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過去の自分に、エールを。
渋谷から井の頭線に、乗り換えた。
久しぶりの、渋谷からの井の頭線。
前回のそれは、
10年以上前に遡るかもしれない。
井の頭線の改札に来ると、
東京で会社員だった頃の記憶に遡る。
鮮明に思い出すのは、新入社員のわたし。
入社式含め入社してから3ヶ月は、
新入社員研修で研修センターへの出勤だった。
この頃わたしの生活は、
新しいものだらけだった。
東京での生活、人の多さ、
電車の乗り換え、
頭の良さそうな同期たちとの毎日。
焦りや劣等感、
初対面の人への恐怖などに怯えたり、
でも仲良くなれた同期ができたら安心したり。
そんな毎日。
研修センターへ通うというだけで、
精一杯の日々でした。
渋谷から井の頭線に乗り換えるだけで、
いろんなことが蘇る。
東京に来て初めて、
通勤のためにSuicaを買った。
交通系ICカードっていうものも初めて。
今でも恥ずかしいけど、
渋谷までの銀座線改札、
井の頭線の改札で、
ICカードをかざすタイミングか下手すぎて、
よくゲートに止められた。
通勤ラッシュの中、
めっちゃ迷惑でよくあたふたした。
みんな当たり前のようにやるけど、
わたしはどうしても、
かざしてもバタン!と止められる。
これは、
配属後の会社のビルのゲートでも同じで、
タイミングに慣れるまで、
社員証をかざしてもバタン!とか
ビー!とか鳴って、
ゲートに止められたり、最悪の場合、
ゲートに挟まれもした。
田舎っぽさが出てる気がして、
本当にいつも恥ずかしかった。
だから今でも、ゲートはいつもこわい。
***
通勤でこんなにビビってるのだから、
研修センターでもビビっていたことは、
今回は書かないけど容易に思い出せる。
もともと朝が苦手だから、
起きた時から焦ってて、
通勤のゲートでも焦ってて、
徐々に難しくなる研修内容、
わかってくるみんなの人間性などで、
さらに朝の通勤が、
ビクついたりバタバタした。
そんな自分を、井の頭線改札に見た。
もう絶対戻りたくないけど、
あの時にしかできなかった辛さや懸命さ
だったと思う。
時空間は、過去、現在、未来、
実は全て今同時に存在すると聞くけど、
もしそうならば、
過去の東京会社員時代のバタバタな自分に今、
がんばれって、応援したい。
それは今しかできない経験で、
その毎日からは、必ず抜け出せるからって。
情けない過去の自分が、
可愛く見える。
***
不思議な因果関係か、
その日はその後、
久しぶりに聖書を読む機会もあった。
心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。
あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。
中学高校が、
キリスト教はプロテスタントの学校だったので、
毎日聖書や讃美歌にふれていた。
これはよく読まれた箇所で、
今度はその過去も、よみがえってきた。
教室で皆同じ制服を来て、
呪文のように聖書を読みお祈りをし、
讃美歌を歌う。
聖書は今読むと心に染みたり、
心が動いたりするが、
当時のわたしは、全く心が動いていなかった。
聖書に限らず、いつもそうだったと思う。
毎日に違和感、絶望感だらけで、
勉強や友だち関係も強制されてる気持ち。
感覚は麻痺してて、
そんなもんだろうな人生、って感じだった。
けど今はまた、そんな過去の自分にも、
微笑ましくエールを送りたい。
その感触、感覚、経験の意味は、
大人になったらわかってくるよ、って。
***
過去、現在、未来は、
今すべて同時に存在している。
そう感じると、
繋がっている感覚にもなる。
今からでも遅くない。
過去の自分にがんばれ、ありがとう、
を伝えたら、きっと届く。
すると、
未来の自分も今の自分に、
きっとエールを送ってくれていることに、
気づける気がする。
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