本を読むことが好きだった。

本を読むことは年齢を問わないし、技術も必要ない。誰にでもできるから、誰とでも共通の話題になる。

小学生の時にたくさん本を紹介してくれた先生がいた。まだ早いかな、と言いながら渡してくれた本のことは今でも覚えている。

「周りの友達が読まない本」を読むことが最高にかっこいいことだった。

お誕生日プレゼントに本を贈るのにハマっていた時期もある。いま思い返すと随分恥ずかしい。

小学生の頃のお気に入りは、星新一と瀬尾まい子だった。

中学生の頃は恩田陸、重松清あたりか。

高校生になってからは森博嗣にどハマりした。夏目漱石の『夢十夜』に腰を抜かした。

大学生になってから海外文学の面白さを知り、読み漁った(特に、岸本佐知子氏による訳書)。

どれも紙の本で読んだ。本も新聞も、情報の塊である紙をあえて時間をとり、手に取って読むことが心地よかった。

電子書籍も同じ「読む」ものであるが、紙との間には大きな体験の隔たりがあると思う。

最近久しぶりに入った書店で、文庫本も単行本も数を減らしていることに気がついた。

時代と共にメディアの形が変わっていくことは理解するが、まだ受け入れたくないとも思う。

せめて自分が死ぬまでは、「紙の本を読む」体験には消えないでほしい。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?