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嫌いだった「アニメビジネス」が「天職」になった瞬間

想定外の配属から始まった社会人人生

アメリカの大学をスポーツマネージメント学部で卒業、卒論のテーマは「MLB選手の年俸と放映権の関係性」についてだった私にとって、広告代理店は、最も入りたい就職先の1つでした。スポーツ放映権のビジネスに携わりたいと希望していた私にとって、大手広告代理店への内定はその第一歩のはずでした。

しかし、人生は思い通りにはいかないもの。私の新卒の配属は、希望していたスポーツビジネスではなく、広告営業でもなく、まさかのアニメコンテンツを扱う部署の海外担当でした。

実は、興味のあるアニメは「ドラえもん」くらい、コミックもほとんど読まなかった私にとって、アニメビジネスは、入った会社の中で最も携わりたくないビジネスでした。

取引先は海外のテレビ局。日本とアメリカの放送局の名前で知っているのは、BBC+α程度の私にとって行ったことのない国の聞いた事のないテレビ局がクライアントでした。
同期入社の仲間は、大手クライアントを担当して、誰もが知っている商品の広告に携わっている中で、一人だけ何とも言えない疎外感を感じていました。

僕の名刺は・・・

ネガティブな感情から始まった社会人生活。最初に担当したのは、某有名腐女子アニメ。
配属2日目に、その作品の原作出版社を上司を訪問し、作品が掲載されている週刊コミック誌の編集長とのご挨拶が初めての名刺交換でした。

新人研修で習った通り私が名刺を差し出すと、その編集長の方はこれが僕の名刺ですと、担当をしている週刊コミック誌を手渡してくれました。

「やばい世界に来てしまった」

心の中でそう叫んでいました。
一方で、担当になった以上、作品をしっかり知らないといけないという気持ちが一気に芽生えました。その日から担当作品の原作とアニメを繰り返し視聴する毎日が始まりました。

ビジネスが好きになり、作品を愛せるようになった

元々アニメやコミックがそこまで好きでなかった私は、毎日原作やアニメに触れていても、どこか作品を愛する事ができない、そんな毎日を送っていました。そんな私を変えたのが、動画配信サービスとの出会いです。

私が就職したのは2009年。当時はまだまだパッケージビジネス(DVDなど)が盛んな頃。配信サービは徐々に立ち上がり始めていた時代でしたが、当時、「ネットでアニメを見る = YouTubeやクランチーロールで海賊版を見る」という認識が一般的な時代でした。
そんな中で、私の担当している作品をアメリカで販売するにあたり、「hulu」での見逃し配信権をセットで販売する必要との話が出てきました。

インターネット上で映像作品を視聴する権利=「自動公衆送信権」の権利の有無や許諾条件が、当時のアニメ作品の制作契約書に明記されていないケースがほとんどでした。

私の担当作品もそのケースに該当したため、原作や制作委員会のメンバーにと自動公衆送信権の許諾条件を協議する必要が出てきました。

当時、動画配信サービスの権利料の収益はあまり期待出来ない状況でした。そのため、私の上司はこういう新しい分野は若い子に任せる!と言ってくれ、私は社会勉強として、自動公衆送信権の権利許諾のルール作りの旗振りをする事になりました

これがとても大変な仕事でした。
まずは、制作契約の内容を完全に理解する必要がありました。契約に書かれている事をしっかり理解出来ないと、権利の話をする事はできません
次に、「ネットで視聴=海賊版」という認識を変えていく活動も必要でした。
そして何より、作品への理解を通じて、視聴者像を理解し、動画配信サービスでの配信が有効なメインオーディエンスへのアプローチ方法かを考える必要が出てきました。

まずはビジネス理解を深める事に私は注力しました。契約書に書かれている用語をしっかり理解し、「ネットで視聴=海賊版」の認識を「ネット配信=未来への投資」と認識を改めてもらうためには、何をすれば良いか毎日必死で考えていました。

考えを深める中で、だんだんとこのビジネス面白いかもしれないと感じるようになりました。
そして、そんな気持ちが深まるほどに、担当作品を愛せるようになった自分がいました。この瞬間、私にとって映像ビジネスが天職になりました。

まとめ

それから14年の月日が過ぎ、映像ビジネスは私にとって天職であり続けています。
一時期、映像ビジネスから離れた事もありましたが、程なくしてこのビジネスに戻りたいと思い、映像ビジネスに戻ってきたほどです。

起業してコンサルタントとして仕事をしていく中で、私の経験から最も社会の役に立て、かつ、安定した収益に繋がるDX案件を中心に仕事を受けています。
一方で、営業活動をしていく中で、常に映像ビジネスの案件を獲得できるように自然に動いてしまう自分がいます。やはり、映像ビジネスが私にとって天職なのだと日々実感しています。

#天職だと感じた瞬間

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