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あなたの知らない経絡の世界~膀胱経の巻・前編
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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。
これまで、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経までの流注(経絡の流れ)をみてきました。
今回は、身体の背面をめぐる経絡であり、所属する経穴数が最多である膀胱経についてみていきます。
経穴のテストでも一番、大変だった記憶が強い・・・笑
さて、膀胱経はどんな時に使われるのかというと、教科書的な病証は以下のようになっています。
足の太陽膀胱経
《経絡走行上の病証》
頭頂部・後頭部痛、体幹後面、下肢後面の痛み、足の小趾の麻痺。
{経絡関連病証}
脊柱の痛み、眼の痛み、鼻出血、痔、瘧、精神異常。
このように鍼灸臨床上では、身体の後面の症状である腰痛や坐骨神経痛など
に対する治療時には必須の経絡になります。
四総穴でも、腰背(腰部と背部)の病は「委中」と言われることとも一致します。
そして目の症状にもよく使われます。
また、黄帝内経・素問によると
膀胱者.州都之官.津液藏焉.氣化則能出矣.
と書かれているように、膀胱は「気化作用」に関与しています。
腎や三焦の津液を調節するのが膀胱であり、津液を尿などに変化させる作用、水分調節に関与しています。
具体的にいえば頻尿、膀胱炎、排尿障害などですね。
さらに、代田先生の本によると
古人の意味する膀胱とは、必ずしも現今の解剖学上における膀胱のみを指したものではない。小骨盤内臓器の全部をひっくるめて膀胱と言っていたらしい。
と書かれてました。
膀胱経に、膀胱炎や前立腺肥大のときにも使われる仙骨部の八リョウ穴のような経穴が所属していますが、膀胱だけでなく小骨盤内臓器全体の不調に応用できる経絡と考えられます。
さらにさらに、代田先生は膀胱経は『応用無限』の経絡といいます。
膀胱経の背部兪穴が、各臓腑の治療穴になっているからです。
応用無限ってすごい!
今回の前編では、そんな膀胱経のメインの流注(正経)について解説します。
膀胱経
正式には、「足の太陽膀胱経」と呼ばれます。
膀胱経の流注
まず、経絡経穴の教科書に書かれている流注をみていきましょう。
◆足太陽膀胱経
足の太陽膀胱経は、手の太陽小腸経の脈気を受けて内眼角【晴明】に起こり、前頭部を上り、頭頂部 [百会]で左右が交わる。(A)
頭頂部 [百会」で分かれる支脈は、耳の上に行き側頭部に広がる。(B)
本経は頭頂部より入って脳につらなり、かえり出て分かれて項を下り、肩甲骨の内側をめぐって脊柱の両側、後正中線外方1寸5分を下り、腰部で脊柱起立筋を通り、腎を絡い、膀胱に属する。(C)
本経は、腰から下って、殿部、大腿部後面を下って膝窩に入る。(D)
後頸部で分かれたもう一本の支脈は、脊柱の両側、後正中線外方3寸を下り、殿部、大腿後外側を下り、膝窩中央[委中]で本経と合流する。(E)
さらに下腿後面(腓腹筋)を下り、下腿後外側、外果後方を通って足の第5指外側端に至り、足の少陰腎経につながる。(F)
※【】で類経などを参考に経穴名を挿入し補足。アルファベットは解説用に挿入。
膀胱経の十四経発揮 経絡図はこちらです。
教科書掲載の図のベースとなる図で、原文の内容から簡略化されています。
(といっても他の経絡よりは詳細)
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今回も原文に忠実に基づいた模式図作ったので、この流注図を見ながら記事読むとわかりやすいかと思います。
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ポイント①膀胱経は、督脈の「神庭」「百会」を通る
膀胱経の流れを順々にみていきましょう。
AからFの6つのパートに分けて解説します。
まずAから。
足の太陽膀胱経は、手の太陽小腸経の脈気を受けて内眼角【晴明】に起こり、前頭部を上り、頭頂部 [百会]で左右が交わる。(A)
膀胱経は、目の内眼角の経穴「晴明」で、小腸経から接続されます。
そこから、額を上行していき頭部髪際の正中にある「神庭穴」で左右が合わさります。
(「神庭穴」は、督脈の経穴だが、膀胱経と胃経も通る)
その後、また左右に分かれ、前髪際で、前正中線の外方1寸5分のラインにある「曲差」や、(文献によっては)胆経の「頭臨泣」にいき、さらにそこから頭頂に向かって上行します。
曲差穴から3寸5分上行したところにある「通天」に至ったあと、頭頂の経穴である「百会」に交わります。
「百会」では督脈と膀胱経が交わると同時に、手少陽三焦経、足少陽胆経、足厥陰肝経とも交わり、影響力が大きな経穴です。
(※百会は別名・「三陽五会」ともいい、5つ経絡、特に3つの陽経が交わることからこの名前と言われます)
ここでのポイントは、膀胱経が、督脈の「神庭」や「百会」も通過することです。
膀胱経は、のちに大椎も通りますし、督脈と密接な関係であることがわかります。
また、頭痛の中でも、後頭部痛だけでなく、前頭部痛にも関与しうるってことでしょう。
ポイント②膀胱経は、側頭部の胆経の経穴を通る
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