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あなたの知らない経絡の世界~腎経の巻・前編

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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。

これまで、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経までの流注(経絡の流れ)をみてきました。

今回は、陰経の中でも重要度や使用頻度が高いであろう腎経についてまとめていきます。

今回の前編では、そんな腎経のメインの流注(正経)について解説します。

腎経

正式には、「足の少陰腎経」と呼ばれます。

腎経の流注

まず、経絡経穴の教科書に書かれている流注をみていきましょう。

◆足少陰腎経
 
 足の少陰腎経は、足の太陽膀胱経の脈気を受けて足の第5指の下に起こり、斜めに足底中央[湧泉]に向かい、舟状骨粗面の下【然谷】に出て内果の後[太渓] をめぐり、分かれて踵【大鐘・水泉・照海】に入る。下腿後内側【復溜・交信・築賓】、膝窩内側【陰谷】、大腿後内側を上り、体幹では腹部の前正中線外方5分、胸部では前正中線外方2寸を上り、本経と合流する。
 
 大腿後内側で分かれた本経は、脊柱を貫いて、腎に属し、膀胱を絡う。

 さらに、腎より上って、肝、横隔膜を貫いて、肺に入り、気管をめぐって舌根をはさんで終わる。

 胸部で分かれた支脈は心につらなり、胸中で手の厥陰心包経につながる。

『新版 経絡経穴概論』

※【】で類経などを参考に経穴名を挿入し補足。

腎経の十四経発揮 経絡図はこちらです。
教科書掲載の図のベースとなる図で、原文の内容から簡略化されています。


十四経発揮


今回も原文に忠実に基づいた模式図作ったので、この流注図を見ながら記事読むとわかりやすいかと思います。


ゆーのすけ作成

ポイント①腎経は「踵」に入る

腎経の流れを順々にみていきましょう。

『足の少陰腎経は、足の太陽膀胱経の脈気を受けて足の第5指の下に起こり、斜めに足底中央[湧泉]に向かい、舟状骨粗面の下【然谷】に出て内果の後[太渓] をめぐり、分かれて踵に入る。』

『新版 経絡経穴概論』

膀胱経と腎経は、「至陰」で接続すると思われるかもしれませんが、第5趾の下(足底側)で接続します。

そこから正経に属する唯一の足底の経穴である「湧泉」を通り、舟状骨粗面の下「然谷」に出て、内果の後「太渓」や「大鐘」をめぐり、分かれて踵に入ります。踵のツボは、「水泉」や「照海」ですね。

・流注が周る謎:昔は踵でぐるっとしてなかった

教科書的には、踵でぐるって1周するという特別な流れになっています。それが腎経の流注を印象的にしているわけでもあります。

でも昔の文献では、ぐるっとしてなかったようです。

例えば、前出の「十四経発揮(1341年・滑伯仁)」 では、
経穴が線で結ばれておらず、あやふやな表現になってます。

「類経図翼(1624年・張介賓)」では、
教科書の順番である
湧泉→然谷→太渓→大鐘→水泉→照海→復溜でなく、
湧泉→然谷→照海→太渓→水泉→大鐘→復溜の順になっていて、ぐるっとしていません。ツボの位置関係から、流注が交わる必要がなくなるためです。

「経穴彙解(1807年・原南陽)」では、
湧泉→然谷→照海→水泉→太渓→大鐘→復溜の順になっていて、太渓と大鐘の位置が通常と違いそうですが、ぐるっとしていないのはこれも同様です。

「鍼灸治療基礎学(1978年・代田文誌・澤田 健)」の経絡図でも、
湧泉→然谷→太渓→大鐘→照海→水泉→復溜の順番になっており、ここでもぐるっとしていません。

しかし「臨床経穴図(1970年初版・木下晴都)」では、
湧泉→然谷→太渓→大鐘→水泉→照海→復溜となっていて、現在の教科書と同様の経穴順であり、ぐるっとしています。

この1970年代あたりから、次第に経穴の順序と流注は今の形のようになりつつあったようです。

(きっとその起源があるのでしょうけど今回わかりませんでした。知ってる方は是非教えてください。)

というわけで、ぐるっとしてると覚えるのでなく、「踵に入っている」ことが大事です。

腎経は踵に入っています。踵の痛みなど、踵の症状には腎経と思い浮かべましょう。


ポイント②腎経は「三陰交」を通る

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