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#33 現場で活動するトレーナーの方々に共通する課題


前回の記事では、専門分野以外のことを理解することによって、元々の自分の専門性もより高まるのではないでしょうか?といったことについて書きましたが、
今回はその専門分野であるもののうちの1つについて触れていきたいと思います。


100%を出すこと


さて、先日Twitterにてこんな投稿を目にしました



裕くんの投稿には毎回考えさせられていますが、この記事の内容についてやりとりをしていたところ、こんな返信をいただきました




育成年代に限らず、トップチームの選手であっても現役選手でいられる時間は非常に短いもので、この「限られた時間の中で100%を出し切る」という意識は当然持っておきたいものだと思っています。

そこでふと自分の経験の中で感じていたことを投稿してみました。



100%の定義が難しいですが、この投稿における100%とは「公式戦ですぐにプレーできる状態」とします。

とすると、身体面はもちろん精神的な面においてもそこまで持っていくには簡単ではないことがわかります。

実際に選手たちは公式戦において、より良い結果を出すために普段の練習を重ねているわけですから、その時のコンディションに至らないままにトレーニングを実施していてもあまり効果的ではないことは想像できますよね。

よって、そういった試合に近い状態でトレーニングを継続できていないのであれば、当然コンディションは上がらないよね。という話です。

ちなみに、プレーの良し悪しに波がある選手にも当てはまると感じています。


多くのトレーナーが感じているのでは?


私のTwitterアカウントは、あまり頻繁に投稿しているわけでもなく、そこまで有益な情報をお伝えしているわけでもないので、基本いいねに関しては20以上あれば多い方なんです。汗

なので、今回は200以上のいいねがついており、今までの投稿の中で1番多く反応をいただきました。

ちなみに、その前まで1番多くいいねをいただいていた投稿が以下になります



そうなんです、自分の過去いいねが多かった投稿の内容がどちらも「ウォーミングアップについて」の投稿だったんですね。

実際の現場では、チームなどによって違いはあれど、2〜3割程度は「流している」選手がいると感じています。

そして、それをどうしても変えられない歯痒さを感じているトレーナーも多くいるのではないかと今回感じました。


ウォーミングアップはなんのために実施するの?


一般的には、有酸素性の運動により筋温を高めて、心拍数を徐々に高めて酸素供給をスムーズにし、神経の伝達を促進させ、、、といった内容は皆さんご理解いただいていることを前提に話を進めさせていただきます。

私はチームにおいて毎日のトレーニングの際のウォーミングアップを担当していますが、その中で特に意識していることは、

①15分以内に収める

②その日のトレーニング内容に繋がるプログラム

③強度を出す

以上の3つになります。


①10〜15分以内に収める


トレーニングにおいて重要なポイントの1つは、より高い強度(頻度)でトレーニングすることなので、総トレーニング時間が長くなってしまうとそもそも疲労が蓄積してしまい目標の強度が出せなくなってしまうリスクがあります。

よって、なるべく少ない時間で効果的に100%の強度を出せる準備をするにあたってということであれば、個人的には少なくとも15分はかかります。


②その日のトレーニング内容に繋がるプログラム


サッカーにおいては、インシーズン中は1週間のトレーニングプログラムはほぼ同じサイクルで組み込まれていきます。

例:試合2日前に紅白戦、前日にセットプレーなど

よって、そういったプログラムにおいてより強度がかかる動きに対しての準備をウォーミングアップにて実施することになります。

例えば、オフ明けは筋出力が出しにくい状態なので、スクワットやランジ、ヒップロックドリルなどを積極的に実施したり、
紅白戦やセットプレーの日には、ボディコンタクトを入れておいたりします。


③強度を出す


ウォーミングアップの初めから100%を出すのは無理なので、段階的に強度を高めていくことになります。

ここでウォーミングアップの後半に100%を出せるように取り組むことによって、自分のコンディションの変化を感じることができます。

これがウォーミングアップにおいてはとても重要になります。
自分のコンディションの把握作業ですね。

これが実は、流し気味に実施しているだけではわからないんです。

本来この把握作業がしっかり出来ていれば、


「あ、今日はここの筋肉が張っているから、もう少し意識的に動かしてみよう」
「地面にうまく力が伝わらないなあ、リバウンドジャンプを自分でやっておこう」
「今日は絶好調!だけどこういう時に自分の動きが制御できなくなっちゃうから、慎重に入ろう」


などなど、その日のコンディションによってトレーニング中であってもやること、意識することなどが変わってきます。

この作業を毎日繰り返している選手と、毎日流し気味に実施して1つ目のトレーニングセッションも流してしまっているような選手を1年間比較した時、どんな差がついているか想像してみてください。


言葉だけでなく、感じてもらうには


現代サッカーは・・・などと偉そうに話せる立場ではないですが、今は特にハードワークできることが大前提とした上で、その選手の特徴や戦術理解度などが求められます。

そのためにやるべきことは山ほどあるのですが、今回触れたウォーミングアップに関して言えば、100%を出す準備をするために取り組むことなんて、正直1番簡単なのでは?と個人的には思います。

自分1人が意識して取り組めば良いだけですからね。

ただし、ウォーミングアップを指導するトレーナーやコーチは、自分の基準だけでその選手の取り組みを評価してしまわないように注意するべきです。

ちゃんと実施していないから叱る。では、選手自身にはなんのフィードバックもありません。

その理由は何かを把握することが最優先であり、身体や精神面に問題があれば、まずはその改善から取り組む必要があります。

その上で問題がなく、しかしながらウォーミングアップに取り組む姿勢が良くないのであれば、その後のプレーをよく観察してください。

おそらく話すべきタイミングが訪れるはずです。


いずれにせよ、私たちの立場においては、日頃からその選手のコンディション、試合におけるパフォーマンスを観察し、選手自身が気づけない事に気づけるようにも準備しておきたいものです。


現場で活動するにあたって、トレーナー、コーチとしての自分の武器はなんですか?と聞かれたら、私は「ウォーミングアップ」と答えると思います。


まだまだ声のかけ方や競技特異性を踏まえた内容についてなど課題は多くありますが、日々の積み重ねに関われていることに責任を持ち、アップデートを重ねていきたいと思います。


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