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あなたの知らない経絡の世界~胆経の巻・前編

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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。

最近の私の連載ではこれまで、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経までの流注(経絡の流れ)をみてきました。

今回は、胆経についてまとめていきます。

三焦経ともに体の側面を担っている経絡が胆経です。

側頭部の頭痛や、臀部側部の痛みも伴う腰痛など幅広く使用します。

また、胆経は、全経絡の中でも、他の経絡と交わるツボ、いわゆる”交会穴”が一番多い経絡です。

甲乙経によれば、胆経の交会穴の数は30にも及びます。
44の胆経のツボのうち30なので、68%も交会穴であることになります。

よって他の経絡からの影響も現れやすく、胆経のツボは反応が出やすい印象あります。

胆経単一でというよりかは、他の経絡の治療と合わせながら、胆経を使っていくと良いでしょう。

さて、今回の前編では、胆経のメインの流注(正経)について解説します。

胆経

正式には、「足の少陽胆経」と呼ばれます。

胆経の流注

まず、経絡経穴の教科書に書かれている流注をみていきましょう。

■足少陽胆経

① 足の少陽胆経は, 手の少陽三焦経の脈気を受けて外眼角【瞳子髎】に起こり, 額角、耳の後、頸をめぐり, 三焦経【天牖の前】に交わり, 大鎖骨上窩【欠盆】に入る。

② 耳の後より分かれた支脈は,耳の中に入り、前に出て外眼角に至る。

③ 外眼角【瞳子髎】より分かれた支脈は, [大迎] へ下り三焦経に合し、目の下から頸を下り大鎖骨上窩【欠盆】で合流して、胸中に至り、横隔膜を貫き, 肝を絡い, 胆に属する。

④ さらに、側腹部をめぐり鼡径部に出て、陰毛をめぐる。


⑤ また、支脈は,大鎖骨上窩【欠盆】より腋窩に下り,季肋部を下る支脈と, 股関節で合流する。

⑥ そこから大腿外側,膝外側, 腓骨の前を下って腓骨下端に至り、外果の前 [丘墟] に出て、足背をめぐり、足の第4指外側端【足竅陰】に終わる。

⑦ 足背で分かれた支脈は,足の第1指端に至り、足の厥陰肝経につながる。

『新版 経絡経穴概論』

※太字は特に特有なもの。わかりやすく番号と、【】で類経などを参考に経穴名を挿入し補足。

十四経発揮 経絡図はこちらです。

今回も原文に忠実に基づいた模式図作ったので、この流注図を見ながら記事読むとわかりやすいかと思います。(交会穴は諸説ありです)

ゆーのすけ作成



ポイント①胆経は「外眼角」からはじまる

胆経の流れを詳しくみていきましょう。

胆経の流注は、
頭部・頸部(瞳子髎から欠盆まで)、
体幹部(欠盆から環跳まで)、
脚部(環跳から足竅陰、太敦まで) 
に分けられます。

まず頭部・頸部(瞳子髎から欠盆まで)である①からみていきます

① 足の少陽胆経は, 手の少陽三焦経の脈気を受けて外眼角【瞳子髎】に起こり, 額角、耳の後、頸をめぐり, 三焦経【天牖の前の天容】に交わり, 大鎖骨上窩【欠盆】に入る。

胆経のはじまりは、外眼角にあります「瞳子髎(どうしりょう)」です。

その後、側頭部、そして耳の後ろへ行き、そこからまた目の内眼角へ向かい、その後また後頭部へ向かう、胆経でも特徴的なジグザグルートがあります。

目の外眼角(瞳子髎)から起こったのち、聴会、上関を経て上って、頭角(頷厭・懸顱・懸釐・曲鬢・率谷)に至り、耳の後(天衝・浮白・竅陰・完骨・角孫)へいきます。

そののち本神・曲差・陽白に至り、内眼角にある晴明に至ります。

また上って、臨泣・目窓・正営・承霊・脳空・風池に下ります。

このあたり、代田先生の本で頭部胆経を3つの系に分けていました。

頭部胆経第1系 瞳子髎から完骨まで(前から後へ)
頭部胆経第2系 完骨から上って陽白は経て晴明まで(後から前へ)
頭部胆経第3系 晴明より上がって、臨泣、風池まで(前から後へ)

代田文誌先生「鍼灸治療基礎学」

胆経が、前から後ろ。後ろから前。前から後とジグザクに走行しているのがわかります。

しかしこのジグザグ走行ですが、霊枢の胆経流注の記述や、教科書の文章的には実は書かれていません。

大まかには、目の外の隅から始まり、側頭部、そして耳の後ろ、首へいくルートが、経絡の原典である霊枢の記述になります。

シンプルな走行だったのが、なぜジグザグ走行になったのでしょうか?

どのツボをどの経絡に当てはめるのかを、時代を追うにつれ体系化する必要性があり、そういう経緯もあって、頭の複数のツボを一連の胆経のツボとして設定するのにジグザグな流注にせざる得なかったのだと考えられます。

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