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ちょっとしたV字回復の経営 #5 組織づくり

これはちょっとした規模の赤字の事業部門がV字回復するまでの話。事業の規模としては10億円くらいです。

組織は戦略に従う
組織づくりを行うにあたり、名著がもはや名言となった「組織は戦略に従う」に私も従うことにする。要するに戦略を定めてから組織をつくるということだ。逆ではない。

これまで見つけた問題点である、「業務の生産性の向上」、「協力業者の力を引き出す」、に「事業収益の拡大」を加えた3つをミッションとして設定した。これを達成すべく、これまで2部門(営業・業務)であった組織を3つの部門(営業部・業務部・開発部)に分けて再スタートを切ることにした。

「業務部」は業務の生産性を高めることがミッションになる。また「開発部」が協力業者の力を引き出す、というミッションを担うのだが、これは品質を高めるための業務のルールを作ったり、会社と協力業者の新たな関係を作っていく役割という意味を含んでいる。


自律した行動が取れる組織を目指す
組織を構築し、ミッションの達成を目指すために最も重要だと思っているのは各社員が自律した行動が取れる、ということ。人材マネジメント経験の無い私がここを最重点に置いている理由にはスタッフ時代の苦い経験が影響している。

当時私は企画部門で会社の販促品を刷新するプロジェクトのリーダーを任されていた。ここでいうプロジェクトは部門を横断して会社全体で課題を解決する時限的な組織活動をいう。

私は企画を練って、各部から集まったプロジェクトメンバーにそれぞれ役割を持ってもらい、スケジュールを管理して全体を運営する、という進め方を目指した。しかし、どのメンバーも「自分の業務が忙しい」と言って遅々として進まない。結局遅れた仕事はすべて自分が手を出して片付けた。

全社プロジェクトと言っても誰も自ら行動してくれない。結局は「一人一人にとってプロジェクトは重要でなかったのだ」と悔しい想いをした。このような経験は一度ではない。新たなプロジェクトに関わる度に、何度も失敗した。

転機となった「震災復興プロジェクト」
2011年の東日本大震災の復興プロジェクトに関わった際に初めてチームとして全員がプロジェクトに向き合う形を作ることができた。私たちがなぜ今このプロジェクトをやらねばならないのか、それを説いて説明した時に、メンバーみんなが自分たちでできることを自ら口にし始めた。

その時に、やはり一人一人の意識が目標に向いてくれたら自然と大きな力が生まれることを実感した。最も大事なのは人であり、人を動かすモチベーションだった。

全員との面談
組織を再編し、着任するときに派遣社員を含む全員と面談した。一人一人に自己紹介をしてもらい、担当している業務を教えてもらった。これまでのキャリアや仕事に対する考え方を聞いて、その想いに近い役割をもってもらうように決めた。同時に組織として目指したいことを伝えていった。

私としては業務や役割を把握するために必要なことだったのだが、社員たちにとってもこの面談は好評だったということを後から聞いた。これまで自由にやっていた反面、何の指導も管理もされておらず、「自分は会社の役に立っているのか」「自分は果たして期待されているのか」そういったことが全く分からなかったようだ。そんなことは考えてもみなかった。

みんながそれぞれ仕事に対する想い、普段感じていた不満、新しいリーダーに期待すること、を明かしてくれた。様々な意見を聞いて、こちらも気が引き締まった。(つづく)

まとめ
・解決すべきミッションを遂行するための組織づくり
・社員の力を引き出さないと始まらない

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