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助けて、が言えなくて

朝起きたら着ているものを全て脱ぎ、体重計の前に立つ。
減っていたらハッピー、増えていたら地獄のような落ち込み。

まるで処刑台の前に立つような、成績表を受け取る時のような。そんな気持ちだ。


私は17歳の時に摂食障害(神経性痩せ症)を患った。
うつとパニック障害の症状が酷く、勉強についていくことはおろか、通うことすらままならない状態になってしまった。

周りを見渡せば勉強ができて、頭の回転が速くて、容姿端麗で痩せていて、運動神経抜群で、世界平和を願いながら人を大切にすることもできて。
文武両道で人間として完成された人しか周りにいなかったので、劣等感が立派に育ってしまった。


そんな私は、病的に痩せようとすることで、周りに声にならない助けを求めた。
痩せようと努力することで、何かを頑張れている気になっていた。


お弁当は春雨スープだけ。
体育の授業は誰よりも多く動いた。
休み時間はこっそりランニングをした。
登下校時はどんなに疲れていても毎日2駅歩いた。


BMIが15になった。
けど、誰も助けてくれなかった。
痩せが足りなかったのかな。


通信制高校に転入して、受験をして、大学に入った。
うつの症状は相変わらずだったけど、環境や周りの人に恵まれたお陰もあって、その頃は痩せ願望は落ち着いていた。


就職をして、適応障害になって追い出されるようなかたちで辞め、無職になった。


今度は、過食とまではいかないけれどむちゃ食いをするようになった。
お腹は空いてないけれど、気持ちが悲しいから、満たされないから食事で満たす。
気持ち悪くて動けなくなるほど食べても、満たされることはなかった。

吐く方法をたくさん調べて何度も練習したけれど、嘔吐恐怖がある私はどう足掻いても吐けなかった。
自分の体が、体型がますます嫌いになった。


そして今から2年前のちょうど今頃、摂食障害が再発した。
無茶な食事制限をして、10kg痩せた。


またBMIが15前後になった。
今度は、あらゆる人から心配されるようになった。
友人に会って「朋、また痩せた?心配」と言われる度、嬉しくて嬉しくて舞い上がった。


次はBMI14、その次はBMI13……
どんどん痩せを求めてしまう。満足することなんてなかった。
太ることが怖い。太るくらいなら死んでしまいたい。


本当は、
本当は。


食べたいものを美味しく食べて、にこにこ笑顔でいたい。
愛する人とハグをする時に、抱きがいのあるふわふわの体でいたい。

痩せという呪縛から解き放たれたい。
自分の体を愛してあげたい。


その一歩として、今日は大好きなアイスを我慢しないで2個食べようかな。

あなた方の飾りは,髪を編んだり,金の装飾を身に着けたり,外衣を着たりする外面のものであってはなりません。むしろ,もの静かで温和な霊という朽ちない装いをした,心の中の秘められた人を飾りとしなさい。それは神の目に大いに価値のあるものです。

ペテロ3:3〜4

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