宮川彬良&Osaka Shion Wind Orchestra 富田林演奏会2022

プログラム


【第1部】

Fun,Fun,Fantastico!
作曲:宮川彬良

シャル・ウィ・ダンス?
作曲:R.ロジャース 編曲:宮川彬良

ロシュフォールの恋人たち
キャラバンの到着〜マクサンスの歌
作曲:M.ルグラン 編曲:宮川彬良

ラプソディ・イン・ブルー
作曲:G.ガーシュウィン 編曲:高橋 徹
ピアノ:角野隼斗(ゲスト)

アンコール
アイ・ガット・リズム
作曲:G.ガーシュウィン
ピアノ:角野隼斗(ゲスト)

【第2部】

私のお気に入り
作曲:R.ロジャース 編曲:宮川彬良

Next Vision
作曲:宮川彬良

"私のお気に入り"第三楽章《メロディーの時代》
すばるホール委嘱作品(世界初演)
作曲:宮川彬良

組曲「宇宙戦艦ヤマト」
序曲〜宇宙戦艦ヤマト〜出撃〜大いなる愛
作曲:宮川泰 編曲:宮川彬良

アンコール
マツケンサンバⅡ
作曲:宮川彬良
ピアノ:角野隼斗(ゲスト)

到着まで

 行ってきました、大阪富田林市! すばるホール!
 最寄駅である川西駅からホールまで、迷わないように沢山案内表示があって、何だかほっこり。

 道が細くて入り組んでいるなと感じ、後で調べてみたところ、この辺りは戦国時代の時の町割がそのまま残っている貴重な土地だそうで、納得。

 少し電車に乗って足を伸ばせば(富田林駅周辺)、時代劇に出て来るような街並みが残っている所が見られた模様。
 そのことに気付いたのは帰宅途中だったので、残念!
 また機会があれば見てみたい。

すばるホール

 ホールに入った瞬間、入口あたりからでも、めちゃステージがでっかく見える!(他のお客さんも、入った瞬間、同じことを呟いてた)
 ステージが迫って見える距離感が嬉しい。
 そのお陰か、オケの音を最初に聴いた時は、音の圧と言うか、迫力が凄かった。

第1部

 宮川彬良さんを生で拝見するのは初めてだったけど、今日一日と言うか、トーク開始五分で好きになった。
 この方、すごく面白い!
 みんなを楽しませたい、ハッピーにしたいと言う気持ちがビンビン伝わって来る。
 音楽で人を幸せにしたいと言えば、今回ゲストで登場する角野隼斗さんも、この前の全国ツアーのトークでそんなことを述べられていた。
 お二人はこの辺でも、波長が合ったのではと言う印象。

 この第一部はみんなが知ってる人気曲が目白押し。

Fun,Fun,Fantastico!

 一気に会場の空気を、温かなものに変えて、夢の世界へ連れて行ってくれた演奏。

 2019年の演奏が、近畿大学吹奏楽部さんの公式チャンネルにて公開されているので、参考にリンクを貼っておく。 

シャル・ウィ・ダンス?

 同名のタイトルの映画を昔観て、それがきっかけで曲を知ったので、何だか懐かしい。
 この曲は、半音が誘っているような音色に聴こえる……と言う所から、似たフレーズの曲を沢山紹介、「舞踏への勧誘」から「エリーゼのために」や、「ジョーズのテーマ」などを挙げていた。

 「エリーゼのために」は、冒頭部分の半音が、言いたいことをなかなか言えなくて、「モジモジしてるみたい」とのこと。
 オケの方の演奏に合わせて「モジモジモジモジ……」と歌う宮川さんに、爆笑。

ロシュフォールの恋人たち

 フランスのミュージカル映画「ロシュフォールの恋人たち」から劇中歌「キャラバンの到着」「マクサンスの歌」を、宮川さん編曲で演奏。
 CMでちょくちょく耳にした覚えのある、ロマンチックなメロディに身を委ねて、うっとり聴き入った。

 去年の演奏が、大阪メトロさんの公式チャンネルにて公開されていたので、参考にリンクを貼っておく。

ラプソディ・イン・ブルー


 演奏前のピアノセッティング時、宮川さんのトークタイムが少しあった。

 M.ルグランを尊敬していて、自分もそのマインドを継承して行きたいこと、ルグランと宮川さんのジャンルレスなマインドは、角野さんとも共通すると思う、と語っていた。

 聴いていて、思い出したのは「ボーダレス」と言う言葉。
 小曽根真さんと角野さんがよく口にする言葉だけど、宮川さんも同じマインドを持っていらっしゃって、響き合うものがあったから、今日の公演に繋がったのだと納得。

 トークで場が和やかに解れ、ピアノのセッティングが終わり、ワクワク感が高まった所で、角野さんの登場。
 今回は、ピアニカを携えてのステージ入りで、ちょっとビックリ。
 宮川さんがこれから始まる演奏を「角野劇場」と題して、スタート。

 冒頭、ピアノの出番登場まで、膝の上で指がずっと滑らかに動き続けてた。せっかちなこじかてぃんの一面が(笑)。
 早く弾きたくて堪らない子鹿に見えて仕方ない……!

 これまで色んな場所で披露されている、彼の十八番とも言えるこの曲。
 今日はいつものワクワク感はそのままに、よりゴージャスな印象。
 言葉にするのは難しいけど、ピアニカのアレンジも、ピアノの即興演奏も、これまでより厚みがあって、華やかに感じる。

 交響吹奏楽団の演奏は、これまでのオケバックよりも、迫力増し増しに聴こえる!
 吹奏楽団の演奏を生で聴くのは、実は初なのだが、オケバックとは一味も二味も違って、すごく新鮮。

 そして、やっぱり角野さんの生音はキラキラしていて、美しい。
 ビートがあって、生き生きしている。

 気持ちが音色に乗るのかな。
 惹かれてやまない、彼のピアノ。
 他の人と何故違って聴こえるのか、理由はわからないけど、改めてこの音が好きだなぁと思った。

アイ・ガット・リズム

 アンコールで、「アイ・ガット・リズム」の演奏が披露された。
 YouTubeで公開されているものより、一音一音が生き生きしていて、会場中を音符が飛び跳ねてる感じ。
 音色がとても楽しそうで、弾いてるご本人の心境をそのまま表しているのではないかと思った。

第2部

私のお気に入り

 後半の初めは、宮川さん編曲、「私のお気に入り」。

 編曲していたのは、1995年。
 阪神大震災があった年で、たまたま編曲中に兵庫県に滞在しており、途中からはお嫁さんの故郷、三重県で書いたそう。

 実は、この年、偶然にも角野さんが生まれた年(!)でもあるとか。

 第二楽章は、変わりゆく時代の様子を描いたものだけど、書いたのは59歳の時だそう。

 第三楽章は、すばるホールのご好意で書かせてもらえました、とのこと。(世界初演)

 すべての楽章を通して、ストーリー性を持たせたかったと言われていた。

 原曲は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」で聴いた、私の思い出深い曲。

 第一楽章は華やかで元気が出る感じだけど、ちょっと郷愁を誘うような音色もあって、うっとり。

 第二楽章は、力強い演奏、オケが発するエネルギーに圧倒。
 演奏中、舞台袖からスタッフさんが突然現れ、スタンドマイクを二本セッティング。何事かと思ったら、サクソフォンの方二人が前まで出て来て、カッコよくソロパートを演奏!

 第三楽章、第一楽章のフレーズを、しっとりとした、より美しい音色で蘇らせた印象。
 途中、またまたスタッフさんが現れて、今度は三つのスタンドマイクをセッティング。オケの方三名が、ソロ演奏を舞台前方で披露!
 温かい音色に包まれながら、終了。
 美しい時間だった……!

 こちらも、2019年の演奏が、近畿大学吹奏楽部さんの公式チャンネルにて公開されていたので、参考までにリンクを貼っておく。

宇宙戦艦ヤマト

 続いては、あの名曲、お父様の宮川泰さんが作曲された「宇宙戦艦ヤマト」の演奏。
 お父様はこの、富田林が第三か四(と言われてたと思う。記憶違いなら、ごめんなさい)の故郷で、富田林高校を卒業されているそう。
 今からおよそ45年前に作曲され、お父様が亡くなってからも、ずっと演奏されている。
 「曲の寿命は、人よりも長い」と宮川さん。

 きっと、ワクワクしながら聴き入るんだろうな〜とプログラムで宇宙戦艦ヤマトの文字を見た時は思っていたけど、演奏が始まってすぐに涙ぐみ、あの有名なオープニングテーマで涙を堪えるのに苦労し、演奏が終わる直前に、涙が決壊して、溢れてしまった。

 何で泣いてるのか、初めは自分でもわからずに戸惑っていたけど、今振り返れば、恐らく、熱意を込めて指揮する宮川さんの想い、オケの皆さんの心の篭った演奏のエネルギーに、心揺さぶられた結果であると思う。
 演奏後に、宮川さんご本人も「一言、熱演だったと思います」と言われていた。

 生演奏の醍醐味は、この辺りにもあるのかもしれない。

 その場の、オケの演奏の気迫とエネルギーに、客席が感動し、興奮するエネルギーがオケに伝わって、より演奏がダイナミックになり……お互いのエネルギーが響き合って、空間そのものが、天国のように心地良く、日常と隔絶された別世界に変貌する感覚がある。

 この感覚を味わいたくて、生音を求めるのかもしれない。

マツケンサンバⅡ

 そして、ここで終演かと思いきや、右手後方の席から、ステージ上に軽やかにダッシュする人影が……ライトアップされた姿はまさかの角野さん

 そこで、「今日まだ一回も喋ってないでしょう」と宮川さんにトークを振られ、しばしのトークコーナー。

(※以下、おぼろげな記憶を元に書いているため、所々不正確な所があります。あらかじめ御了承下さい)

 「出演していたことを忘れて、観客として聴き入ってました」

 「吹奏楽団との演奏はどうだった?」と宮川さんに訊かれて、「オケよりも反応が速くて、リズミカル」とのこと。

 「『クインテット』の番組を見たことがあるのか、今日どうしても確かめたかった」との宮川さんの質問に、
 「見たことはあるけど、そんなに見てない」と正直に答える角野さん。
 宮川さんは、力が抜けて倒れ込むリアクション。
 「まあ、あの番組ばかり見てたら、東大行けないよね」とぼそり(笑)。

 ちなみに、宮川さんのお子さんで、末っ子さんが角野さんと同い年だそう。

 そこから、角野さんが「マツケンサンバⅡ」が好きだと言う話になり、
「いつから好きだったのかな。今回のコンサートのために好きになったのか、前から好きなのか……」
ずっと前から好きですよ」
「僕、今日意地悪かな?」
意地悪ですね(肯定)」
 お二人のやりとりが面白い(笑)。

 宮川さんが「次に演奏する曲への流れを、自然とトークで繋げてくれる、この機転の良さ」と角野さんを誉めた後、最後のアンコール曲が何と、「マツケンサンバⅡ」だと告げて、会場は大盛り上がり!
 選曲は角野さんの希望だそう。

 演奏が始まった途端、客席全体から手拍子が自然と始まり、楽しくて温かい空気の中、夢のようなマツケンサンバⅡの演奏を聴いた。
 ステージ上方で回り、ピカピカに輝く、ミラーボール
フルスロットルで、ノリまくってる角野さんのピアノ。
 ワクワクが止まらない! 楽しさ大爆発

 いや、もう楽しくて、泣いて笑って、最高のコンサートだった!
 音楽って、本当に素晴らしいな。
 こんなにも心を豊かに、感動を与えてくれる。
 改めて、そう思った一日だった。

余談

 パンフレットを曲げて持って帰りがちな私は、まっすぐのまま持って帰れるよう、最近、百均でクリアファイルを購入。

 何気なく製造元が書かれたシールを見ると、何と、まさかの今日演奏があった、富田林市内の会社さんだった(!)。
 すごい偶然にびっくり。

 今回、ご縁が出来て演奏を聴きに行けて、感謝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?