東雲祐月

同人物書き / 同人ノベルゲーム「ティアマトの星影」企画・シナリオ等

東雲祐月

同人物書き / 同人ノベルゲーム「ティアマトの星影」企画・シナリオ等

最近の記事

【小説】謳う彗星(ほし) その1

※「劇団くじら座」制作の同人ノベルゲーム「ティアマトの星影」の特大ネタバレを含みます。  ——次元の長いトンネルを抜けると、そこは蒼の惑星だった。夜の底が燦めきの蒼に染まった。  恒星に干渉しない絶妙な座標で進行を止める。よし、だんだん停泊もうまくなってきたってもんだ。 『——貴女のそれは、いわゆる「路駐」というやつではないですか』  身体ぜんたいに響く声。「わたし」の同乗者が、呆れた声でもの申すのはいつものこと。 「あのね、ここには切符を切ってくる宇宙警察もいないんだから

    • 【論考】ぼくたちは「星の人」として生きることができるか

       この怪文書は、2022年に刊行された『リトフラ vol.5』という素敵な同人誌に東雲が寄稿しました『planetarian』という作品についての論考です。  主宰のhighlandさんから掲載許可をいただきました。1年ほど前に。ありがとうございますm(__)m  ところで、どうして掲載がいまさら?  魂込めて書きましたので、『planetarian』が好きな方もそうでない方もぜひご一読ください。  そして、もしよければ下記の『リトフラ vol.5』ダウンロード版をぜひお手

      • 東雲祐月のあしあと

         東雲祐月です。しののめゆづきと読みます。「祐」は示右です。人じゃないよ!  いろいろ書いたり作ったりしているんですが、そういえば今まで活動内容をまとめたことってなかったなぁと思ったので、取り急ぎまとめてみました。  こうしてみると、その年ごとに印象的なできごとがいくつもあったんだなぁ…… ※「ティアマトの星影」以前にもいろいろ書いてはいたものの、習作レベルのものが多いため未掲載です。気になる人は遡ったり(やめてくれ)直接訊いたりしてくださいね。 2020年 2月 「C

        • 【小説】月見草

           本作は同人サークル「INTER ZONE」さん主宰の闇鍋合同誌『GOETIA』に寄稿した作品になります。 ※この小説は同人ノベルゲーム『ティアマトの星影』のとっても軽いネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください。  繰り返される高校での虚しい日々も数えてはや三年目になるのだから、いい加減進路をどうするか真面目に考えないといけない。いけないのだけど、気持ちは空中を漂うばかり、いっこう地上には降りてきてくれそうにないみたい。いっそ、このまま天高く突き抜けてしまえばいい

        【小説】謳う彗星(ほし) その1

          「ティアマトの星影」に係る備忘録 その1

          ○はじめに シナリオを書き終えたのがもう十ヶ月ほど前になろうかという作品なのに、どうして心は囚われたままなんだろう。  たぶん、自分の未熟さゆえ、プロジェクトとして完遂することができなかったからだと思う。作品の発表後、自分のなかで長いこと情熱が失われてしまい、やりたいことがぜんぶできなかったから。  じゅうぶん開示しきれていない設定や、構想だけはしているサブシナリオなど、心残りはシナリオ方面だけでも枚挙に暇がない。 (そのぶん、サウンド関連やPV等の広報の面でプロジェクトを展

          「ティアマトの星影」に係る備忘録 その1

          真空を満たすもの――挨拶に代えて

           このたび、noteを開設することにした。  ……というよりも、アカウントをずいぶん前に作ったことを忘れていたわけだから、改めて使用することにしたという方が正しいです。  理由はいくつかあるけれど、ひとつは長文というフォーマットを書くための場所が必要だと思ったから。    もうひとつは、自分の中にある空白に向き合っていかなきゃいけないと思ったから。  社会に出てもう一年が経つ。これまでとまったく違う環境に、ずっと押し流されているように感じていた。  だけど、それは言い訳に

          真空を満たすもの――挨拶に代えて