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営業時間とサービス提供時間

障害福祉業界を明るくしたい行政書士の篠原です。

開設サポートではあまり関わることがなかった放課後等デイサービスでも18歳を超えると就労Bや就労移行の利用を検討する子どもたちもいるので、新たに18歳以降の受け皿を作りたいという相談が経営者から来ることがあります。

そんな経営者からの依頼は開設のサポートですが、いつの間にか「今の運営で指定基準が守れているのか」というご相談になることがあります。

経営者は孤独という言葉があるように経営者は相談する相手を欲していることが伺えました。

指定基準が守れているか相談したい相手が内部ではなく、外部に欲しいようです。

こんなお悩みを聞きました。

「行政に確認したいけど、もし間違った運営だったらすぐに実地指導が入るかもしれない」
「正しく運営しているつもりでも法改正も多く不安が残る」
「行政の基準が難しくて理解が追いつかない」

こんなお悩みがある経営者は1人や2人ではないはずです。

正しいと思っている運営でも実は間違っていたなんてことも有り得ます。

ネットで情報が氾濫している時代ですが、指定基準については「行政の解釈」が曲者で各都道府県で基準が異なるケースが本当に多いです。

今回ご紹介する「営業時間」と「サービス提供時間」も行政の解釈によって曲者になったりします。

「営業時間」と「サービス提供時間」

営業時間とサービス提供時間を一緒と勘違いしている方いませんか?

違いは以下の通りとなります。

「営業時間」:事業所を開いている時間
「サービス提供時間」:事業所が利用者にサービスを提供している時間

サービス提供時間は利用者を預かる時間とも言い換えることができますね。

この違いはしっかり理解しておいた方が良いです。
そうでないとご家族が営業時間内は子どもを預けることができると誤って理解されるケースもあります。

営業時間とサービス提供時間を一緒にしている事業所も見かけますが、別にしておくことをお勧めします。

別にしておくことで勤務時間内にミーティング時間や支援記録を取る時間を作ることもできます。

こういった事務時間を作ることは支援の質を上げるためには必要な時間となります。

運営規程だけでなく、重要事項説明書にも明記し、きちんと利用者とご家族に説明しましょう。

人員基準を守る時間帯ってどっち?

経営者にとって気になるポイントの1つです。

人員基準を守るのは営業時間なのか、サービス提供時間なのか?

放デイの人員基準に児童指導員と保育士は2名以上配置する義務がありますね。

ただ2名以上配置しなければならない時間については以下のように厚労省の人員基準ではなっております。

児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成二十四年厚生労働省令第十五号)
第六十六条 指定放課後等デイサービスの事業を行う者(以下「指定放課後等デイサービス事業者」という。)が当該事業を行う事業所(以下「指定放課後等デイサービス事業所」という。)に置くべき従業者及びその員数は、次のとおりとする。
 児童指導員、保育士(特区法第十二条の五第五項に規定する事業実施区域内にある指定放課後等デイサービス事業所にあっては、保育士又は当該事業実施区域に係る国家戦略特別区域限定保育士。以下この条において同じ。)又は障害福祉サービス経験者
指定放課後等デイサービスの単位ごとにその提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定放課後等デイサービスのて今日に当たる児童指導員、保育士の合計数が、イ又はロに掲げる障害児の数の区分に応じ、それぞれイ又はロに定める数以上
イ 障害児の数が10までのもの 2以上
ロ 省略…
 省略

行政書士の僕だってこれを読み解くのは難しいなと思うので、普段から経営について考えていかなければならない経営者にとっても理解するのは難しく感じているのではないでしょうか。

厚労省の基準では「その提供を行う時間帯」となっていますので、一般の解釈ではサービス提供時間と捉える方が多いと思います。

実は僕もこれを「サービス提供時間」と捉えてしまいがちですが、要注意ポイントが先程から曲者と紹介している行政の解釈です。

この時間帯を営業時間と解釈する都道府県もあります。

つまり、児童指導員等を2名以上配置する時間帯が利用者を預かっている時間なのか、事業所を開いている時間なのか自治体によって解釈が分かれてしまいます。

自治体によって放デイの人件費も変わってきてしまうので、これから放デイの立ち上げを検討する経営者は行政に確認してから児童指導員の採用を計画されることをお勧めします。

人件費を抑えるなら営業時間を短くすれば良い?

こんなことを考える経営者もいるかと思います。

確かに営業時間を短くすれば人件費を抑えることは可能です。

ですが、営業時間を短くしてしまうと開所時間減算に当てはまり、10名利用者を預かっていたとしても報酬の70〜85%になってしまうケースがありますので、注意しましょう。

さらに営業時間を短くすることは保護者からの問い合わせを受ける時間を少なくしてしまうことにも繋がりますので、事業所の信用が落ちることにもなりかねません。

経営していくためには人件費を抑えたい気持ちもわかります。

不用意に営業時間を短くすることは報酬だけでなく、事業所の信用も下がってしまう可能性があることは理解しておくと良いでしょう。

障害福祉サービス事業を始めたい方が指定申請に向けた準備をする際に役立つ情報をこちらにまとめております。お役立てください。


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