【短編小説】君を待つ
497文字/目安1分
ごめんね。あなたのことは確かに好きだった。でももう無理なの。だから連絡してこないで。
君に振られた。あんなに好きだったのに。今も変わらず好きなのに。
君とはずっと一緒にいるのだと思っていた。けんかもいっぱいしたけど、その分楽しいことも多かった。これからのことも、ずっと先のことも、二人のことをたくさん話した。
君を傷つけてしまった。すれ違うとか、そういうことじゃない。振り返ればいくつも過ちが見つかる。数えきれない一つ一つを、今さら悔やんだって。
君はもう戻ってこない。
君がいつも乗る電車の中、同じ車両にいるんじゃないかと探してしまう。ふとした時に連絡をくれるんじゃないかと、通知を気にしてしまう。思い出を刻むように、写真フォルダをさかのぼってしまう。
君と歩いた道を辿るように。君と見た景色を映すように。
君を待ち続ける。
ねぇ、今度会う時は、いっぱい写真撮ろうよ。別に綺麗じゃなくていいよ。電車に乗って、少し遠出して、そこで撮るの。有名どころじゃなくていいんだ。後で二人で見返した時に初めて特別だって思えるように、なんでもないことを増やしていくの。
今はただ、あなたといられればいいよ。
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