日記2023年3月①

幼稚園の入園前クラスがあったけれど当日になっていきたくないと言うのでお休みした。このときは幼稚園に緊張して嫌がっているのかなと思って、自分も幼稚園に行きたがらない子供だったことを思い出したりしていたのだけれど、お昼ご飯を食べたら咳き込んでそのままえずいて吐いてしまって、その辺りからまた体調が悪いのかなと思い始めた。翌日、念の為休ませたら、午後に発熱した。しかしすぐ解熱して、一晩寝たら徐々に元気になってきてご飯を食べるようになった。保育園を3日休んだ。週の半分を子供の体調不良に持っていかれた。

子供の調子が悪いとなんだか親も元気が出なくて、ずっとだるく、気分が上がらず、鬱々とするけれど、不思議なもので、子供が回復してくると、疲れは溜まってきているはずなのに、親の体も軽くなって、活気が出てくる。

「"ナートゥ"をご存知か?」ということで、映画『RRR』を観てきた。3時間のなかに映画4本分くらい詰まっている濃ゆい映画だった。1920年代イギリス植民地支配下のインドで、残忍なイギリス人から母なる祖国インドを救う大義に目覚める二人のヒーロー(一応実在の革命家をモデルにしているらしい)を描くバリバリのエンタメだけれども、とてもナショナリスティックでもあって、エンディングでみんなが歌い踊るところで実在するインド独立にまつわる偉人たちの肖像が何人も出てくる。ナショナリズムを主題にして、残虐非道の救いようのない悪人としてイギリス人を描きながら、自国民をヒーローにするエンターテイメント作品というのは、プロパガンダ的な要素を勘案しなければならず、素朴に受け取ることができないけれど、映画は大変おもしろい。戦後日本で生まれ育った私がナショナリズムに抱く屈託と、多民族国家であり植民地支配と独立運動の歴史のもとに生まれ育ったインドの人が抱くナショナリズムへの屈託は、多かれ少なかれ異なるものになるのだろう。二人のヒーローが、はじめは自分の生まれた村の同胞のためだけに闘争していたのが、民衆のエモーションに触れて闘争に「祖国」という射程が生まれる、というふうに描かれたのは、多民族を統合する国家の物語がインドには必要だという認識から来ているのかなと思った。

電車の中で、二歳半くらいの子供が「しゃ、しぃ、しゅ、しぇ、しょ」と言ったら、お父さんが「えっ…?」と驚いて、「言えた...!」と感激していた。「こ、これは、言えたという判定で、よろしいか...?」「今日はケーキだ...!ケーキを食べよう!」と言っていた。

市村正親の『市村座』を観てきた。市村正親の俳優生活50周年という節目に、過去の出演ミュージカル全てのナンバーをメドレーで歌うのが目玉の公演で、ファンミーティング的な要素もあるニッチなものだけれど、それを日生劇場という由緒ある大きな劇場で1ヶ月近くやってしまうのがすごい。母親が市村正親のデビュー当時からのファンなので私も幼稚園の頃から市村正親のミュージカルを観て育った。うちの母親は推しの布教に強引なところがあって、自分と同じように他人にも推しを推させようとする悪い癖がある。小学生にもなればもうそういうことはわかるのだけれども、とはいえ反発するのも大変だったりするので受け入れるところは受け入れて今に至る。市村正親はきちんと演劇史の中で評価される必要のある俳優だと思う。これについてはまた別の記事を書くかもしれない。

小学校低学年くらいの男の子が小さな自転車に乗って、「Come on! Hurry up! What are you f***ing doing?!」と流暢にfワードを使って通りすぎていった。周りに友達らしい子供がいなくて一人で言っていたので何なんだかよくわからなかった。

ETV特集「ルポ死亡退院」を見た。滝山病院という精神科病院で行われていた患者への暴力を内部の音声や映像の記録を使って告発する内容である。精神科の入院医療が行き場のない人の受け皿になっているという構造的な問題があり、福祉行政もその構造に依存していることや、医師看護師の配置基準が他の診療科よりも少なく設定されている精神科特例によって不十分な医療体制が見過ごされ続けてきた精神科入院医療の歴史的な背景にも触れられていた。滝山病院の実態は全く法から外れた本当にひどいものだったけれど、番組の制作者は病院への非難を扇情的に煽るのではない形に慎重に構成していたと思う。これについても別記事で何か書くかもしれない。

精神科医を名乗るアカウントが精神科医療への社会的な信頼が危機にあるときにTwitterのアカウントで発言する内容は、その医者が患者との信頼関係が崩れかけたときに診察室でどう振る舞うかということとかなりパラレルだと思う。

文フリ東京に出す同人誌のための小説がもうすぐ書けそう。

英語の勉強も運動もあまりできなかった。

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