日韓台のシビックハッカーがあつまるFtO@Jejuに行ってきた

2023年6月9日から3日間、日本、韓国、台湾をメインにその他アジア圏からシビックハッカーたちがあつまり、ともに考えともにつくるイベントFacing the Oceanに行ってきました。
今年は韓国のハワイとも言われる済州島で開催されました。ただ、リゾート地に来て建物に籠もってるのも気持ち悪さがあるので延泊して1日だけコロナ後初海外旅行もしてきましたー

Disinformationのプロジェクトを持ち込み

FtOには各国からプロジェクトが持ち込まれ、気候変動やジェンダー問題、AIと選挙、オープンデータ、DAOなど幅広いテーマでディスカッションや開発が行われていました。

私は、Disinformation(偽情報)に関するプロジェクトメンバーとして参加し、他国にくらべてかなり遅れをとっている日本のDisinformation対策をどのように進めていくべきかを考えてきました。
このあと詳しく書きますが、台湾は中国からのプロパガンダ、韓国は内政の激しさなど、それぞれの地政学的な課題から、偽情報問題を日本よりも緊急に捉えており、先進的な取り組みを進めていました。

Disinformationと言っても幅が広いテーマで、ファクトチェックから、言説のモニタリング、ボット対策など具体的な取り組みは細分化されます。
その中でも、生成AIによる偽情報の増加と、それに対する新たな対策方法については、多くの人が関心を寄せていました。

台湾の状況

台湾のDisinformation対策は主に中国に対するもので、中国政府に関連する団体や主要メディアから出される情報をウォッチし、その真偽を確かめることが大きな仕事のようでした。また、ソーシャルメディアで拡散されている疑義言説を捉えて注意喚起を促すようなことも同時に実施しているようでした。
これらのリサーチから得られた知見をデジタル教育のコンテンツとして用いて、対処療法的な対策のみならず土台からつくっていくことも実践していました。

FtOに参加していた方は5年前ぐらいからインターネット空間におけるDisinformation対策をコツコツやっていることもあり、実践的なノウハウはかなり溜まってきているように感じました。

国全体として立ち向かわなければならない問題であるため、モチベーション高くみんなで対処していこうという大きな流れはあるように議論を通じて感じました。

韓国の状況

FtOではDisinformationに関連するプロジェクトとして、生成AIの選挙への影響とファクトチェックの2つが持ち込まれていました。
日本はファクトチェックの領域において、台湾、韓国にかなり遅れをとっている状況ですが、韓国もかなり手こずっているようでリソースが足りないという意味で日本と似た状態にありました。
生成AIの選挙への影響は日本ではまだ問題になっていませんが、同じ問題を数年後抱えそうだと思いました。

ソウルの市長選や大統領選において、AI立候補者をディープフェイク技術で再現し、各種動画プラットフォームで訴えかける選挙活動が数年前から実践されているようです。日本では河野太郎さんが分身ロボで国際会議に出たという微笑ましいニュースが出ていましたが、韓国ではかなり実用的に使われていました。
ちなみに、ディープフェイクで作られた動画のほうが自信をもって、目を見て真摯に訴えかけているように見えます。単純に人間が話してるほうが響くということでもなさそうです。

ここで問題になっているのが、デジタル空間上での選挙活動の不平等です。選挙活動期間やその予算など物理的な活動には立候補者間で不平等が起きないように制限がかけられているものの、デジタル空間上での選挙活動においてはその制限が比較的弱い状況です。
ディープフェイクをつかった演説動画を大量に作成できるお金のある立候補者は、デジタル空間を埋め尽くしてしまうことも可能な状態になっています。単純接触効果は認知科学的にも証明されているように、どの立候補者に入れるか迷っている有権者を引きずり込むにはとても有効に使えるツールになりえます。

このような方法で選ばれた代表が国や市を導く者にふさわしいかどうかには疑問がのこり、物理的な制限に加えて、デジタル空間上での選挙活動の制限も真剣に考えないと行けない状況になってきているようです。

置かれている状況が異なる人たちと話す機会はとてもよかった

テーマとしては近い領域でも、置かれている状況が違うとその具体的な実践はかなり異なっていて興味深かったです。台湾は自国の結束力を武器に安全保障の文脈でかなりDisinformation対策の実践が進んでおり、韓国は内政の激しさとそれに振り回されすぎずに住みやすい国をつくっていくためのノウハウが溜まっているように感じました。そんな中、日本は他国にどんな良い情報を共有できるのかを考える良い時間になりました。この分野においては日本かなり遅れてる…ww

また、向き合っている課題の深刻さが実践の進み具合に如実に影響していることを実感できたことはとても良い経験でした。
ついでに楽しんだ海外旅行でもそうでしたけど、外の世界と繋がるのはとても楽しいことを思い出しました。今年はもう2回ぐらい海外いきたいなぁ

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