ネゴシエーター
近くの席の同僚が、取引先であろう相手と電話をしている声が聞こえる。同僚はベテラン。彼の温厚で柔和な人柄で、ネゴシエーションに関しては定評があった。
予算についての交渉をしているのか、納期の調整をしているのか、神妙な面持ちで、「はぁ」「はい」「さようでございますか」と相槌を繰り返している。彼の様子から、やや劣勢であることが見て取れた。
やっと彼のターンが回ってきたようだ。彼は満を持して「先ほどのおメールの件でございますが…」と切り出した。
ちょっと優勢に転じているのか、彼は意気揚々と続けた。「先日のお会議の際に決定した内容では…」
「お、おメール??」「お、お、お会議??」
とてつもない違和感が雪崩のように押し寄せた。
毎朝見てる情報本組のMCが遅い夏休みかなんかで、違う曜日のMCが代わりを務めますって言われた朝くらい気持ち悪い。ファストフードで紅茶と間違えてウーロン茶にシロップを入れて飲んだ時くらい気持ち悪い。パンツの前後を間違えて履いた時のお尻側の食い込みくらい気持ち悪い。
敬語ってなんだろう?丁寧であればいいのか?わたしも人のことは言えないけど、それ絶対違うやろ??
う~ん…
つきましては、わたくしもこれを持ちまして、この原稿をおフィックスとさせていただくことになります。
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