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なぜデジタル遺品は「そっとしておいてあげようよ・・・」と言われるのか?

 長らく放置していましたが、デジタル遺品に関することなどをちょくちょく書き連ねていこうと思います。主宰する「プロのためのデジタル終活セミナー」の宣伝も兼ねていますので、ご了承ください。

遺品整理のルポではまず起きない反応

 故人のスマホやパソコンを調査するためのガイド記事を書くと、「そっとしておいてあげようよ・・・」という反応がほぼ必ずあります。けれど、故人の住まいを片付ける遺品整理サービスのルポルタージュでは、そうした声はまず聞きません。

 この違いはどこからくるのでしょう?

 デジタル遺品を「そっとしておいて」ほしい気持ち、すごく分かります。家族や親しい人に見られたくないアレコレがそのままの形で残っていたり、履歴を辿れば知られたくない行動パターンが明るみになったりしますから。

 とはいえ、そのあたりは自宅や自部屋も大差はないはずです。恥ずかしいモノを目立たないところに隠しておいたり、預金通帳や郵送物などが内緒にしておきたいモノやコトにつながったりもします。

 基本的にデジタル遺品は遺品の1ジャンルでしかなく、本質的には同じものなのです。

 それなのに「そっとしておいてあげうよ・・・」と思える理由は、おそらく、スルーしてもらえそうな感じがあるからではないでしょうか。

デジタルは物理的に邪魔にならない

 デジタルのコンテンツや痕跡は、対応するデジタル機器やアプリ、ネット環境などを介さないと見られません。実体もないので、そのままにしておいても物理的に空間を圧迫することもありません。

 仮に部屋に隠したいもの・・・たとえば、エッチな本があったとしたら、遺品になった時点で永遠とそのままにしておくわけにはいきませんし、見つかることを観念せざるをえないでしょう。それがデジタルだったらずっと放置しても問題なさそうですし、まったく気づかれずに済む期待も持てそうです。

 確かにそういう特性はあります。遺族が中身を把握しないままHDDやSSDを物理破壊したりすれば、そこに保存されたエッチな電子書籍は消滅します。あとは購入履歴さえ辿らなければ、完全なる「そっとしておいてあげる」が成立するでしょう。

スマホはそっとしてもらいにくい時代

 しかし、それでも熱心にデジタル遺品を調べる遺族が多いのは、デジタル環境に重要な情報が残されているケースが増えているためだと思われます。

・預金や有価証券、サブスク契約などのお金関連のもの
・仕事のデータや思い出のデータなど、個々の事情で重要視されるもの
・LINEを含むSNS、メール、通話履歴など、人間関係に関するもの
・健康情報や納税情報などの個人情報  ・・・など 

 ひと昔前なら、財布や手帳などに集約されていたこれらの重要な情報は、いまはデジタル、とくにスマホに集約される傾向が高まっています。スマホとマイナンバーと紐付ける実証実験も政府主導で進められていますし、コード決算サービスに給与の一部振り込むルール作りも進められいます。今後ますますスマホの重要度は増していくでしょう。

 そうした世の中において、デジタル遺品をそっとしておいてもらうためには、残された人たちが困らないように日頃から意識してデジタル環境を整えておく必要があります。何も準備せずにただそっしてもらうのを期待するのは、ちょっと都合がいいかも・・・。そう思ってデジタルを利用するのが安全なのではと思います。

そんな時代にプロも対応を

 その一方で、相続や供養、終活のプロでも、従来の遺品と同じようにデジタル遺品を扱える人はまだまだ少ないのが現状です。プロのサポートが手厚くなればより安心してデジタルが利用できますし、そっとしておきたいものを意図通りにそっとしておいてもらえる可能性も高まるはずです。

 デジタル遺品にとりわけ苦労しない世の中になればいいなと。そういう意図から「プロのためのデジタル終活セミナー」を始めました。

 デジタルの特性とデジタル業界の状況を把握すればほとんどは従来のノウハウの延長線上で対応できます。まずは無料版で全体像を掴んでみてください。毎月20日20時にオンラインで開催しています。

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 ということで、セミナーの宣伝も兼ねて、今後もちょくちょく発信していこうと思います。

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