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おやじの弱音

今日、おやじよおやじというマガジンがスタートした。おやじ、いわゆるおじさん世代の気持ちはわからないし、面と向かってだとどうしてもおやじと敵対しがちな私におやじの気持ちの一部を届けてくれる、何だか不思議なマガジン。

おもしろそうなので、さっそくフォローした。

そんな、"おやじ記念日"とも言える日に、私は自らのおやじの弱音を聞くことになった。

おやじ、つまり私の父について説明しておこう。私とは血の繋がりのないお父さんであるが、もう日常的に父と呼んでいるので、私の中で父と言ったらこの人である。

ビジネスパーソンとしての父を私はよく知らないのだが、知っている限りのことを並べてみる。とある国家資格を持っていて、新卒で入社した会社をそろそろ定年退職する、そんな一人のおやじである。

性格は厳格で短気で理屈っぽくてお酒が好き。趣味は釣りと蕎麦打ち。釣りは上手いかどうかは怪しいけれど、蕎麦はおいしい。最近は薫製ベーコンにも凝っている。

そんな父のことを、私は大学を卒業してからとても尊敬している。本人には決して言わないけど。毎日会社に行けるなんてすごい。この上家族を養えるだけ収入があるなんてすごい。どれも今の私にはないものだ。

そんな父はなるべくしておやじになった人だった。若い世代のことがわからない。知ろうともしない。うつになったと言った時に「自分は『そんなもの気合いで治る』と言ってしまうから」とおじを間に挟む判断をしてくれたことに私が感動するくらい。

私は、おやじという人種は、いつも甘い汁を吸っていて、コンプレックスや弱音とは無縁なんだと思っていた。私より金がある。それなら何を悩むことがあるんだ。そう思っていた。

その認識は間違っていたのだと、夕食時に気づかされた。酔いが回った父の言葉。

「○○(父の持っている資格)は世間的には大したことない」

「勤めあげたって言っても幹部じゃない」

この言葉を聞いて初めて、おやじにもコンプレックスがあったのだ、と気づかされた。いつもは堂々としていて、自分の正しさを疑ったことのなさそうな父の弱音。初めて聞いたおやじの弱音。

でも、よく考えれば当たり前だ。おやじだって甘い汁ばかり吸っているわけじゃない。入社した時にはちゃんとあった終身雇用が崩壊していく中で、生き抜いてきたのだ。それに、自分より収入の多い人を羨むことだってあっただろう。

今日は本当に"おやじ記念日"だった。

どこかに働きに出るのが難しそうな娘は、ひそかにあなたのことを尊敬しているよ。いや、言わなきゃ意味ないか。私いつも書いてるもんね、行動で示せって。

執筆のための資料代にさせていただきます。