1日1枚 Vol.358 12月16日 告知ときっかけ2

告知2回目_済

巡回展_お知らせ

写真展の告知とキッカケ編、の続きになります。

現在、大阪は難波にあるイメージングプラザ大阪にて写真展を開催しております。タイトルは「孵化」。
一応英語版もあって「Incubation」としています。
意図としては、想像力が起こる感じと、無機物が生を受けて動き出す感じ。その他色々あって「孵化」としています。
孵化を単純に英単語にするとHutchingなんだけど、殻を割るって方じゃないと思ったのと、響きが違うなーと思ってIncubation。深堀りするっていう意味もあるみたいね。
ツイッタで教えてもらいました。ありがとうございます。

ちなみに会場に掲示してあるステートメントボードにあった
「キッカケは失敗写真」というくだりは前回のnoteの内容が当て嵌まります。

写真展「孵化」は
12月27日月曜日までやっております。
最終日は午後2時までとなっておりますのでご注意下さい。
開場時間は10~18時。
毎週火曜日がお休みとなっています。
最寄りは御堂筋線の難波駅。
入場無料です。
フジの機材に触り放題なので、お試しにも是非。
近くにアルションっていう、美味しい紅茶の飲めるお店が徒歩5分以内にあるし、豚まんで有名な551の本店や、かに道楽とか色々あって観光の起点にも便利です。


で、前回の続き。
この作風がイケそうだぞ、と思ったキッカケから写真展開催が決まるまでの流れについてをツラツラ。

これは写真展で展示しているものになります。
結構早いタイミング、テストの3回目でこれが撮れて
キターーーー!!!!!
って感じ。ちょっと古いかな?

スクリーンショット 2021-12-15 16.18.41

モノクロの設定とか粒状とかそういった諸々が全部綺麗にハマったぞ!って思いました。

今見てみると、画面の上部は反転していますね。当時はただインターシティB棟とC棟が綺麗にS字に撮れたぞ、くらいの気持ちでした。

キター!とは思いましたが、それでも「良いのが撮れた気がする」という程度。正直自信が持てなかったし、この写真が一体何になるんだ?という疑問を否定できなかった。
それに1枚良さそうなのが撮れたからと言って、それに酔っぱらえるほど若くもない。どれほどコレを撮れば良いのか?果たして面白がってくれるのか?という不安の方が大きかったので、取り敢えず初心を忘れないよう街灯を引き続き撮ってました。

スクリーンショット 2021-12-15 16.18.07

こんなヤツ。ハテナマークっぽく撮れた気がします。
こういうモチーフを探して撮る、を繰り返すと、狙いを決めやすいし、撮れた時の達成感も得られ、反復練習できるので、身近で手軽な課題を設けるというのはオススメです。
ただ、すぐ飽きました。

品川でお仕事の後に新橋でもお仕事があったので、新橋といえば近所に東京タワーがあります。東京タワーはトラス構造っぽいしなんか良さそう、と思ったのでパチリ。

スクリーンショット 2021-12-15 16.07.09

これが初の「千切れ」。
ファーストインプレッションは
あ、カメラ壊れたかも・・・。
でした。

だって、普通こんなふうに写るわけが無いじゃない?
あと温度警告出てカメラ止まったしね。
嫌なドキドキが止まりませんでした。

この時はGF63mmでもテストしていた頃でもありまして。
このレンズだとピントが来てるカットとピントが妙なカットがあったので「この撮り方、機材への負担が凄いのかも・・・」と気付いたタイミングでもありました。だって手で振り回すにしても、瞬間的には30Gくらいは平気で掛かるだろうから。前玉がそれなりに大きくて前群繰り出しタイプじゃキツいし、そもそも想定されてない使い方だと思うしね。

あと撮ってる姿が、ロン毛のアラフォー男性がカメラを振り回すっていう、ビジュアル的にもキツイ感じ。
そういう事もあって、嫌なドキドキは加速するばかり。


翌日もお仕事日だったので、GF50mmのレンズ構成などを事前に睨みつけてから、コイツなら耐えられそうだ、と信じてホームであるみなとみらいで本業の合間に検証撮影。
やっぱりGF50mmが軽くて良い感じ。ピントが妙なカットもありません。軽いは正義だな、と勉強になりました。

スクリーンショット 2021-12-15 16.18.24


この日は風が非常に強い日だったので観覧車も歪みそうだと思って撮っていました。
1000ショットしたけど終わりの方の2枚しか千切れなかったので、やっぱり温度警告が出るとダメなのかも?と思った次第。


次のお仕事撮影日は曇り。この日は温度警告出したら千切れるかも?というアタリをつけて撮影してみました。が、初っ端に撮れたのがコイツ。

スクリーンショット 2021-12-15 16.05.31

この写真は写真展で展示しています。
それと比べて濃度がちょっと違うのはこの写真は撮って出しで、ハイライトとシャドーの設定値が違います。プリント用はX Raw Studioでシャドーを+3にしたヤツ。
温度警告出てないのに撮れたので、カメラを本格的に壊しちゃったかも知れないと思って相当落ち込んだんだけど、それ以上に「なんか面白いな」と、撮れた写真にシンプルに感じ入るものがありました。

取り敢えずカメラを振ったりして内部で何か踊ってる音がしないか?と、ノイズが凄いとか縞々模様が出るとか、そういう不具合画像が撮れないことをねっとりと確認してから撮影再開。

この後1500ショットほど色々試してみたけど、なかなか千切れは撮れない。
割合的には狙って撮っても250枚に1枚くらい良い具合に千切れれば御の字って感じでした。
あと、純粋にキツイ(体力)。1キロちょいの鉄アレイ(カメラとレンズ)を他の機材を背負ったままブンブン振り回すのを撮影枚数だけやってるのでしんどいです。

キツかったので試しに三脚でやってみたりしていたのもこの頃。
結論を言えば「三脚使うと再現性が高まるけど微調整難しいし、なんか手持ちのが良いぞ」な感触。
GFX100系でもテストしましたが、100系だとどうやってもこれほど綺麗には千切れませんでした。やってやれないことは無いんだけど、まぁ実際問題無理だなって感じ。センサーのスペックが違うからね。

4月初旬には色々と分かった感じがしたというか、自分の中では条件が出揃ったので、フジに温度警告と画像が破綻する場合(千切れるヤツ)があるっていうことについて相談というか、不具合なのかどうかを質問してみたら、一度イメージングプラザの窓口に持ってきて、そこで判断しましょうって話になりました。それで症状と撮れた画像をブックにまとめて面談したところ、唐突に写真展が動き出しました。


だいたいココまでトータル約18,000ショットくらい。
で、30枚くらい「なんか面白いぞ」という興味深い形状に撮れた写真が出来ていて、そのうちの12枚をブックに入れました。
当時はまだジャック・アンリ・ラルティーグの写真みたいだな、と思ってオマージュ的なまとめ方をしていたので、今回の写真展とは見せ方が全然違うし、千切れた写真は参考程度の扱い。

写真展開催が本決まりしたのは5月。40枚のブック作って軽いレビューというかプレゼンをしました。ここからコンセプトをアレコレ考えつつ撮り方を工夫したり、イメージにより近付くように再撮影したり、といういわゆる制作の撮影になりました。



フジの凄いなと思ったところは、カメラ性能的にはヘッポコなところを使った表現なのに、症状の報告時に写真見せたら「これ、すごく面白いから写真展やりましょう」って言ってくれたところ。
本当に粋というか遊び心があるなー、って思いました。
だって自社製品の、性能的に至らないところを全面に押し出した事をやるっていうのは普通は嫌がるじゃない?
なのに、それをメーカーギャラリーで展示させて貰えるってんだから、ぶっ飛んでるよね。
個人名は出しませんが、本当に感謝しています。




RSIで撮った写真自体は「面白い」と個人的に感じていたけど「自信があると言えばあるし、無いといえば全く無い」そんな感じ。その状態で背中を押してもらえたことは本当にありがたかった。


私のGFX50Rについては、念の為修理に。
本体不具合は温度警告のみ。
歪んだり千切れたりするのは実力でした。
温度警告はどうやらレアケースらしく基盤交換されて返ってきました。でも温度警告は頻度は下がったけどまだ出るから、持病だろうね。

代替機でもRSIが出来たというか、ちゃんと千切れましたので、豊田の個体だけで撮れるって技法じゃないです。
ちなみにイメージングプラザのデモ機でもRSI出来ました。




ということで、失敗写真がキッカケとなった今作。

写真展できるぞー、と決まったのが5月。

決まったは良いけどコロナで本当に開催できるのか、制作を進めることができるのか、不安と課題は山積み。

次回は決まってから開催まで。



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