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車窓と風景

電車の窓から外を見る。

次々と移り変わっていく田園風景と住宅街。
ふと視線をズラせば、反射して映った車内が見える。
なんだか、ふたつの世界が交差しているような気がして、不思議な気持ちだ。同じ時間、同じ瞬間にどちらも平等にそこに在るのに、片や静かにただ流れていき、片や動的にリアルが垣間見える。ルビンの壺のように、主体と背景が裏返ったような。
実際に見えるものが背景になり、窓に反射したものが主体になり得る。とても面白い現象だ。

外から見れば同じように風景になる電車と畑や家なのに、電車の中にいると、まるで窓が「内」と「外」に世界を隔てている。
しかし、ふたつの世界を繋いでいるのもまた窓だという事実に、ぼくはそれを手で触れてみたくなった。

コンコン、とノックをしてみても、世界への扉は開いてくれそうもない。

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