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「0→1」2つの方法論〜アイデアか実行力か〜コンセプチュアル思考

今読んでいる、「STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか」という本の中に、起業のアイデア着想の出発点は2つあると書いてある。

1.自分軸

自分の視座、意思、信念、感性、感情、経験など、自分自身の信じることや自己の能力から着想する。

2.マーケット/社会軸

事業環境、競合の動きなどから、事業の機会(opportunity)、実現性(feasibility)、可能性(potential)を検討しつつ着想する。

この7年ほどの起業経験の中で、「0→1」をする方法論は2つあるのではないかと考えていて、この本の内容とも少し被っていたので納得感がありました。

私自身は起業には「アイデア」の優先度が高いと考えるタイプですが、よく新規事業や起業の「アイデア」には価値が無く、「エグゼキューション(実行力)」のほうが重要という話があります。

アイデア自体は「0」を「1」に近づけるキッカケとして無くてはならないものですが、「0」から「1」にするには実行力が必要なのは言うまでもありません。

ただ、どちらも起業家のタイプ、得意不得意、好き嫌いに依存します。結局の所、どんな方法だったとしても最後までやりきれることが重要であり、その「0→1」の方法論は2つに集約されると考えています。

Ready Fire Aim

「Ready Fire Aim」を日本語にすると「構え、撃て、狙え」という意味になります。

これちょっとおかしいデスよね?
普通に考えると、「構えてから狙って撃つ」の順です。

しかし、構えてから「狙う」のは後回しで、とりあえず直ぐに「撃つ」ことがここでは重要で、撃ったあとに、狙うというのがポイントです。

「0→1」でありがちな話が、「Ready(構え)」と「Aim(狙う)」に時間をかけすぎて、「Fire(撃つ)」に至らないということが大半です。

スタートアップの王道としてよく使われるリーンスタートアップ戦略では、アイデアがあれば直ぐに小さく試作品をつくり(Ready)、実際にそれを売ってみて(Fire)、フィードバックをもらいながら調整する(Aim)を繰り返して、早く失敗をすることで、成功への最短距離を行くという方法です。

まさに、「Ready Fire Aim」の順で、「0→1」にたどり着く方法の一つです。

これは、アメリカで数々の事業を成功させてきた起業家のマイケル・マスターソンの書籍の題名でもあります。

コンセプチュアル思考

一方、「0→1」をイノベーションの観点から考えると、「Ready Fire Aim」では足りない気がします。思考が固まらないうちに先に進んでしまうということは、早く市場に意見を求めてフィードバックを素に世の中が求めている顕在的なニーズに答えることで正解にたどり着く方法です。

潜在的ニーズを探し出したり、まったく想像もつかないようなニーズを作り出すという点において、イノベーションを起こすには別の方法があるのではと思います。

イノベーションの権威である濱口秀司氏によると「イノベーションとは」以下の3要素を満たしていることだと言います。

1. 見たこと、聞いたことがない
 −類似が殆どない
 −説明しても理解してもらえない(過去に見たことがないので)
2. 実行可能である
 −ビジネス上実行できるコト
 −実現までの期限を設定可能なコト
3. 議論を生む
 −賛成に対して、反対や否定的な人も多くいる
 −現実性がなかったり、リスクが高そうに見える

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出典:https://bizzine.jp/article/detail/1999

私が現在やっている「ロコタビ」というサービスも、2012年頃に着想したアイデアでしたが、当時誰に話しをしても「見たこと・聞いたことがない」ということで理解してもらえません。人によってはそれはリスクが高い、違法だとか否定的な意見を多くもらいました。そして、そんなのあなたには無理だという人もいました。

実際に、アイデアが出てから、サイトが2014年にOPENするまで2年近い歳月が経ってしまい、「Ready Fire Aim」の方法とは真逆のアイデアだけをただ時間をかけて練っていくという作業をつづけました。

結果、そのアイデアから事業をスタートさせ、2020年現在世界175カ国2,500都市在住の日本人ネットワークが出来上がりました。

そのやり方をどう説明すれば良いのか考えていたところ、面白い考え方にたどり着きました。

それが、「コンセプチュアル思考」という方法論です。

思考プロセスのなかで、自分なりの「観」をつくっていくという方法だそうです。

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1)抽象化(引き抜く)
   ↓
2)概念化(とらえる)
   ↓
3)具体化(ひらく)

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コンセプチュアル思考でいう「観」が、「0→1のアイデア」というのが私の理解です。実際に、現在のアイデアを自分の過去の経験や出来事を見つめ直す中で抽象化を行い、それを言葉で定義したり図に書いて、そこから更に気づきを得て、自分なりの「観」を育て上げるといったプロセスを何度も行いました。

それによって、他者には真似できない自分の「観=アイデア」が出来上がり、それを実行する際に揺るぎない自信の素になったというのが自らの経験としてあります。

本が発売されたようです。


どちらでいくか?

実際に、「0→1」の方法論を知ったところで、成功確率は1/10位かもしれません。どちらの方法をとったとしても、「なぜ、それをあなたがやるのか」という問いに答えられなければ、途中で挫折することになるのは目に見えています。

時流を見て短期間でイッキにアイデアを具体化して走り切るという短距離走タイプの人もいます。その人は「Ready Fire Aim」の方法論が向いているかもしれません。

ただ、私個人としては「自分軸」でアイデアを着想し、実行したほうがそれを継続する事ができると思っています。そういう意味では「コンセプチュアル思考」でいくことが自分の「0→1」の方法だと思います。

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