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ストックオプション含む新株予約権の基本と事例をわかりやすく説明する

ファイナンスブログ#4

前回は転換社債とワラント債について紹介しました。今回は、新株予約権について記載します。(専門家ではないのでざっくりです)

新株予約権について

新株予約権とは以下の通りです。

新株予約権とは、ある条件のもとで自社の株式を行使価格で購入できる権利のことをいいます。たとえば、行使価格100円の新株予約権をもっていれば、株価が150円の時にその新株予約権を行使すると50円(150円-100円)の利益を得ることができます。ちなみに、新株予約権という用語は平成13年11月商法改正から用いられるようになりました。

簡単に説明すると、特定の条件において自社株式を事前に決めた行使価格で購入できる権利です。

例えば、行使価格100円の新株予約権を与えられた場合、株価が1000円になったときに行使すると1株あたり900円の利益が与えられるというものです。

なお、新株予約権には特定の条件が与えられるため、いつでもどこでも行使できるわけではありません。従業員や取締役に付与するストックオプションの場合は、会社を辞めたりすると権利がなくなるといったものが多いです。


新株予約権を発行するメリット

企業側、投資家側に分けて解説します。

企業側

企業側は、借入などとはちがい、負債を発行せずに資金調達が行えます。

また、スタートアップの場合、優秀な人材が興味を持ってもらっているが給与が出せないという場合に、新株予約権を付与することで、企業の価値を一緒にあげることによって得られる利益を共有し、巻き込むことが可能です。

投資家側(投資家/役員/従業員等)

発行する企業の株式価値が低いときに買い、株式価値が高まったときに権利を行使することで差額分が利益となります。

権利を行使する時期を投資家側がコントロールできるため、損失を抑えたり利益を最大化できます。


新株予約権を発行するデメリット

次に、デメリットです。

企業側

企業側は新株予約権を行使されたときに株式が希薄化するものです。

スタートアップの場合は上場できたのにも関わらず、新株予約権が行使された株式の大部分が売られてしまったりするとその分の売り圧が発生するため、株価の定価によってその後の資金調達に悪影響を及ぼす可能性がなくはないということもあります。

投資家側

新株予約権を取得するためにお金を払う必要があります。また、新株予約権を発行した企業の株式価値が下がった場合はそれがそのまま含み損になります。


ストックオプションとの違い

スタートアップだとストックオプションの話がよく出てきますが、新株予約権を従業員に与えるときに「ストックオプション」と呼ばれます。

企業側のメリットは、給与では魅力だと感じてもらえない優秀な人材に対してストックオプションを付与することでモチベーションを上げられる部分です。

また、利害関係を一致させることで途中で離脱させるリスクを減らせるので、株式比率の希薄化する割合に比べてパフォーマンスを良くできることがあげられます。

従業員側のメリットは、企業がM&AやIPOした際にリターンを得られることです。

一方デメリットとしては、企業側はストックオプションの仕組みを理解していない従業員にストックオプションを渡すと、IPO時にストックオプションの大部分がそのまま売り圧に変わってしまったりするため、注意が必要です。

まとめ

新株予約権は払込価格と行使価格、株価の変動を考慮しないといけないため難しく感じますが、専門的な部分は専門家がやってくれるため、起業家や従業員は概要を理解し、成功パターンや失敗パターンの事例を学ぶのが良いのではないでしょうか。

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