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「老人と海」からの贈り物

こんばんは。ゆうです。
毎日書くみたいなこと言っておきながらいつぶりの更新でしょうか・・・。
恥ずかしいので過去の投稿記事は突然消えるかもしれませんごめんね^^

さて、この度参加しているエオルゼア文芸部の読書感想文お題として、かの名著ヘミングウェイ「老人と海」があがり、早速手に取りました。(新潮文庫版にしました)
こちらの作品の評価が高いことは何となく知っていたので、いつかは読んでみたいと思っていましたが、まぁなかなか機会はなく。
ただ、お友達から勧められると手に取りたくなるのがAB型の性分というもの・・・という冗談はさておき、素敵な機会に感謝しつつ読み始めました。

※ここからはネタバレありで感想となります。ご注意ください。

このお話は、「84日間不漁続きだった老人サンチャゴが、まさかの18フィート(5メートルくらいっぽい)もの大物カジキをヒットさせるも、カジキくんとの引っ張り合いの末、サメの軍団からの襲撃に遭う。彼は食糧もなく怪我をしながらも3日間闘い続けるが、無事に村に帰り着く頃、捕らえたカジキの身はサメに貪られて骨だけになってしまっていた。」という非常にシンプルなもの。内容としてもたぶん100ページほどで非常に読みやすいボリューム感です。

私が読み終えて最も印象に残ったのは、老人サンチャゴの苦難な状況でも前を向き続ける強さでしょうか。
そもそもこの作品、老人がずっとカジキやサメと闘ってるんですよ。
そして、内容の大部分が『老人サンチャゴの心の葛藤』の描写で、それが本当に素敵なんです。

感想って読み手の数だけあると思うので、いろんな見方や捉え方があるとは思うのですが、私はこの葛藤、特に奮起の描写がこの作品の一番の魅力だと感じています。

たとえば、

新聞を敷いたベッドに独りで寝転んでいたほうがどんなに気楽だったか。
「だが、人間ってやつ、負けるようにできちゃいない」老人は言った。
(『老人と海』より引用)

この一節でわかるように、そもそも84日の間に1匹の魚も獲れなくてろくに食べれず、新聞に包まって寝てるような苦しい状況にいながら、老人はその日も「きっと今日こそは獲れるはずだ」と意気込んで単身海に出てるんです。「負けるようにできちゃいない」と自分を奮い立たせる強さよ…。いやもうカッケェ・・・。(突然の語彙力)

また、舟の上で1人のはずの彼、度々独りごとを発するんですが、それがまた良い。
何が良いかって、弱々しくなっている自分を必死に奮い立たせている様子を際立たせているんですよね。表現がほんとうに上手だなと思いました。まぁ単に老人だから年齢による独りごとであると捉えられなくもないですが、絶対違いますよ。だってヘミングウェイですもん。(←ヘミングウェイのこと本当は1ミリも知らないですごめんなさい)

また、作中で老人はずっと勇ましいわけではなくて、弱気になったり、絶対にできるはずだと自分を奮い立たせたりを繰り返します。それがまた強い部分と弱い部分のどちらも持っている、非常に人間味あふれる感じで好きなのですが、特に好きだなと思う部分は…

「どうしてこんな沖合に出ちまったかな。おれもおまえも馬鹿な目を見てしまった。悪かったな、魚よ」
(『老人と海』より引用)
どうする?どうすればいい?
「闘う」老人は言った。
「死ぬまで闘ってやる」
(『老人と海』より引用)
「考えすぎだぞ、じいさん」老人は声に出した。
(『老人と海』より引用)

このへんに滲み出ていると思います。
これって、どんな人も感じたことがある体験だと思うんです。

ーやりすぎちゃったよ、どうする?やばくないか?
ーいやできるっしょ!うん、いける。いけるよ!
ーどうにもならないかも…何でこんなことになったんだ…まぁこんなとこに来たのが悪かったんや。

…みたいな。

結果として老人は手に掴みかけた大物を失うわけですが、物語は最後「老人はライオンの夢を見ていた」として閉じている。
周囲は大物を失った老人に同情していますが、老人はライオンの夢を見てるんですよ。きっと本人はこの先も前を向き続けるんだろうなと思わせて終わるところが、ほんとうに素敵。

そして話を少々変えますが、近年人気を博した『鬼滅の刃』という漫画作品。このなかでも主人公の炭治郎が鬼と闘う苦境のなかで、自分に対して独りごとを言うんですよね。

「頑張れ炭治郎頑張れ!俺は今までよくやってきた!俺はできる奴だ!
そして今日も!これからも!俺が挫けることは絶対にない!」
(『鬼滅の刃』より引用)

と力強く言い放つシーンがあります。
これ、かなり特徴的で胸を打たれた人も多いのではないでしょうか。

『老人と海』でも『鬼滅の刃』でも、
苦しいなかで弱気になる心を、自分自身で奮い立たせる姿がこのシーンと似ていて。

人間苦しい時って、たぶん声に出してでも励ますような言葉を言わないと弱気になっちゃうんだろうな、と思いあたる節が私にもあるし、たぶん誰しもが、そんな体験を心のどこかに持っているんじゃないでしょうか。

毎日生きているなかで、辛いな苦しいなと思うことも多いご時世ですが、そんな時には諦めないサンチャゴ老人のことを思い出して頑張りたいなと思いましたし、

ー「頑張れ、頑張れ私」
ー「できる!できるよ!」

なんて、自分を励ましてでも前を向く姿はとてもかっこいいのではないかと思いました。

余談ですが、小説で独りごとを言うキャラクターってなんか可愛いですよね。今度小説書くことがあれば、むちゃくちゃ独りごと言わせちゃおっと( ^ω^ )。

✳︎

今回は以上です。

夜にコーヒーを啜りながら久しぶりに文字を綴ったらなんか良い気分。
今後も定期的に文章のアウトプットしていきたいです。頑張るぞ、俺!
それでは、おやすみなさい!

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