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傘がない男

井上陽水の特番を見た。

もう70を過ぎるというのに、

歌声はつややか、
奔放で自由で、
浮遊するような雰囲気。

いい歳のとり方してるな~・・・と、
うっとりした。

昔のヒット曲が流れた。
「傘がない」という曲らしい。
歌詞に心を奪われた。

都会では 自殺する若者が増えている
今朝来た新聞の片隅に書いていた
だけども問題は今日の雨 傘がない

行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
君の町に行かなくちゃ 雨にぬれ

つめたい雨が 今日は心に浸みる
君の事以外は考えられなくなる
それはいい事だろう?

テレビでは 我が国の将来の問題を
誰かが深刻な顔をして しゃべってる
だけども 問題は今日の雨 傘がない

行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ
君の家に行かなくちゃ 雨にぬれ

「雨の日に傘もってない」
と、いうだけの歌。

なのに、
すごいラブソングだなと、
うっとりしてしまった。

誰が死のうと、
どんな社会問題があろうと、

君に会いに行けないのが、
今僕にとって最重要問題なんだ。

ということが、
悲壮感と合わせて伝わってくる。

たった一瞬の描写なのに、
絶妙な曲調やリズムと、
ちょっとかったるいような
でも意思のあるような歌声で、
数分かけて歌い上げる。

たった一瞬の描写なのに。

***

しかしよくよく考えるとこの男は、
折り畳み傘も持ってない計画性のない男で、

傘がないくらいで
会いに行けないと思うくらい行動力もなくて、
でも純粋に恋愛をしていて、
繊細に1日を過ごす、
ピュアなダメ男かもしれない。

わたしは、

雨宿りしている傘のないわたしを、
傘を持って迎えに来てくれる

傘のある男がいい。

なのに

歌にすると、
ダメ男もどことなく
雰囲気イケメンになるから、
歌ってすごいな。

***

単純な解釈しかできないわたしですが、
もっと深い意味があったりして。

アートや芸術、エンターテイメントって、
答えがないからいいんだろう。

見る人は想像力を掻き立てられる。

創作者のなりの意図や意味、
伝えたいこともあるんだろうけど、
それが正解というわけでもない。

意外と、

「傘がなかったときに
それっぽく歌ってみただけだよ」

これだけだったりしてね。

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