卒業しました
2024年2月22日でアイルランドでのティーチャートレーニングを修了し、2週間ほどアレクサンダーテクニーク教師としてアイルランドで過ごし、先日日本に戻りました。
3年半ほどトレーニングでアイルランドにいたわけですが、一言でまとめると、人生を変える経験でした。元々、アレクサンダーテクニークについてもっと知りたい、自分に何が起こっているのかを知りたい、というのと、指の課題(楽器演奏時の指の運動障害)をなんとかしたい、という2つの目的を持っていました。1つ目の目的はもちろんのこと、2つ目の目的も自分では納得のいくところまで達成することが出来まして、3年半という年月の質量を感じています。
運動障害の方は2023年夏に『局所性ジストニアを見つめる』と題して、その時点までの経験をまとめた文章をここに投稿しました。その後も経過は順調です。新たな発見もありました。あくまでも私の経験からではありますが、アレクサンダーテクニークの原理とアプローチのパワフルさを実感しています。
この件に限らず、アレクサンダーテクニークの原理を通して物事を見てみると、「局所」で起こっていることは「全体」で起こっていることの表れ(或いは「結果」と言っても良いかもしれません)なのだと感じます。日本に戻ってくる直前にも、坐骨神経痛や股関節の関節炎、楽器の演奏などそれぞれの課題に取り組む方々とアレクサンダーテクニークを通して接してきましたが、問題の起こっている箇所だけに何かがあるわけではないことがほとんどだと私には思えました。
この辺りのことは私の件のその後も含め、もう一度まとめてみたいと思っているところです。
取り急ぎアレクサンダーテクニークのアプローチを知りたい方には、F. M. アレクサンダーが1932年に出版した『The Use of the Self』をお勧めします。特に、第3章と第4章がケーススタディになっており、具体的な形でアレクサンダーテクニークの考え方とアプローチが紹介されているため、入り易いです。
第3章はストロークをうまく打てないゴルファー、第4章では吃音の例が取り上げられています。それぞれの問題の部分に「局所性ジストニア」を代入してもケーススタディとして読めると私は考えています。私も最近になってこれらの章を何度も読み返しました。
「音楽家の局所性ジストニア」は「身体に表れた吃音・どもり」と考えてもよいのではというほど、アレクサンダーが書いていることと符合するところが多いと感じました。
F. M. アレクサンダーはアレクサンダーテクニークのレッスンについて次のような発言を残しています。
これは私が最も好きなアレクサンダーの言葉の1つです。これが、アレクサンダーテクニークのコア、つまり、アレクサンダーテクニークとは何か・どんなものかをよく語っているからです。
クラスで何度か話し合ったことがあるのですが、『自分にとってここで言っている「刺激」は何か?』を考えてみるのは非常に役に立ちます。
それは楽器や椅子といったモノかもしれませんし、他者の目やステージ、タスクの多さなどの状況や、〆切などの時間に関すること、「上手くやりたい」「間違えたくない」「○○をしなければいけない」といった気持ちかもしれません。刺激が何かがわかると自分がそれにどう反応しているかに気がつきやすくなり、何かを変えるきっかけをつかめる。刺激と反応に気がつくこと。これがアレクサンダーテクニークのセッションの核だと私は思っています。
今後ですが、3月中は主に神奈川県にいまして、4月以降今後しばらくは栃木県、群馬県周辺を拠点にアレクサンダーテクニークに関する活動をしていきたいと思っています。状況が落ち着いたらまた詳しいことを書くつもりです。
アイルランドの学校やアレクサンダーテクニークについて知りたい、セッションの相談など気軽にご連絡いただければと思います。お役に立てる機会があるととても嬉しいです。
折角日本に戻りましたので、日本でご活躍されているアレクサンダーテクニークの先生方やトレーニーの方、興味を持っている方達とも交流ができればと思っています。特にnote等で交流させていただいている方のところには時間を見つけてお伺いしたいです。突然ご連絡するかと思いますが、あたたかく対応いただけると有難いです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
Yukihiro
yukihiro.tkd@gmail.com