アリとキリギリス

イソップ童話の「アリとキリギリス」は幼稚園か小学校低学年の間には習うのだと思うが、そもそもイソップ童話の発祥は紀元前6世紀頃のギリシャに遡ると言われる。

つまり、人間の平均寿命が20年あるか無いか、病気や戦争などで簡単に死んでしまう時代にあの話が書かれたということに大きな意味がある。

そして現代のアリとキリギリスでは、最後にアリがキリギリスを助けてあげる話に変わっていることが多い(自分が最初に知った結末もそうだった)が、原作では「夏の間歌っていたのなら、冬の間は踊っていればいいでしょう」と無残に突き放し、キリギリスは飢え死にするのである。

教訓としてであれば、日本でもこの結末をそのまま伝えていくべきだったように思う。
今の日本人の平均寿命は約84歳。
自分の意志と関係なく90歳でも100歳でも生きてしまう可能性がある。

困っている者がいたら誰かが助けてくれる世界・社会は美しく理想的だ。
しかし、この日本においても人の一生とはつまるところは自己責任であるという論調は強まっている。
であれば、そうした話を子供の頃から学んでおくのも大事なことだと思う。

ちなみにディズニーのアニメ版では女王アリにそのバイオリンの腕を見出され、宮廷音楽家として生きていくのだそうだ。
これは才能があれば生きていけるという、実にアメリカらしい結末であるとも言える。

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