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多様化へ向けて

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

コロナが始まって以降、海外からの人材受入ができず、グローバル展開がしにくい状態が続きましたが、本年は動いていく年となりそうです。(そもそも、この水際対策に問題があったのですが)

日本の情勢は、国防、経済、政治、人口、など様々な観点で厳しさを増しています。
外国人材も、日本への期待や信頼の高さから、容易に集まるような時代から、他国との比較の中で、日本を選んでもらう時代になってきました。
悲観的なニュースや観測が多くなっていますが、逆にこのような時こそ、真価が問われると思います。昔、不況時に上司に言われたこの言葉を思い出します。疾風に勁草を知る

出入国管理庁の最新データの2022年6月末時点では、在留外国人の数は2,961,969人、前年対比107%、2019年以来初の前年超えをしました。国籍別ではインドネシアが140%と突出した伸びをしている一方、コロナ前は人数も伸びも圧倒的だったベトナムが前年比110%と鈍化している状況です。

コロナ前は緩めの仏教徒に見かけの親和性などからベトナム人の受入を促進していた日本でしたが、短期間でトレンドが変わりました。
国民の90%がイスラム教徒というインドネシアからの受入が増えてきたことは、日本の多様性が高まってきたとも言えます。

変化の時に重要なのは、多様性だと思います。旧来通りの思考や文化で変化することは非常に難しいですが、多様な考え、人材、文化、知識を取り込むことで短期間での変化や改革が可能です。
日本でも、黒船という外圧を発端に、異国の技術や文化をいち早く取り入れ、それまで250年間鎖国していた日本が一夜にして多様性を受け入れて明治維新を起こしました。

体制ごと変わったので、日本革命と呼ぶ方が世界史的に正しい用語な気がしますが(フランス革命、ロシア革命のように)、いずれにしても、この日本の柔軟性や革新性は世界歴史上、稀なケーススタディとなっています。

僕は、この日本の突然変異的な変化は再度起こると思います。それは国民全体に根強い危機感が出てきているからです。明治維新の時も、国民の根強い危機感が革命を起こしたと思います。

特に昨年ぐらいから、お客様と話しても、このような健全な危機感を非常に実感するようになりました。お客様の方が過去に拘らなくなってきていて、変化を求めているのです。

2019年に当時の菅官房長官の肝入で、新しい在留資格の特定技能が始まりました。大枠の入管法を強引に急速に改正したわけですが、そこでは外国人を共に日本で生活する一員として受け入れするという、外国人との共生社会という概念も生まれました。

そんな特定技能も最初の5年間は家族の帯同は許可されず、共生社会の実現という意味では道半ばです。これは、収入や生活が不十分な外国人が増えると社会保障のコストが上がるのではないかという日本特有のリスクゼロ思考から来ています。

こちらが必要以上に心配しなくても、大半の外国人は大事な家族を闇雲に連れてきません。収入や生活を考えて、家族を呼ぶことを考えるし、最近では外国人同士の共稼ぎ夫婦も増えています。市場原理で、人材は動くので、保守的な制度によって可能性や多様性を狭めてしまいかねません。

一方、逆に市場原理が問題になることを制度で補填することが大事だと思います。
例えば、コロナ禍が起きてから、多くの在日外国人が日本の滞在を延長し、その大半は、地方から都心へ流れました。地方と都心の見かけの給与格差で外国人が動いたのです。

この市場原理は放置しないほうがいいと思います。地方で働く外国人や地方で雇用する法人に一定の補助金や助成金を支給するなどの制度的な支援がないと、地方と都心で外国人材受入において格差が拡大していきます。


例えば、地方創生に資する交付金の中で、都道府県や市町村が相談窓口を設置することなどを対象にした外国人受入環境整備交付金がありますが、これ自体は良い取り組みではあるものの、地方と都心の格差問題の解決自体にはつながりません。

人材と企業とのマッチングには多様性があります。

例えば、漁業などは、季節要因が大きく、外国人を受け入れしても1年中稼働させるのは難しいです。そのため、ある受入先で、8ヶ月ごとに雇用主負担で帰国をしてもらうという求人をしたところ、想定以上に人材が集まりました。

雇用主としても稼働が少ない期間に人件費を払うよりは帰国便のコストを払う方がコスト削減となり、そして、ある程度の期間内で帰国したいという外国人のニーズとも一致しました。あくまで一例ですが、日本人の関心が薄い外国人側の帰国ニーズとのマッチンングの事例です。

僕は毎年、箱根駅伝を見ていますが、今年もランナー達が全力で襷を繋いでいく姿に感動しました。当たり前ですが、この箱根駅伝は、毎年選手が入れ替わります。どんなスーパーランナーも4年も経てばチームを去ります。でも強いチームは毎年強く、番狂わせは、非常に限られた範囲でしか起きません。これは組織としての力だと思います。


終身雇用では、個人としてのノウハウ蓄積も大事ですが、多様性の時代においては、組織としてのノウハウ蓄積も大事です。外国人にできるだけ長く働いてもらうことは、企業論理としては当然ではありますが、箱根駅伝のようなチーム作りも同時に必要かもしれません。

個人の人的資本=タレントも大事ですが、集団的なタレントも重要だと思います。僕はアイドルには詳しくありませんが、A K B48や乃木坂46のプロデューサーとして有名な秋元康さんは、個人のタレントにとどまらず、集団的なタレントを作り出して、持続性や拡張性を作り出したと思います。ちなみに、インドネシアではA K B48の姉妹グループJKT48が活躍中で、秋元康さんがプロデュースしたアイドルは東南アジアでも大人気です。ということで話題に出したのです笑

当社自身も、外国人社員の定着に悩まされる時があります。当社が雇用する外国人は、時折、様々な狭間の中での厳しい局面や業務の波動が訪れるので、実務的にもメンタル的にも厳しくなる場合もあります。
そのような個人の状態に配慮をしつつも、個人に依存しすぎることなく、チームとしてのノウハウにしていくことや一時的に収益的な課題があっても複数体制にしていく、という方向へ舵取りをしている最中です。

外国人材事業は、想定外の連続で、当社でも現場の問題は増加中です苦笑。そのような問題を一つ一つ解決すると同時に、抜本的に仕組み化で解決する、という両面をしていきたいと思います。
問題に追われるばかりではなく、機会創出に挑むことをしていきたいです。機会創出の方が実は難しくて重要であると思うからです。僕が海外に出ていくのも、その考えの一環です。そこでは、さらに想定外が起きますが必然とも考えています(苦笑)

日本も日本人も日本企業も、多様性によって失うよりも得るものの方が大きいと思います。
そのような多様性への貢献に向けて今年も取り組んでいきたいと思います。


2023年、皆様にとって良い年でありますように。

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