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人の言葉をそのまま使わない〜今観るべきドキュメンタリー2選

今回の国家公務員法の定年制延長にまつわる話題について、色々な批判や論争がネットで拡散され、マスメディアや野党もそれに乗じて自分たちに都合のいいように主張を繰り返すという事態になっています。

このような事象を見るたびに、人はものごとを「シンプル」にとらえがちで、他人の「言葉」を簡単に真に受けてしまう事があり、自分もその流に巻き込まれてしまうのではないかと、いつも懸念しています。

今回、なぜ人は世界をシンプルにとらえ、単純な選択をし、それがどういう結果になるのかといういくつかの興味深い事例を紹介します。

人間は自分が見たいものしか見ることができない

人間の脳の機能として「焦点化の原則」というものがあります。

人の「意識」は、同時に2つ以上のことをとらえるのが苦手です。それによって焦点化が起こり、焦点があたっているひとつのことしか気づかない(見えない)のです。

そして、脳は「安心・安全を求める」という別の機能(「快・痛みの原則」と言います)があり、「わからない」という不安な状態を解決するために、答えを求めようとします。

脳はその事自体の正否は関係なく、「わからない」という不安な状態に意識を向けると焦点化が起こり、ものごとをシンプルにとらえてしまうことで、単純な答えを選んでしまうことがあるのです。

言葉は省略・歪曲されて伝わる

人間が日常使っている「言葉」は過去の体験が作り出すものです。

「言葉」自体は無色透明ですが、それを話す人、聞く人それぞれで、その「言葉の意味や概念」は、その人の過去の体験や経験と紐付いています

そして、その人の体験や経験がアウトプットされたものが「言葉」です。

図のように、体験は多くの情報が含まれていますが、「言葉」はその一部しか表現できていないため、体験を「言葉」に置き換えた時に、多くの情報が省略されます

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一方、これは「言葉」の受け手側も同じで、他人が発した「言葉」を受け取った時に、その省略された体験情報を自らの体験情報で埋めることで理解をします。

その際起こることが「歪曲」です。

人間は、ものごとを自分のフィルター(過去の体験など)を通して、自分なりのものの見方で見てしまう(歪曲)のです。

そのため、他人の「言葉」を受け取るときには、この言葉が伝わる際に「省略と歪曲」があることを理解しておく必要があります。

また、それを他の人に伝える際には必ず「省略と歪曲」が入った情報が伝わると知っておくと、伝言ゲーム的な言葉遊びは慎重にせざるをえないと思います。

おすすめのドキュメンタリーや本

最後に、人は世界をシンプルにとらえ、単純な選択をし、それがどういう結果になるのかという興味深い事例をご紹介します。

どちらも詐欺容疑で訴えられるという話ですが、主人公を取り巻く人々の行動が結果的に話を大きくして、惨事へとつながっていくという内容で、SNSでの気軽ないいねやシェア、有名人の支援が世論形成をしていくという事例として興味深いです。

■FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー
バハマの島で開催された史上最悪の音楽フェスティバルのドキュメンタリー。
有名セレブや、インフルエンサーによる拡散が結果として大惨事を巻き起こし、最終的には逮捕者まで出すに至った「事件」は、今見るに値するドキュメンタリーです。

■The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley

残念ながら、これは日本で観ることはできませんが、女性版スティーブ・ジョブズと呼ばれた血液検査の医療ベンチャー企業CEOのエリザベス・ホームズの失敗を描いたドキュメンタリーです。

エリザベス・ホームズの立ち振舞や行動がアップル創業者スティーブ・ジョブズを彷彿させるだけでなく、セラノスには元国務長官のキッシンジャーなど著名人が取締役に名をつらね、ペイパル創業者で投資家のピーター・ティールも出資していたことで、多くの人が彼女と会社を盲目的に信じ込んでんでしまったことが、後の惨事に至るというストーリーです。

ドキュメンタリーはアメリカ限定で見ることができませんが、本やポッドキャストもあります。


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