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外国人材の好循環

岸田政権はスタートアップ支援に本格的に力を入れています。
その岸田政権の「スタートアップ育成5か年計画」の中で、以下の文面が出ています。
”米国や欧州と比べると、日本の開業率は低い水準で推移している。「起業」を望ましい職業選択と考える人の割合は、中国は79%、米国は68%であるのに対し、日本は25%となっており、これは先進国・主要国の中で最も低い水準にある。”

スマホをこの世にもたらしたアップルの創業者のスティーブジョブスが、創業者以外は全てフリーライドだ、と発言したことがありました。
彼の場合、自分だけが真の創業者で、マイクロソフトもアップルからのフリーライドなのだという批判まで含まれているので、ちょっと極端な意味なのですが、本質をついているとは思います。
全ての事業は創業者一人がはじめて、その創業者が周りと軋轢を生んでまでも本気で進めていくことで、製品やサービスができたり、社会課題が解決したりして、雇用が生まれます。
国としても、その様な創業者がたくさんいた方が成長するでしょうし、実際にアメリカなどはその力が非常に大きく、また、これからはアジア各国も、どんどん日本を抜いて、その様なパワーが増大していくでしょう。
私も創業者の一人として、より本気にならなければと思います。

一方で、サラリーマンの方々は究極的には所属組織の中でどのように生き抜くかが最重要なので、創業に本質的には向いていなく、ある程度乗っかて仕事をすることは大命題だし、必要だと思います。

大半の日本人はサラリーマンとして組織で生き抜くことに注力しているので、創業する余裕や関心を持つのは難しいと思います。
もっと言えば、日本で創業するのは損な場合が多いので、賢い人は創業しようとも思わないでしょう。
昔、アメリカとビジネスしていた時に感じたのはアメリカでは創業者は失敗しても逆に評価が上がったり、創業で資金が集まったりして、給料でも、キャピタルゲインなどの資産構築でも、恵まれている人をたくさん目にしました。
日本では創業して失敗したらマイナス評価を受け、何よりも創業してしばらくの間は、それまでの地位や収入が落ちることが大半です。よほど成功しないと報われない(笑)
このような日本の保守的な環境下で、スタートアップを増やすのは、学生やフリーターが起業する様な天才系と、日本の組織への依存度が低い外国人に期待した方がスタートアップは増えるでしょう。あとは私みたいなバカな人が少し(笑)

外国人の在留資格の面でもスタートアップを支援する動きがあります。外国人起業活動促進事業という経済産業省の事業がありますが、従来は創業活動が半年しか認められなかったのを1年間に延長されました。
日本人や日本がスタートアップに向かない性質である以上、海外からの起業や投資を促して、連携を強化することも視野に入れた方が良いと思います。

昨今は、顧客ニーズよりも、社会課題の解決からの起業の方が相性が良さそうです。
顧客の需要に対応するなら、国内を知り尽くしている日本人が得意としますが、グローバル化によって社会課題は世界標準的になりつつあります。
イーロンマスクのE V事業や宇宙事業もスケールが大きいですが、根本的には世界共通の社会課題の解決事業だと思います。多分、顧客のニーズとかイーロンマスクはあまり考えていないと思います。

外国人材業も社会課題解決業だと私は考えています。
そして、外国人材業でも創業が増えています。これから外国人受け入れが増えると見込んで個人で創業する人もいれば、企業の中で新規事業として立ち上がるケースも増えたり、その社員の人達も増大傾向にあります。私にも相談が増えているのですが、私は同業他社なのでお答えするにも限界があります笑
業界が盛り上がるという点で、外国人材業をやる人が増えるのは良いことですが、一方で、ジョブズいわくフリーライド的な人が増えているのも実状です。

スタートアップの創業者が良いのは、その事業が好きだからです。本当に自ら選択していれば、迷いがありません。私自身もお仕事やポジションのお誘いを受けた事はありますが、自分自身の待遇などの好条件で選ぶ、などという考えがありません。前田さんは、あの企業に行った方がいいのに、と言われたこともありますが、サラリーマンがより良い条件を求めてという考えではなく、自分がお腹を痛めて産んだ子供を育てる感覚に近い。子供は途中で取捨選択するものではないのです笑

先日、昔の上司が、俺もちょっと外国人入れてくれるお客さんがいるので、リタイヤ後のビジネスとしてやろうと思うけど、どう思う?と私に聞いて来たので、100%否定しました(笑)
外国人材業を営む人が増えているのは良いことですが、なるべく、元々根本的な関心がある人がやってもらいたいと思います。
イチローが、野球が、好きなのは前提、
また、ジョブズは、自分がやっている事を愛せといってました。
もちろん、組織が大きくなるほど、好き嫌いとは関係ない人事が増えるので、必ずしも根底で好きで仕事はできないことは仕方がないことです。
色々な立場の人がいることは、プラス面もありますので、全てを否定しませんが、これから外国人が増える中、本能的に関心がある人が経営や運営をした方がいいと思います。
一方で、イチローは、プロになると野球が好きだけではやれない。時には野球を嫌いにならざるを得ないとも言っていました。これもすごくわかります。
私もこの事業は好きですが、好きだけでは、やれないし、時にはストレスを感じます。
それも含めて引き受けていかないといけません。
ボランティアで外国人を支援するぐらいなら、好きでい続けられるが、プロでやっている限り、嫌いになるぐらいの時が必ず来る。

でも、だからこそ、根底に好きということは必要だと思います。ジョブスが途中でとんでもない目にあっても、それでも、I still love my job と言っていました。

私がこの業界にいて、本能的にこの仕事を好きな人とそうでない人はおおよそわかります。
たとえばわかりやすい例として、ある国の食べ物に対して、自分が好きかどうかを考える人と、その国の人がどう感じているかを考える人がいます。当然、後者が、この業界と相性が良い人なのですが、残念ながら前者が意外と多いのです。ま、それが普通なのですが笑
一つの事象だけで判断する訳ではありませんが、表面的な言動とは違って、意外と外国人に抵抗がありそうな人が、実はそうではなかったり、表向きは好きな風でも、実は本質的に向いてなかったりすることがあります。

海外にいる外国人も、その仕事が好きかどうかを真剣に考えてほしいと思います。技能実習では仕事を選ばずに、出稼ぎ目的もしくは経歴だけで来日する人もいたのですが、これでは、外国人本人にとっても、雇用する企業にとっても不幸です。
特定技能は業種別のテストを受験する必要があるので、自分の関心や趣向を考えて選択する傾向が高まりました。
以前より、高度人材は、自己分析ができている人が多いので、こちらから仕事や条件を説明して、むしろ相手が選ぶ形になることが多いです。
こうなると日本側のスピードが重要です。外国人エンジニアの在留審査は、今秋から1ヶ月に短縮(特区内に限定される)されます。特定技能も、一定の条件を満たすと在留資格申請書類が半減されるなど前進しています。
国際競争が激化し始めている最中、高度人材も特定技能も在留審査の短縮化によって、ブランク期間を減らすことは、重要なことになるでしょう。

既に、外国人労働者が1/3を占めるシンガポールは、先月から低熟練労働者の就労ビザの対象国を拡大するなど、さらなる外国人の受け入れ策を講じていますが、どの先進国も移民の受け入れ策を強化しています。(日本は移民という言葉は公式には使えませんが、私は個人的には移民庁を創設すべきだという意見です)

日本で人口減少問題が進行していく中、多くの外国人に働き手として、または生活者として来てもらうと同時に、海外からの投資や起業も促していき、さらに、これらが有機的に連携して日本の法人も海外と連携したり、進出したりというムーブメントになって来ると良いと思います。

日本はこれまで日本人と日本語に依存したモノリンガル大国(バイリンガルの逆)でしたが、これからは多様化や創造性により、可能性を拡大させていくことがキーになると思います。


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