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3月26日 日記

3月26日 日記
そろそろ新潟に差し掛かる頃だと思う。初めての北陸は移動での上陸になってしまった。

流石に夜行バスのワクワク感も薄れ始めて、腰の下あたりに違和感を覚え始めた。このバスに乗ってからもう3時間近く経とうとしているのだ。なお到着予定は7時半なので、あと8時間ほど乗り続けるらしい。

明日から2泊3日、移動を含めれば2泊5日の関西旅行なのだ。行きも帰りも夜行バスに11時間乗車という、冷静に考えれば過酷な旅程を「おもしろそう」の一点で両者完全一致して、決めてしまった。

とはいえ後悔はそれほどしていない。他の交通手段を取れるほど、我々にお金はなかったのである。そして、大の交通オタクにとってすれば、過酷な移動手段での旅行ほど楽しいものはないのだ。こう書いているうちに新潟に入ったらしい。

旅行前のソワソワか、バイトが鬼のような混雑具合だったからか定かではないが、夜は目が冴えて眠ることが出来なかった。

正確には1、2時間ほど気絶のような眠り方をしていたのだが、あくまでそれは気絶だったので、本当に起き続けていた。

新しい曲のアイデアが無限に湧き続け、それをひたすら打ち込んでは消してを繰り返し、一段落する頃には5時になっていた。ここからシャワーを浴びたりなんだかんだして6時となり、明日の夜行バスのことを考えると眠るに眠れなくなり。

書き起すと負の連鎖だが、実際はバッキバキに冴えた目が眠らねえよと叫んでいた。意識の完敗。本能の完勝である。結局そのまま朝飯を食べ、パッキングを始めた。

2泊3日分の衣服なんてたかが知れてると舐めかかっていたが、予想のほか衣類だけでキャリーケースのほぼ全てが満たされ、とりあえず何も考えたくなくなって、新歓のギターを練習するためにケースから取り出して触り始めた。

放置されたキャリーケースは、かさばった衣類で膨れ上がっていた。日記に書いたかどうか忘れたが、ヒートテックをいつまで着ていていいのかが分からないので、下着も余分に持っていくことにしていた。最終的にはホテルのルームウェアという存在に救われて、いくらか減らすことに成功したが、それでも4分の3が埋まった。

新歓のギターもそれなりに全て難しくなる予定である。押し売りのポルカも、寝てない頭で弾いていると、次第に訳が分からなり楽しくなってしまった。爆速カッティングとハンマリングの連続。多分技術もあるが、体力勝負なんだと思う。

もう少ししたら、3練に籠るのと同じように2防に居座る生活に移行するだろう。狭くなるが、キャンパスで学年が分断されることもなくなるので、新入生も沢山来てくれると嬉しい。

練習に飽きて、開幕が近い野球の応援歌を弾き語ったりした。何曲かやってみて、ベストは浅村の応援歌だった。

シャワーをもう一度浴びて、最終確認をして家を出た。キャリーケースがガラガラと音を立てる。生憎のまとまった雨。邪魔になるからという理由で、昨日のうちに折りたたみ傘を買ってきていた。勿論サイズが小さいので、キャリーケースの側面は水滴で満たされていた。

滅多に使わない、最近改良された黒松駅のエレベーターを使いホームに降りる。時間があったのとまともなものを食べていなかったので、集合前に一蘭に行くことにした。荷物を預かってもらい、こってりをいただく。店を出てからアーケードの端を通り、地下鉄の入口に入るまでの数十メートルで木から落ちてきた水滴に10回くらい打たれた。

3階の待ち合わせ場所に行き、こってりの代償と戦いながらだらだら話していると、通り過ぎていくお兄さんがずんだシェイクを片手にしていた。直感的に飲みたいと思い、胃もたれも忘れて、新幹線改札の傍にあるずんだ茶房で即購入した。

壁際でスーツケースに座りながら飲む。壁の中の展示として、宮城の有名な食べ物が羅列されていた。牛タンや油麩丼、マニアックなものにいくとデリシャストマトまでもが同列で紹介されていた。少し序列があったっていいんじゃないか。牛タンとトマトが同列なんて。東口のイーストゲートビルの、国分町より治安が最悪なトイレに行き、コンビニで飲み物を買って、いよいよの乗車を終えて今に至る。

これを書いているうちに新潟の真ん中辺りまで進んでいた。さっき書いた腰の痛みが結構キツくなってきている。

安達太良SAの休憩の時にもっと体を動かしておけばよかった。フットレストが意外といい感じなので、腰より下に気を遣うことがないのが幸いだが、3列独立のシートとはいえさすがに狭い。

今回のバスは横の仕切りがないので、隣でネックレストについていたフードを表から被って顔を隠してる人などを見れたりする。前の席の老夫婦が苦しそうに席に座っている様や、結構体がゴツめのお兄さんが窮屈そうに体を丸めている様。多種多様な人種の人達が、まるで輸送車のような遮光カーテンに囲われた車内で、同じ行き先を目指している。

京都に行くのも高校の修学旅行ぶりだ。京都駅の大階段でライブをやっていた昔のくるりの映像を見て、すごく期待して行ったのに、クリスマスシーズンでライトアップされてるのを見て「なんか違うなあ」と斜に構えたため息をついたのも3年前の話だ。あちらは雨が降っていないようなので、かさばる折りたたみ傘はキャリーケースの方にしまってから、思う存分観光したい。


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