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昨今のヴィンテージバンドTシャツブームについて。自分なりの考え・付き合い方

なんか知らない間に世の中がヴィンテージTシャツブームになっている

たしかに数年前からYouTubeやファッションメディアで「バンドや映画、アニメTシャツの古着が高騰してます」みたいな古着屋さんの紹介をちょくちょく見かけるようになったんだけど、その時は「一部のファッショニスタの間で盛り上がってるだけで世間はそんなボロボロの布に数万も出さないでしょ」っていうくらいの感覚だった。ていうか実際当時はそんなもんだったと思うんだけど。
今はテレビでタイでの買い付け模様が取り上げられ、繁華街に行けば必ず数人はニルヴァーナTシャツを見かけ、メルカリにはヴィンテージ加工された偽GIANTタグのコピー品が数万で出品され(しかも売れてる)、超有名バンドだけが高騰してるのかと思ったらMAD BALLやAxCxなんかも数万で取引されてるなど、これは完全にブームが来ている。
「とはいえ定価3000円前後のTシャツが数万数十万は行き過ぎてないか」という意見もわかるけど、それでも欲しい人がいるんだから仕方がない。
なんだかSupremeのTシャツが安く感じてきた。

「聞いたことないバンドのTシャツは着るな」論争

で、中には「聞いたことないけどバンドTシャツ着てる」層がいて、それが音楽好きからヘイトを買っている。高校で軽音部に入ってて、同じく軽音部の同級生がストーンズのベロTシャツ着てたら別の同級生から「それって何かのブランドなんだよね?」って聞かれて当の本人は呆れてた。
個人的な意見としては「音楽が大好きでもTシャツのデザインがイマイチ」だったり「音楽は普通だけどTシャツが最高!」つって着てる時があるのであまり他人の事をとやかく言える立場でない…!
ただ、自分が服を買う時の基準としてブランド物でもなんでもそうだけど「なんでこれが欲しいのか」を言語化して人に説明できることが大事だと思っていて、「家に眠ってる何にも合わせられないパンツもこれなら合わせられそう」とか「シルエットが好きでファストファッションにも似たようなアイテムがないから」とかプレゼンできた方が説得力も増すし自分への買う言い訳にもなるという持論。
好きなバンドならいいけど、聞いたことないのならなんでそれを買おうと思ったか、ただ「カッコいいから」「みんな着てるから」じゃなくてもう少し説得力が欲しい。

ヴィンテージブームになって良かったこと、悪かったこと

僕自身2000年中盤からバンドTシャツ収集が始まった。
基本的にライヴハウスの物販、バンドTシャツ屋、オフィシャルHP、メルカリヤフオクが主な購入先。
日課としてふと気になったバンドを検索してオフィシャルサイトからMERCHを眺めたり、バンドTシャツ専門店のHPを隅から隅まで目を通したり、一日に何回もメルカリをチェックしたり。
そういうことをしていく内に「欲しいもの無くなってきたな…」状態になり、やがて古着ブームが到来。
ニルヴァーナとかレッチリみたいな最上級のバンドTは高いし通ってもないのでさておいて、ブームのせいなのか自分が通ってきたバンドの見たことないデザインが古着を漁るうちに少しづつ出てくるようになり「これならちょっと欲しいな…」と思うように。
ひと昔前はメタリカとかレッチリとか定番のバンドTシャツしか扱ってなかったイメージだけど最近は見たことない珍しいバンドやデザインのがフラッと寄った古着屋さんで出てきたり、Y2K時代のがヴィンテージ品として出回りだしたり。
このヴィンテージブームのおかげで見たことないTシャツに出会えたこと、探す場所が増えたのは良かった。ただべらぼうに高い

20年以上聴いてるけど「デザインが好みじゃない」という理由で1枚も持ってなかったMEGADETH、先日古着屋で見かけて購入。
アメコミ調なデザインにお馴染みのラトルヘッドが不在、そしてロゴがピンクという
MEGADETH Tシャツの固定概念が壊された



逆にヴィンテージブームの弊害としては、古着屋が乱立したことによって謎の接客を受けるようになったこと。
この間古着屋に入ったら明らかに好みじゃないハーレーみたいなTシャツ見させられて「これヤバくないですか?」って数分に渡って、しかも本人もよくわかってないまま語ってきたり。別のお店でOzzfestのハットを見つけて手に取ったら若い店員に「それオズの魔法使いのハットなんですよ」って言われて「え!?Ozzfestじゃなくて!?」って返したら取り乱した後ブツブツ何かを詠唱していたなんてことがあった。
そういえばこういう絶対に買わないアイテムについてプレゼンされることや、話聞きながら(内容薄いな~)って思うことがあるからあまり接客受けるのは好きじゃないんだけど、ブームで更にその被害を受ける可能性は上がった気がする。ただ個人で経営してるお店は造詣も深いし質問にもちゃんと返してくれる。

自分なりの古着ブームとの付き合い方


ブームとは言え全てが高騰してるわけではないので、狙ってる物でまだ手が届くのは今の内に。
例えばHEX ANTISTYLEという2000年代のスケートブランドを当時は学生でお金も無くて買えなかったので今になってちょくちょく集めてるんだけど、今でも古着が定価(当時5000円くらい)付近で買えるのでたまにメルカリとかで探してる。

特にお気に入りのHEX ANTISTYLE x エヴァンゲリオンTシャツ
比較的新しいとはいえ(つっても15年前)、昨今のアニメTブームとデザインを考えたら結構するのかなと思いきや今でも6000円くらいで買える

みんなが欲しい物はそら高くて当たり前なので、うまいこと隙間を見つけてそれが将来上がったらラッキーくらいの気持ちで集めたらいいんじゃないでしょうか。学生時代買えなかったブランドとか。
あとめちゃくちゃ当たり前のことだけど単にバンドTシャツが欲しいなら新品で数千円で買える。海外からの輸入でも円安とは言え古着に比べたらべらぼうに安く、しかも新品が手に入る。
古着が欲しいんだと言われたらそこまでなんだけど現行品もチェックしてみたら新しい出会いがあるかも。

完全に読みが外れた

集め始めた当初から薄々「自分が今買っているこのTシャツたちも将来お宝になるかな」って期待してる部分は多少あった。ただ、それは刹那的に販売されたアングラなバンドTシャツが一部マニアの間で取引される狭い界隈の話で、当時膨大な数販売され、多少デザインの違いはあれど今でもオフィシャルで新品で買えるような超有名バンドたちがこんな持ち上げ方をされるとは想像もしていなかった。
今じゃ数万で取引されているようなダイナソーJR、メタリカも学生時代3000円くらいで買えたので多少持っていたのだけれど、自分なんかより周りの友達の方がそのバンドに対して熱量が高く、なんか着るのが躊躇われた。なによりマッドカプセルマーケッツ着てた方が何倍も気分が上がるので登場頻度が少なかった。
なので物にはそれぞれ適切な場所にあった方がいいと思い、買ったときと同じくらいの値段で友達に売ったりあげたりした。見てたら返してほしい

最後に

ブームとは言え周りに流されすぎず、自分の背丈にあった物を、そしてなんなら利用してやろうくらいの心構えで付き合っていけたらと思ってます。
自分が聞いていたバンドたちがヴィンテージの域になるなんて歳取ったんだなぁと思うのと、現在進行形でベテランバンド以外でTシャツバンバン売れてまっせー人気でっせーみたいのが不在なんじゃないかとも思ったり。

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