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倒れて気付いた、言葉の意味。

「意志を持って働け」

大学卒業までの半年間、インターンをしていた会社の副社長に、インターンを卒業するときに言われた言葉。

春から社会人一年目の、大学四年一月のわたしはその時、この言葉の意味がいまいちよくわからなかった。インターン時代、正直自分の意志がよくわからなくても働けたから。

そんなかみ砕けない言葉を胸に、わたしはその四月から社会人になった。

その約一年後の社会人二年目の四月、私は会社に行けなくなった。
休んだのはたったの三日だったが、毎朝会社のことを考えると過呼吸と涙が止まらなかった。会社に行かないことを決めると、ふと過呼吸と止まらない涙を誘っていた不安が消えた。

原因は、秘書業務担当の先生の言葉だった。
彼とはどうも言葉が合わなかった。
もとから難しい人とは聞いていて、前任の秘書や色んな周りの人から「真に受けちゃダメだよ」「言われた言葉は流すんだよ」なんてことを言われていた。
そんなアドバイス通り休む前日まで「ふ~ん、またこんなこと言っているよ~」と流せていたものが、その日はどうも流せなくなってしまった。そして次の日から三日間会社に行けなくなった。

まさに、はるな檸檬さんの『ダルちゃん1』に出てくる、こんな感じだった。

バカだよねぇ ほんとに
その瞬間まで気付けなかったなんて
一生懸命見ないようにして自分を自分でだましてたの

今の自分を否定したくなくて
自分に自分で嘘ついて
そうやっているうちに心に山のように傷を負っちゃって
でもそのことからも目を逸らして痛くないふりして
そしたら大事なもの失っちゃった

会社に復帰したら周りの先輩たちから「気が付けなくてごめんね」とたくさん声をかけてもらった。でもそんなの当たり前だった。自分でも倒れるまで気が付けなかった。
配属されたからには流せている自分を否定したくなくて、自分で自分に嘘をついて、「頑張れなかった自分」を見つめるのが怖くて。

そんな働けなくなった折、冒頭の副社長からの言葉を思い出した。

「意志を持って働け」

きっとこの言葉は、こうして辛くて逃げだしたくなった時に、
それをも凌駕する想い -意志- を持っていたら少しは乗り越えられる、ということなのかもしれない。

今回わたしが三日休んだ後に再び会社に行けるようになったのは、
きっと意志ではなく思慕の情だ。
休んでいた期間に温かい言葉をかけてくれている先輩・同期たちに
もう心配をかけまい、という思いだ。

ただ、このまま心身を壊す前と同じように働いたら
きっと数カ月後に同じことが起こる。

だから、そうなる前に、
意志をもって働くことを叶えたい。
今の環境で意志を持って働くのか、他に意志を注ぎたいものを見つけるのか。慎重に選びたいと思う。

そのために、会社以外の世界に足を踏みいれ、
色んな本を読んでいる社会人二年目の初夏なのでした。

次、桜が咲くころはどんな景色が広がっているだろう。

最後に

社会人一年目の私へ

大学四年の最後の半年をベンチャー企業のインターンに捧げ、
そしてそのインターン先と180度違う会社である内定先で働いてみたいという思いから入社している私へ。

一年間働いてみて
今の会社がすべてじゃない、と思っているから心が楽なことも、
他にも道があると思っているからこそ、今の仕事がつらいこともあったよ。

でも、社会人になる前より
考える時間がたのしくなったよ。

働くってことに対して、
少なくとも二つの物差しから考えられるようになったよ。

本を読んで、ドラマを見て、
色んな言葉が色んな自分に当てはまって、
逆に違和感を感じることも多くなって、
そんな自分がすこし、好きになったよ。

きっと、回り道だけど、
この会社に入って間違えじゃなかったよ。

だから、安心してね。

#コラム #社会人1年目の私へ





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