#23 わたしはHSPのふどうさんやさん 〜HSS型HSP 生きづらさを軽くするための格闘記〜

●不動産購入に際して意外と見落としがちなこと=ぱっと見で判断すると大変なことがあとから出てしまう可能性があるもの=①

「隣地(または道路)との高低差がある土地」1―2
前回の続きになります。
擁壁について実際に対象となる法律は、都市計画法と建築基準法になります。
新しくこのような土地を購入するときに、特に気を付けなければならないのが、
「今現在建物が建っているのだから、あとで建替えをしても同じものが建てられるだろう」
と安易に決めつけてしまうこと。
個人の売主からそのような高低差のある土地を購入する場合で、
【都市計画法】による擁壁の扱いは、(開発行為の許可)第29条と(開発許可の基準)第33条第7項と第8項が該当します(際の法律を眺めてみたいかたは「℮-GOB法令検索→都市計画法を検索」)
また、東京都の場合、その細かい基準は東京都の建築安全条例(ほかの県だと「開発指導要綱」などの名称)で規定しています。
また【建築基準法】では、高さ2mを超える擁壁(工作物)は建築基準法第88条の工作物への準用規定をうけ、「第6条に示されている建築主事の確認をうけ、確認済証の交付をうけなければならない」としています。具体的な擁壁の構造計算基準は、平12建告1449にあります。

ということは、擁壁も建築確認を受けて「検査済証」がないといけないという解釈になります。ちなみに余程新しい擁壁でない限り、既存の擁壁は耐震性などで「既存不適格」扱いになり、建て替えをするときに行政等からその既存の擁壁を「是正」(工事のやり直し)を求められることがあります。
「既存不適格」って?
その当時の擁壁は造っていいですよというお墨付き(建築確認申請等による築造許可)をもらって造っている(はず?)なのですが、
工事金額は1000万円です。なんて言われたら・・・

そんなの聞いていない!買ったの15年前だけど・・・
誰を訴えればよい?
その取引(仲介)した不動産業者?売主?に対して訴える!
内容は説明していなかった(契約違反?重要事項説明義務違反?)からその業者を訴えてやる!
などと鼻息荒くなります(がお気持ちはお察しします)。
まず、2020年4月に改正施行された「民法」のなかで「契約不適合責任」というのがあります。
改正前までは「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と呼ばれていたものです。
契約不適合責任で買主が請求できる権利は
①履行の追完(目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡し)
②代金減額
③損害賠償 ※売主に帰責性(責任)がある場合に限る
④解除
となります。

ちょっと難しい文言が多いのですが、一般的な「契約不適合責任」の取り決め(契約約定)を抜粋してみました。
(契約不適合責任)契約約定例
引渡された本物件が種類又は品質に関してこの契約の内容に適合しないものであるとき(以下「契約不適合」という。)は、買主は、売主に対し、本物件の修補を請求することができる。この場合、売主又は買主は、相手方に対し、修補の方法に関し協議の申し入れをすることができる。
2.引渡された本物件に契約不適合があるときは、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し、修補に代え、又は修補とともに損害賠償を請求することができる。
3.引渡された本物件に契約不適合があるときは、買主は、売主に対し、相当の期間を定めて本物件の修補を催告したうえ、この契約を解除することができる。ただし、その契約不適合によりこの契約を締結した目的が達せられないときに限り解除できるものとする。
4.買主が前項に基づきこの契約を解除し、買主に損害がある場合には、その契約不適合がこの契約及び取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し損害賠償を請求することができる。この場合、標記の違約金(F)の定めは適用されないものとする。
5.買主は、この契約を締結したときに本物件に契約不適合があることを知っていた場合、又は本物件の引渡し後標記(J)に定めた期間を経過するまでに売主に本物件に契約不適合がある旨を通知しなかった場合、売主に対して本条に定める権利を行使できないものとする。
ここでの4の条文の違約金Fが通常10%ないし20%となります。5の期間Jは、個人が売主の場合は引渡日から3ヵ月以内、一般法人または課税事業者の場合は引渡日から1年以内、宅地建物取引業者がリノベーションなどをして土地建物を売却する場合は引渡日から2年以内、いわゆる品確法による建物10年保証のある新築一戸建(一般的に建売住宅)の建物部分(建築請負契約の建物10年保証の建物部分)は引渡日から10年以内に発生したものとなっています。

その取引した不動産業者、まだあるの?
スキル、経験不足や隠したり、だましたりする会社は10年以上存続している会社はほとんどありません。
では、どうしたらよいの?

その取引した不動産業者、まだ存在している!
存在していても、上記不動産売買契約書約定のような取り決めであれば、契約不適合責任期間(瑕疵担保責任期間)の経過により賠償請求等は困難なのではないかと思われます。
では、どうしたらよいの?

残念ながら
「泣き寝入り」
するしかないかもしれません。

本人が当時の契約書関係書類一式があれば、その資料を基に弁護士の先生に相談してみることになります。書類があれば何らかの糸口があるかもしれません。

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