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「市場価値」とは?アフターコロナ期のキャリア設計で重要な「市場価値」を把握するための3つの方法

「『市場価値』って一体なんだろう?」

一度でもキャリアチェンジなどを検討したことのある方なら、そう考えたことがあると思います。

「市場価値」っていう言葉は、定義が漠然としていて分かりづらい印象を与えやすいですよね。

しかし、コロナ以前に既に変化が激しい時代が到来していたわけですが、それに加えてコロナの影響で今後の予測が困難となった「不透明時代」を生き抜くために、市場価値を把握するのとしないのとでは、大きな差が出ると言えます。

これまで僕は様々な組織の経営改善或いは企業再生に携わってきましたが、

今日僕がお伝えしたいことは、

市場価値を把握することは、今後のあなたのキャリアを設計していく上で極めて重要な指針となるため、理想的なキャリアを歩むための必須タスクである

ということです。

これまでのキャリアチェンジやキャリアアップの経験から、今日は市場価値を把握する3つの方法をご紹介したいと思います。

市場価値とは?

まずは、「市場価値とは何か?」を定義するところから始めていきましょう。

様々な定義がありますが、僕が考える市場価値とは、

今所属している組織や会社ではなく、社会から見たあなた自身の価値

のことを指します。

あえて「今所属している組織や会社ではなく」と書かせていただいたのは、人間は会社や学校のようなコミュニティに属していると、「それが世の中の基準」だと錯覚してしまいがちだからです。

自分が所属している組織で成果を出すことが、必ずしも別の組織で成果を出せるとは限りません。

だからこそ、「世の中や社会から見たあなたの価値」を把握することが重要になってきます。

なぜ市場価値の把握が重要なのか

市場価値を把握すべき最大の理由は、「終身雇用の崩壊」です。

この記事を読まれている方でしたら、終身雇用が崩壊していることは、もはや説明不必要だと思います。

象徴的な出来事としては、トヨタ自動車の豊田章男社長が2019年5月に「終身雇用は難しいと言える局面に入ってきた」と発言したことが挙げられます。

みなさんの親世代が社会人になった頃、多くの企業は終身雇用が前提で従業員を雇用していました。

しかし、グローバル化や少子高齢化によって、トヨタ自動車のような世界的グローバル企業のトップにとっても、現代および未来は終身雇用という概念そのものの実現が難しい、と考えている状況です。

また、追い打ちをかけるかのごとく、2020年前半に世界を揺るがした新型コロナウイルスの影響により、存続危機に追い込まれる企業が増え、いつ経営状況が揺らぐか分からない、先行き不透明な時代に突入しています。

つまり、いつどこで誰が解雇されてもおかしくないため、終身雇用という概念は既に「オワコン」化しているのです。

自分の会社や上司、部下だけを見ていれば良かった時代は終焉を迎え、「いつどこででも生きていける人材」になることが求められるため、「世の中や社会から見たあなたの価値」を把握する必要性があるのです。

市場にとってのあなたはどうなのか、どんな価値をもたらすのか。

そこを把握せずに日々の仕事に取り組んでいると、突然会社が倒産して仕事を失うなど危機的な状況に陥った時に、失業期間が長引く危険性があります

販売部数10万部以上のベストセラーになった「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」(北野唯我氏 著)に登場するキャリアコンサルタント・黒岩は、こう話しています。

一生食えるかどうかは、上司を見て仕事をするか、マーケットを見て仕事をするかで決まる

つまり、上司や会社だけを見て生きている者は、その会社だけでしか通用しない「不自由」な人間になり、マーケットを見て生きている者は、その会社以外でも通用できる「自由」な人間になる。

終身雇用が崩壊した今、どこででも通用する「自由度」の高いキャリアを追うために市場価値を把握することは、ある意味必須条件なのかもしれません。

では、どのようにして市場価値を把握すれば良いのでしょうか?

あくまで僕の個人的なオススメの方法なので、ご参考までに。

市場価値を把握する方法その1:転職活動をする

なぜ転職活動をすると良いのか?

それは、ご自身の強みや弱み、スキル、今所属している会社や組織の先行きなどを客観的に見れるからです。

始めにクリアにしておきたいのですが、「転職する」ことと「転職活動をする」ことは、意味合いが全く違います

後者は、あくまで転職を1つの選択肢に入れて将来のキャリアを模索することであって、必ずしもその結果転職をしなければならないわけではない、ということを理解する必要があります。

従って、今の仕事を継続するつもりであっても、自分の市場価値を確かめる、という目的で転職活動をすることは大いにオススメしたいと思います。

転職活動をすると、自分のこれまでの経歴やキャリアを「履歴書」や「職務経歴書」などに落とし込むことになります。

その際、ご自身がこれまでどんなことをやってきて、何ができるのか。これを否が応でもまとめなくてはならなくなります。

また、面接をするにあたって、ご自身のプレゼンをすることになるため、そのための準備をフルに行うので、ご経歴を客観的に見つめ直す最高の機会になります。

これらの準備を行うにあたり、キャリアカウンセラーや転職エージェントなどからもフィードバックをもらうことで、更にご自身のキャリアを客観的に見れるようになります。

面接を行う方々(人事担当者や役員、経営者、など)は基本的には多忙で、多くの履歴書や職務経歴書に目を通すことになります。

その中で、「自分を雇用することのメリットを分かりやすく伝える」ことが大切になってきます。

僕の場合は、履歴書の志望動機の冒頭に、「【自分の長所と短所3点】」という出だしで書くようにしていました。自分の周辺の人々にヒアリングしながら、長所では「客観的に見て周囲より秀でていると考える部分(実績も含め)」、短所はそうでない部分を書きます。

これによって、自分のことを分かりやすく把握してもらうだけでなく、会社の価値観とマッチするかどうかを判断してもらうようにしていました。

市場価値を把握する方法その2:副業に挑戦する

副業も、転職活動と同様、ご自身を客観的に見れる良い機会の1つです。

副業といっても、ハードルが高いことをわざわざやる必要はありません。

本業をやりながらでもできる、簡単なものからスタートしてみることをオススメします。

例えば、今会社で人事部にいるならキャリアカウンセリングを副業に、Webマーケティングの仕事をしているならSEOコンサルティングを副業に、といった形で、今自分がやっている仕事に関連したものだと始められやすいかもしれません。

副業も、最初はうまくいかないことがあると思います。壁にぶつかった時に、特に自分の短所がこれ以上にないくらい明確になってきます

ただ、その後少しずつ成功例が出てきて、自分の長所も明確になってきます

これらの新しい経験を通じて、自分が社会に対してどんな価値を提供できるのか、これ以上にないくらい浮き彫りになります。

本業だけでは把握しきれなかった長所や短所が、副業を行うことによって、より幅広く理解できるので、自己分析にはうってつけの方法とも言えます。

僕は起業支援やプロデュース事業を副業として行っていましたが、その際に「人間関係の構築をバンバンやっていくことは得意ではないが、事業を効率的に行うためのシステムを構築することが得意」ということが分かってきました。

当時は本業として営業の仕事をやっていましたが、日々の業務が多忙で長所や短所を見つめ直す時間が作れなかったこともあり、副業をやったことは自分自身を客観的に分析する良いキッカケになりました。

なお、副業の始め方や進め方については、後日別の機会にnoteで詳しく書きたいと思います。

市場価値を把握する方法その3: SWOT分析などのツールを使って自己分析してみる

まず、SWOT分析とは何か?

SWOT分析とは、競合や法律、市場トレンドといった自社を取り巻く外部環境と、自社の資産やブランド力、さらには価格や品質といった内部環境をプラス面、マイナス面にわけて分析することで、戦略策定やマーケティングの意思決定、経営資源の最適化などをおこなうためのフレームワークです。強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)」の頭文字から命名されています。

僕は、常に自分のキャリアはもっと良くできるのではないか、と考えています。

ある日、翌日に新規案件のプレゼンを控え、遅い時間まで資料を準備していた時のことでした。自社サービスの市場におけるSWOT(強み・弱み・機会・脅威)分析を示すスライドを作成していた時に、ふとひらめいたのです。

「SWOT分析って、自己分析に使えないかな?」

SWOTは、普段は自社の資産やサービスに関する市場分析を行うために使うツールですが、これを個人に当てはめたといきにどうなるんだろう?という好奇心が湧いてきました。

これまで頭の中でぼんやりと自分の強みや弱みを考えたことはあっても、言語化したことがなかったので、すぐにやってみました。

すると、自分でも驚くほど頭の中が整理され、「今後のアクションに繋がる」感触が得られました。

以下が、自分自身のSWOT分析の内容です。

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自己分析や市場分析には他にも多種多様な方法がありますが、SWOTはその一例です。

僕はこれらの分析を行ったおかげで自己理解を深めることができ、後に以下のようなサマリーを作るに至りました。

●海外だと資格や技術が少なくとも経験があれば受け入れられやすいが、日本は資格重視の風潮がある。
●転職の多さは、日本だと「我慢強さや忍耐力が足りず続かない」とネガティブに見られがちだが、海外ではむしろ「好奇心が高い」と捉えられ、幅広い経験が受け入れられやすい。
●海外(特に東南アジア)のほうが強みをより活かし、弱みを強みに変えやすく、高い語学力やコミュニケーション能力を活かしやすい。
●特に東南アジアでは、現地にマネジメント能力に長けている人材が相当不足しているため、自分の強みを活かしやすく少数の存在になれる可能性が高い。
●特に東南アジアでは、現地でマネジメント職に就くことで、責任ある立場になりつつも、出張の機会も増える。アメリカ留学で培った、新しい文化への適応力や柔軟性が発揮しやすい。
●経済成長している場所で実績を積むことでステップアップや市場価値向上に繋がりやすい。
●海外では理想のワークスタイルやライフスタイルを構築しやすく、ワークライフバランスが取りやすい。

SWOTをはじめとする分析を行い自己理解を深めた結果、経済が急成長している地域への移住と、現地で経営者になることを目指しました。その後、実際にアクションプランを立てて行動に移していくうちに、自分の中で徐々に「キャリアの軸」が定まっていくのが実感できました。

その後海外へ移住し、現地企業の社長兼最高執行責任者に就任。自分が思い描いたキャリアプランの実現に繋がりました。

まとめ

「市場価値」はそのワードだけ聞いていると漠然としていて分かりにくい存在です。

しかし、なぜ今後の時代に市場価値を把握することがご自身のキャリアにとって大切なのか、そのあたりが分かってくると、理想のキャリアを構築する良いキッカケになるかもしれません。

是非「市場価値」を把握することで、みなさんの自己理解が深まっていくキッカケになればと思います。

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