実と種は誰のため
この季節お散歩していると目に入ってくる色とりどりの種や果実。
赤い色、青い色、美味しい果実、美味しくない果実、甘い香りのする果実、あまり香らない果実などなど、私たちの目を楽しませてくれる果実ですが、植物にとって種や果実ってどんな意味があるのでしょう。
例えばこちら。
これはひと月くらい前のトベラの実。
ひと月前まではまんまるのこんな姿だったのが
果実が3つに割れて中から赤い種がのぞいています。
こんな赤い色の種や果実は、植物の、鳥に対するアピールなのです。
鳥が一番認識しやすい色は赤い色だと言われています。
トベラは中の種が熟す前までは果実を固く閉じて鳥にはわからないようにしているのですが、種が果実の中で充分に熟すと中から種をのぞかせて鳥に運んでもらいます。
鳥が認識しやすい赤い色をしていることもそうなのですが、トベラの種の周りはべたべたしていて、鳥の体にくっつくことでも種が運ばれます。
こちらも鳥仕様の種。
シャリンバイです。
鳥は赤色について黒っぽい色を認識しやすいそうです。
シャリンバイの実は一見ブルーベリーのようで美味しそうに見えますが、味は美味しくはなく、甘い香りもしません。
鳥は視覚は発達しているのですが、味覚や嗅覚はあまり発達していないので、鳥仕様の種は赤や黒っぽい色をしていますが、味や香りは良いとは言えません。
私たちが食べるフルーツも果実ですね。
カキやバナナ、マンゴーなどは甘くておいしいですが、これらの原産地にはサルなどの哺乳類が生息しています。
カキやバナナやマンゴーの果実が美味しいのは、サルに種を運んでもらうために味が「サル仕様」になっているということです。
私たちもサルに近い生き物なので、植物がサルなどの動物に種を運んでもらおうとして作った味を美味しいと感じるのですね。
私たち人間は残念ながら美味しいフルーツの種子散布に協力はしていなくて、美味しくいただくだけですね。
そんなことを思いながらのお散歩は、植物の意図が伝わってくるようで楽しいです。
ぜひ、「この実と種は誰のためのものかなあ」なんてぼんやりと思いながらお散歩を楽しんでくださいね。
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