分達で行うDIYな活動スタイルは凄く勉強になったし、何よりも楽しかった。

曲も複雑怪奇ながら"メロディの良さ"も大事にしていて(そこら辺はPERIPHERYからの影響)、今聴いても「良い曲だな」と思えるボーカルメロディが割とある。

実はこの『CHARGE TO NOTHING』の次にもう1枚作品を出しているのだが、それは完全に歌ものに寄った作風で、今考えてみると後のDark Urban Boysgroupにも繋がってくるような作品だった。

ただ、CD-Rでのリリースで殆どプレスしておらず、音源もネットに落ちていない程なので、ここで紹介するのは割愛させて頂く。

#5.INFECTED MALIGNITY 『ALL FOR UNGODLY DESIRES』

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2008年にINFECTED MALIGNITYが解散し、QUIXOTIKを始動。そこから何がきっかけだったかは忘れてしまったのだが、2010年だか2011年頃に「復活作を作ろう!」という話に太田君となり、勢い任せに作ったのがこちらの作品。

完全自主レコーディングで、200枚くらいしかプレスしていないが、今聴いてみると「INFECTED MALIGNITYの最高傑作だな」とごく普通に感じる。

高音スクリームを担当してるのはQUIXOTIKのボーカルであるコウヘイ。

実は2007年に太田君が一度INFECTED MALIGNITYを脱退した時にコウヘイがボーカルを務めていた時もあり、彼の歌(叫び)が入った唯一のINFECTED MALIGNITYの作品でもある。

モダンな質感のある音色で、勢いと整合感を併せ持った洗練されたデスメタル作品だと自負出来て、自分のドラミングにもやっと"らしさ"のようなものが出てきているように思う。

完成してもしばらく放っておいた作品だったが、2012年の復活ライブの際に会場で販売し、即完売。

ライブ後に卸したオンラインショップでも1日で売り切れた、かなりレアな1枚。

というか、多分自分も原盤を持っていない(笑)。

見つかったら、配信にでも出してみようかな、、。

#6.DEATH I AM 『A SLAUGHTER YET TO COME』

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自分が参加したDEATH I AMの唯一の音源。

デモ作品的な扱いでプレス数も少ないし、ネットや配信に音源は無いが、一応紹介だけはさせてもらう。

確か1曲目の"A Beautiful Wasteland"はギターのShogoがほぼ全部作った形で、"Myth of Progress"はスタジオでジャムりながら作ったような記憶があるのだが、定かでは無い。

DEATH I AMで"既存のバンドに加入する"という事を初めて経験し、一緒に曲作りをしていく中で、"自分が思うカッコ良い"が全てでは無いんだなという事を学べた実りある制作で、同世代のメンバー達との意見交換はとても刺激的で楽しかった。

この作品に関しては、メンバーでレコーディング後飲みに行ったり、作業そっちのけでふざけた話をした思い出の方が音そのものよりも鮮明に自分の中に記憶されている。

何だか自分にとっての"青春の1ページ"というか、そういう類の淡い思い入れがある作品だ。

DEATH I AMのメンバーとは未だに交流があるし、何せHAINTも自分の後にDEATH I AMのドラマーとなったKAZ君とやっている訳だから、自分にとってDEATH I AMって不思議な縁があるというか、ここでの活動が無かったら今の自分は確実に存在していない。

家に音源があるのか少々怪しい1枚だが(笑)、探して聴き返してみたいと思う。

#7.INFERNAL REVULSION 『INFERNALLY REVULSED』

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DEATH I AMを抜けた後に幾つかのバンドのサポートを経て、2013年INFERNAL REVULSIONに加入。

先にバンドに加入していたINFECTED MALIGNITYでも一緒だった太田君と共に曲を作り上げ、完成させた音源がこちらの作品。

ハードコアやデスコアの要素も多分に取り入れ、変拍子的アプローチも随所に取り入れたサウンドで、かなり強烈な出来栄えになったんじゃないかと未だに思っている。

STUDIO PRISONERのヒロさんによる音作りも流石の一言で、クリアさと荒々しさのバランスが絶妙なドラムの音色は「凄まじい音だな、、」と今聴いても驚愕。

特に胴鳴りが強烈に響くスネアの音はブルータルそのもので、INFECTED MALIGNITY時代から突き詰めてきた自分にとっての"理想のデスメタル"が具現化され、更新された渾身の1作だ。

#8.INFERNAL REVULSION 『PROJECT MASSACRE』

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アルバムリリースに先駆けてリリースされた2曲入りのシングルCD。

バンド史上初となるMVも制作して、かなり気合の入った制作を当時はしていた。

この曲は、太田君が元々作っていた曲を自分が一聴し、耳に残ったリフだけを取り出して展開を再構築して制作した記憶がある。

太田君とはINFECTED MALIGNITYの前身であるDEFIANT MANNER時代から共に活動していたが、一緒に制作をするのはINFERNAL REVULSIONに加入してからが初めてで、何だか不思議な気持ちになったりもした。

周りから「YU-TOが入ってINFERNAL REVULSIONの音が変わった」と言って貰えることも多いのだが、実はこれって結構理屈で説明出来る音の変化だったりもする。

自分が加入する前のINFERNAL REVULSIONの曲は、"オモテ"のリズムを強調するリフワークとリズムが主だった。

いわゆる"スラミング"と呼ばれるようなスタイルのズンズン系のリフがその典型で、そこに合わせるドラムものっぺりしたオモテ強調のリズムであることが多く、これだけだと洗練された"モダン"な雰囲気は絶対に出せない。

それを太田君と曲作りをしている際に指摘し、これまでのリフの感じも残しつつも、リフとそこに合わせるドラムを"ウラ"にアクセントがくるようなフレージングにして、疾走感とノリの良さを全面に押し出し、モダンな要素を積極的に取り入れていった。

カップリング曲の"Revalation"では特にそれが顕著で、従来のデスメタルでは聴く事が少ないウラを強調したリフとリズムアプローチのオンパレードで、新しいデスメタルサウンドの可能性を提示出来た1曲だったんじゃないかと自負出来る。

デスメタルって、基本的にメロディが無いからこういうリズムアプローチの変化が曲調の変化に色濃く出るものなのだ。

ただこちらの作品、ちらっと聞いた話だと多少プレミアが付くくらい手に入りにくい作品になってしまっているようなので、現物を手に入れるのは少し難しいかもしれない。

配信もやっていないし、"Project Massacre"はMVがあるけど"Revelation"は無いので、もし見つけたら是非聴いてみて下さい。

#9.財部亮治 『SEASON 1』

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ここへ来て、いきなり作品がポップになる(笑)。

人気音楽系YouTuberの財部 亮治さんの1stアルバムで、自分は"Stalking Vampire"と"Lead Myself"に参加。

ドラムは打ち込みなのだが、アレンジの段階から参加させてもらっているので意外と自分らしいプレイやアレンジが出来た2曲だと思う。

"Lead Myself"でのドラミングは、もう完全に往年のトラヴィスバーカーを意識した西海岸系ポップパンクフレーズの応酬。

MVにも参加させてもらったり、サポートドラマーとしてライブに出演させてもらえることになったりと、財部さんには今まで自分が活動していた所とは全く違うオーバーグラウンドな場所に連れて行ってもらえた。

この映像は『SEASON 1』のレコ発ワンマンライブ時のものなのだが、観てもらえば分かる通り、お客さんが皆んな女の子(笑)。

そんな経験は人生で初めてだったし、"暴れる"が正義なライブしかやってこなかった自分にとって、この初ライブの時は今まで感じた事の無いライブの良さというか、暖かい充実感を感じるライブが出来たのを鮮明に覚えている。

この『SEASON 1』は、そんな新鮮な気持ちを思い起こさせてくれて、2曲だけのサポート参加ながらも思い出深い1枚。

#10.UNDEAD CORPORATION 『NO ANTIDOTE』

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UNDEAD CORPORATION初参加作品。

自分が加入した時には収録曲の全てが完成されている状態だったので、ライブよりも先にレコーディングを行なった。

作曲者の社長が打ち込んだドラムのイメージを再現するのがとても難しく、今までの自分のセッティングでは物理的に叩くのが不可能なフレーズや、細かい要望も多かった為、とても勉強になった制作だったと思う。

ドラムの音色がかなり生々しく、ハイハットの微妙なニュアンスであったり、"バンっ!"という芯が太い迫力あるスネアの音は生音レコーディングだからこそ出せた要素で、個人的にとても気に入ってる。

CDショップでの全国展開やメディアへの露出、オリコンチャートインなど自分が今まで出来なかったことを経験させてくれた作品で、発売日に色々なCDショップに出向いて店頭での展開を見に行ったのは良い思い出。

この作品に関しては各ストリーミングサイトで聴く事が出来るので、まだチェックしていない人がいたら、是非一聴してみて欲しい。

#11.財部 亮治 『SEASON 2』

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財部 亮治さんの2ndアルバム。

このアルバムでは"KOKOMO"、"サプライズ"、"Life is Journey"、"月華咲く場所へ"の4曲で参加。

ライブでの定番曲となった"KOKOMO"での2バスプレイなどは自分の要素が出せたかなと思うし、"月華咲く場所へ"では作曲の段階から携わらせてもらっている。

このアルバムに伴うワンマンライブも1回目を超える盛況っぷりで、この頃になると財部さんのファンの方達も自分の事を認知してくれていて、客席から名前を呼んで頂けるようにもなって、とても嬉しかった。

ハッピーな空気に満ちた良い空気感の中でプレイ出来て、自分が経験したライブの中でも数本の指に入るくらいのベストライブだったように思う。

ただ、もう世の中の現状とか諸々の事情で、この瞬間が2度と戻ってこないかもしれないという現実がある。

それはとても辛いことではあるが、どういう形でやってくるかは分からないけれど、続けていればまたこれを超える楽しいライブが出来る日だってきっと来るとは心の片隅では信じていて、久しぶりにこの映像を観ていたは、とても胸が熱くなった。

財部さんって大体作品毎にこういうワンマンライブを開催する活動スタイルだったから、作品のまつわる思い出って制作過程よりもライブで見た光景であることが多い。

だからこそ、今振り返ってみると妙に感傷的になってしまったりもするのだが、そのライブの1つ1つが自分の中の大切な思い出として刻み込まれていて、あの時感じた充実感と多幸感は、恐らく自分の中から一生消えることはないだろう。

大切な思い出とセットになった、サポート参加ながらも大切な作品。

#12.DEVIL WITHIN 『DARK SUPREMACY』

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UNDEAD CORPORATIONの社長が主催したプロジェクトバンドの1stアルバム。

とにかく曲がエグ過ぎた(笑)。

もう全曲超速ブラストのオンパレードで、汗だくになりながらレコーディングして、何回も腱鞘炎になりかけたくらいの鬼のブルータルドラミングのオンパレード。

多分ドラムだけで言ったら自分史上最速のアルバムということになるんじゃないかな?。

プロジェクトを発表した当初から話題を呼び、ディスクユニオンのメタルチャートでは3週連続1位に食い込み、総合チャートでも4位にランクインするなど、セールス的にも成功した作品だった。

「もうしばらく速い曲は叩かなくて良いや、、」と感じてしまったくらいにスピードに振り切ったプレイだったが、3連ブラストやルーディメンツを駆使したスイッチングブラストなど、頭脳プレイ的なスピードドラミングも叩いていて、自分の"隠し技"を色々と出せた作品だったりもする。

「またやりたいか?」と聞かれたら「う〜ん、、」と思ってしまうが(プレイするのが辛いので、、苦笑)、自分のドラム史に強烈な爪痕を残した1作ではあると思う。

#13.財部 亮治 『SEASON 3』

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財部 亮治さんの3rdアルバム。

自分は"君とハイボール"、"届け"の2曲で参加。

"君とハイボール"は自分史上最もシンプルなプレイで、跳ねてるけどあからさまに跳ねたドラムにはせず、ベースと交わることで"跳ね"を作り出すアンサンブルに挑戦している1曲で、割と上手いこといって、心地よいグルーヴを出せたんじゃないかと自負している。

一方"届け"は真逆のドラミングで、パンキッシュな荒々しさがある勢い任せな前のめりプレイで曲をグイグイと引っ張る。

この"届け"を聴くと、何だか妙に以前住んでいた家に引っ越した時の事を思い出す。

家周辺の景色や店、当時足繁く通っていた銭湯で見た何気無い光景が鮮明に自分の中に蘇ってきて、何故だか少し寂しい気持ちにもなる。

『SEASON 3』に伴うワンマンライブがあった年、プライベートでとても辛い事があった。

ただ、ライブに向けてのリハーサルはとても楽しくて、辛いことを忘れさせてくれる良い気晴らしになったし、ライブ本番は集中とリラックスのバランスが完璧な状態でプレイ出来て、恐らく自分史上最も良いプレイをしていたんじゃないかと未だに感じる。

"残香"や"NOT ME"など、自分が参加していない楽曲もとても良くて、ライブでも楽しんでプレイする事が出来た。

こちらの作品は配信で聴けるようなので、未聴の方はぜひチェックしてみて下さい。

#14.ALICE 『CARRY ON』

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作品のサウンドプロデュースを手掛けたSTUDIO PRISONERのHIROさんからオファーを受けて、"Carry On"、"Memories In My Heart" 、"Star Road"の3曲で参加。

"Carry On"ではいつもの調子なヘヴィドラミング、"Memories In My Heart"はメロスピ的なドラミング、"Star Road"ではポップス的なアプローチを押し出したドラミングとバリエーション豊かなプレイが出来て、制作がとても楽しかった。

HIROさんと2人でフレーズを練り上げていったのだが、曲全体を俯瞰して、ドラムをどういう位置に持っていくか?という視点でフレーズを構築していく作業はとても勉強になったし、今の自分のプレイにも活かされていると思う。

メタルの領域に入るサウンドながらも"歌モノ"であるので、激烈さを出しながらも一歩引いて、歌の良さを引き立てるようにプレイする事が必要で、そこの押し引きは難しかったが、今聴いてみると"自分っぽさ"みたいな要素もしっかりと感じるし、良い結果に繋がったのではないかと自負している。

#15.UNDEAD CORPORATION 『FACE THE FATE』

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HONE YOUR SENSEとのコラボ楽曲。

2018年にドラムは録り終わっていたのだけど、諸々の事情でリリースが2020年になってしまった。

スピードとグルーヴのバランスが絶妙な、割と自分らしさが出せたと感じるお気に入りの1曲で、サビのタムを使ったパーカッシブなプレイは往年のロイマヨルガを意識して作った覚えがある(笑)。

MVも非常にカッコ良い出来栄えで、1度はライブでプレイしてみたかった曲だ。

コロナ直前の奇跡的タイミングでMV撮影を終えられて、この曲をしっかりとした形で発表出来たことは奇跡に近く、このタイミングを逃していたら、もしかしたらお蔵入りになっていたかもしれない。

漢くさい正統派なスピードメタルコアサウンドは非常に自分好みで、いちリスナーとしても大好きな1曲。

#16.TEARS OF TRAGEDY 『TRINITY』

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TEARS OF TRAGEDYの4thアルバム。

THOUSAND EYESのメンバーでもあるTORUさんより声を掛けてもらい、サポートとしてほぼ全曲でレコーディングに参加することになった。

TORUさんの弾き出す複雑なリフに沿ったプレイや、ジャズやプログレ的なアプローチも出てきたりと、DEVIL WITHIN等とはまた違った難しさがあった作品。

「自分らしさが出せたか?」と聞かれたら微妙なところだが、TORUさんやHAYATOさんのドラムへのこだわりを具現化していく作業は学ぶ事が多くて、「作曲者はドラムのどういった部分を聴いているのか?」という事が2人との作業で何となく見えてきたりもした。

制作が緊急事態宣言真っ只中のことで、「これからどうなっていくのかね?」なんてことを話しながら作業していた事だとか、MV撮影の際にベースサポートを担当していたYojiさんと空き時間にサウナに行って、帰りにTORUさんも交えた3人で寿司を食べた事だとか、音楽とは別な楽しい思い出も色々とある。

各楽曲に関することや、制作での話は激人探訪スピンオフでのTORUさんへのインタビューで色々語り合っているので、そちらもご参照下さい。

#17.UNDEAD CORPORATION 『Everything Will Freeze Ⅱ』

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東方カバー時代の人気曲である"Everything Will Freeze"の続編的1曲。

DEVIL WITHIN的なスピードプレイの応酬で、2バスシンクロパートはどことなくFEAR FACTORYを彷彿とさせる。

ただ、この曲に至っては制作に関する記憶が殆どない(笑)。

自分が叩いているのは間違いないのだけど、もうデモを聴いて譜面を起こして、物の一瞬で完成させてしまい、データを送った際に社長から「早っ!!」と言われた事だけは覚えている(笑)。

再度聴いてみて思うのは、こういう速い楽曲でもスピーディーな16分フィルインだけでなく、ラーズウルリッヒ的な8分フィルも入れてくるところが自分っぽいなとは感じた。

ただ、今すぐに1曲通して叩けと言われても記憶に無いからもう1回譜面を起こさないと絶対に叩けないだろう(笑)。

#18.UNDEAD CORPORATION 『GIANTS』

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True Damageのカバー曲。

この曲は割と覚えていて、叩くのがとても楽しかった。

1箇所、ラップ調のスクリームとシンクロするようにフィルインを入れている箇所があるのだが、そこは完全にトラヴィスバーカーからの影響である(笑)。

曲半ばの6連符の1拍半フレーズは非常に難しくて、割と録るのに苦労した。

サビのグルーヴィーなビートであったりだとか、2回目AメロでのTRAP的ハイハットワークはメタル系ドラムにはあまりないアプローチを仕掛けられたのではないだろうか?。

自分はカバーするに当たって初めて聴いたのだけど、原曲も非常にカッコ良いので是非聴いてみて欲しい。

#19.UNDEAD CORPORATION 『Devil Trigger』

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こちらもカバー曲。

ゲームを全くやらない自分は名前しか知らないのだが、"Devil May Cry 5"のテーマソング(?)であるらしい。

最初聴いた時は「RAMMSTEINっぽい曲だな」と感じ、ダンサンブルなアプローチをしてみようと割とシンプルなフレーズでまとめた記憶がある。

テンポは速くないが、途中のシンクロパートが中々複雑だったりもして、そこそこ録るのに苦労した。

日本にはあまり無いようなサウンドで、ドラムプレイは重心の低いプレイを心掛けていて、案外バスドラムの位置とかはシンプルながらもそこそこ考えて作っていたりもする。

このくらいのミドルテンポって聴く分には気持ち良いけども、演るとなったらアプローチに苦労する絶妙なテンポ感で、割と迷いながら採譜していたのを覚えているのだけど、1度固まったら気持ち良くハマってくれて、良い効果を曲にもたらせられたとは思う。

#20 Dark Urban Boysgroup 『CREMATION【FIRE SIDE】』

名称未設定プロジェクfireside

もうDark Urban Boysgroupに関してはnoteで散々記事を書いてきたのでここでわざわざ説明するまでもないが、一応ここにも載せておく。

元々は2012年に始めたバンドであったのだが、諸々の事情で活動は頓挫。

そして、2017年頃に同じ名前だが違うメンバーで始めたのがこのFIRE SIDEでのDark Urban Boysgroup。

古き良きラップメタルサウンドという感じのサウンドで、曲によっては生音1発録りでドラムを録音した曲もある。

ジャムセッションから生まれた曲が殆どで、作り込まれていないラフな雰囲気な作品だけども、人生で1枚はこういうアルバムを残しておきたかったという憧れは昔からあった。

ぶっちゃけ、周りからの評判はあまり良くないアルバムではあるが、分かる人にはこの魅力が分かるらしく、人によって評価が真っ二つに分かれるような作品ではあるのかもしれない。

作り込まれてない、瞬間の音を詰め込んだリアルな音像が詰まった1作。

#21.Dark Urban Boysgroup 『CREMATION【URN SIDE】』

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2012年に結成した本来のDark Urban Boysgroupの音源を再ミックスした音源。

当時の自分がやりたかった要素の全てが詰まっている音で、売れなかったけど、多分自分の中での人生最高傑作は今のところこれ。

この作品に関しては、1曲単位でnoteに諸々を綴っているので、そちらをご参照ください。

これを超える作品を、今後の人生で作っていきたいと思います。

人からの評価じゃなくて、自分の中での"超える"ね。

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そんな感じで、わたくしYU-TOが過去に参加してきた作品を振り返ってみましたが如何でしたでしょうか?。

中には聴いていて恥ずかしくなるような稚拙なプレイもあったけれど(苦笑)、そのどれもがその時その時の自分自身のベストであった事は間違い無い。

録ったテイクを聴いて落ち込んだり、締め切りを見据えて引き際を考えたり、他メンバーとディスカッションを繰り返したりなど、作品作りにはそれなりの労力が掛かるし、全てが自分の思い通りにいく制作など今まで1度も無かった。

だが、だからこそ制作は楽しいのであり、自分自身を成長させることが出来るのである。

ミュージシャンにとって作品作りは、人生そのものなのだ。

自分自身に何が出来るのかを作りながら見定め、1つの作品を完成させる為に一心を集中させるその作業は、喜びも悲しみも、栄光も挫折も全てひっくるめた"何か"をいつだって自分に与えてくれて、"何も学べなかった制作"などただの1度も経験したことは無い。

だからこそ自分は音楽を生み出し続けたいと思うのだろうし、現に今現在も新しい音楽を生み出し続けているのだと思う。

明日、HAINTのドラムレコーディングがある。

今回の制作は、自分にどんな成長をもたらしてくれるのだろうか?。

それがとても楽しみでならない。

これだから、音楽というのはいつまで経っても辞められないのだ。





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