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シノビガミ探訪帖 鞍馬神流①

お友達の妖識さんが妖魔忍法について書いてくれています。
なんと元ネタも載っているので是非に。

そのため探訪帖で妖魔忍法に触れる際は記事がシノビガミ知見・妖魔忍法シリーズの焼き直しとなってしまうことには充分ご留意いただきたい。
やりたくて記述を被せているわけではないのだ。

※この記事はシノビガミに登場する設定や忍法の元ネタを探る一種のメモみたいなものです。「確実にこれが正解」のようなものを押し付けるものではないということだけご了承ください。

引っ越しのだいたいの日程をほんわか決めて、それに向かって努力している。こんなふわふわでいいのだろうか。でも見積もりとかできなくなっちゃったし……(入ろうとしてた物件が先に入居者が決まってしまった)

本作は、「河嶋陶一郎」「冒険支援株式会社」「株式会社新紀元社」が権利を有する『忍術バトルRPG シノビガミ』の二次創作物です。
(C)河嶋陶一郎/冒険支援株式会社/株式会社新紀元社


解説範囲

今回の記事で見ていくのは、基本ルールブックに登場する鞍馬神流の流派忍法だ。
上位流派に入ったということは労力が倍になったということ。
さっさと見ていきたい。

今回のサムネイルはまたもや写真AC様から。
画像は「京都・鞍馬寺」。鞍馬天狗と迷ったけどそっちは次回の記事で使おうかな。
枕草子では「近うて遠きもの」のひとつにあげ連ねられているのが鞍馬寺の九十九折(つづらおり)になった参道だ。
いつか京都シノビガミツアーとでも銘打って行ってみたい。

流派忍法

そういう訳で本題。
今回は長いのでスムーズに行かないと終わらないのよ。

・【時雨】しぐれ

時雨」は「秋から冬にかけての俄雨」のことを指す。
銃や手裏剣を乱れ撃つさまを時雨に喩えたのだろう。

なお全然関係ないが我らが怪作『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』の15話エンディングテーマの担当アーティストは『TK from 凛として時雨』だったらしい。
筆者は全然ラップカルチャーを愛する人間なのでスペシャル・エディション版の11話エンディングが好きです。かの有名な『合法的トビ方ノススメ』のアレンジ版が聴けるので。

・【春雷】しゅんらい

春雷」は文字通り「春に鳴る」のことを指す。
雷の通り道は雷的には一番通りやすいルートを通っているらしい。
ところどころで曲がっているようで最もいいルートなのだ。
それが忍法描写の変幻自在に繋がるのだろう。

関係ないと言えばない話だが春雷といえば最近はこの曲を思い浮かべる人も多いだろう。

米津玄師の『春雷』だ。まぁ今筆者も聞きながら書いてますからね。

米津玄師ってよくどこにも行けなくなるよねって言説を聞いてから明確な否定材料が未だに思い付いていない。
この曲も「まだまだ心は帰れない」と帰れなくなっちゃってるし。

・【夕凪】ゆうなぎ

夕凪」は「海辺の地域で夕方に起こる無風の状態」のことを指す。
一瞬の隙を無風状態であるに喩えているのだろう。
鞍馬神流の忍法の名前はすごく一般的で美しい言葉を綺麗に落とし込んでいて元ネタを書いていて気持ちいい。この辺りはまだ。うん。助かります。

筆者はカードゲームのオタクなので忍者で夕凪と言うと《土隠妖精ユウナギ》を思い出す。確かストレージに5枚くらいあった気がする。

・【神槍】しんそう

中国ではは「振れば、突けば、投げれば」と言われており、使い手次第でどうにでもなる最強の武器とされている。
とはいえ長物の弱点として開けていない場所での取り回しがある。
接近戦に転用できない【神槍】の特性はそれを再現したものだろうか。

余談だがなんらかの方法で間合を2減らすとこの忍法が実質的に使用不能になる。筆者の友人にはそれで構築観を歪められた哀れな被害者と歪めてしまった加害者がいる。
まだ仲良さそうなので友達がいなくなる戦法で友達が減るのは迷信なのかもしれない。

・【影法師】かげほうし

影法師」は単純にの事を呼ぶ言葉である。
忍法描写も影のように付き従う移動法であり、ストレートにそのままな名前となる。

余談というか懺悔なんだが、改訂版では【影法師】に対して【影法師】を撃つ時の挙動や【影分身】に対して【影法師】を撃つ時の挙動について記述されたことにより、【影法師】のテキストが尋常じゃなく長くなっている。
およそ4年と半年前と言えば恐らく改訂作業をしているタイミングだろう。
そのタイミングで筆者はシノビガミの著者、河嶋陶一郎氏と初めて話す機会があった。
その際に雑談としてこの【影法師】についての質問をしてしまったのだ。

そう、自意識過剰かもしれないが「もしかして質問したから……?」という疑念が払拭できないのである。なんかちょっとクレーマーみたいで申し訳ない気持ちがある。
でも多分河嶋先生なら「いやいや、むしろ気付かせていただいて助かりました」とか「実は似たような意見が昔から寄せられていたんですよ」とかって言ってくれそうな気もするんですが。

・【禹歩】うほ

禹歩」とは陰陽道に伝わる呪術的意味を持つ特殊な歩行術である。
これは外出中の安全を祈願するもので、その内容がカウンターなのは呪術的防御とはこういうものだと感じさせる。
とはいえ実際は鞍馬神流的な歩法だから全然魔法でも呪術でもないんだが。

・【飛燕】ひえん

飛燕」とは「飛んでいる燕」の他に、「燕のように素早く身を翻すこと」を指す言葉である。
高速で急反転するというところは更に佐々木小次郎の「燕返し」も彷彿とさせる。

米津玄師のアルバム「BOOTLEG」には先程の『春雷』と共に『飛燕』という曲が収録されている。米津玄師ってもしかして鞍馬神流?

・【陽炎】かげろう

陽炎」とは地面から炎のような揺らめきが立ちのぼる現象のことだ。
原理的には光の屈折によって揺らめいているように見えるのだが、それを剣技に応用したのがこの【陽炎】だろう。

陽炎は熱された空気が原因で起きる現象だが、同じく熱された空気が原因で起きる現象には逃げ水がある。
こちらについては特命臨時教職員派遣委員会編が来たらそこで解説しようと思う。

・【血断】けつだん

恐らく語源は「決断」だろう。いわば「の決」というわけだ。
己の命を削ってでも敵を討つという覚悟が忍法化したものと言える。

その精神を表す言葉として有名なのは「肉を切らせて骨を断つ」だろうか。
英語圏では素直に"lose the battle to win the war"(戦争に勝つための戦闘敗北)と言われているらしい。
日本で同じ表現を用いる慣用句が「試合に勝って勝負に負ける」のように少し否定的ニュアンスが強いのは少し不思議。

・【降魔】ごうま

降魔」とは仏教において魔であるマーラを降すことを指す。
原義から発展して意味を探るなら「妖魔を討ち払う」という意味になるだろうか。
つまりはほぼほぼ「退魔」と同じ意味だろう。
退魔編という用語との混同を避けたのだと思われる。

・【後の先】ごのせん

「後の先」とは武道において、相手の行動に合わせて有効な技で迎え撃つための技術や考え方の事である。
武術の中でもかなり理詰めの部分である。
まぁ鞍馬神流の忍者はどうせ意識せずとも反射で出来るくらいまで鍛え上げるのだろうが。脳筋。

・【先の先】せんのせん

そして「後の先」について語るなら外せないのがこの「先の先」だ。
「先の先」とは武道において、相手が行動に移り切るよりも速くこちらのペースに巻き込むことで有利に試合を運ぶための技術や考え方のことだ。
こちらもこちらで下手に「先の先」を取ろうとすると「後の先」の対応が間に合ってしまうため、相手の出方をすぐに判断した上で相手の対応より速く動く必要がある。

【後の先】と【先の先】はお互いに有利なのだ。
それはシノビガミでも同じことだろう。

あとがき

そういう訳で話してきたわけだが……圧倒的に語りやすかった。
鞍馬神流の流派忍法には由来不明のものが少ないのはいいところでもある。
逆に言えばこの記事は別に書く必要がなかったという説があるということだが……。

そういう訳で今回もおまけは特にない。
というかしばらくは忙しくなるのでおまけは書かない気がする。
また気が向いたら書くのでその時気が向いた人がいれば。

それじゃ、今回はここまで。

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