見出し画像

You can make it!! 時事英語【#001 terror】

▼私は2014年10月から2015年3月にかけて,BSスカパーの「NEWSザップ!」という番組で〈You can make it!! 時事英語〉というコーナーを担当させていただきました。これは3時間の生放送の中で2回,CM代わりに5分ほど流れるコーナーで,私は生放送ではなく,月に1回お台場のスタジオで12本分の収録を行い,それを日替わりのローテーションで流していました(上の写真は2015年3月9日にゲストとしてスタジオで生出演させていただいた時のものです。隣はモーリー・ロバートソンさん,奥は司会の神田愛花さん)。

▼お話をいただいた時点では,まだコーナーの内容も固まっていなかったのですが,1回が5分ほどの時間であることや,この番組自体がBBC / CNNの宣伝も兼ねているということから,このコーナーではBBC / CNNのニュース記事の中から毎回1つの単語や熟語などを取り上げて解説することにしました。内容については全て任せていただいたので,自分で以下のような選定基準を決め,資料もフリップも作り,収録に臨みました(そのため,収録前日は徹夜でヘロヘロになりながら収録したこともたびたび…)。

===選定基準===
1.できるだけ新しい記事から選ぶ。

⇒可能ならば放送予定月の1ヶ月前まで。最も古くても同じ年の中で。(一部,例外あり)

2.できるだけ汎用性の高いものを選ぶ。
⇒珍しい表現も時に取り上げるが,番組を見た人たちが今後,その表現をマスターすることで「あ!これ知ってる!」と言えるようになることが大切なので,できるだけよく使われている表現で,なおかつ,独学では習得しづらいものを中心に選ぶ。

3.珍しい表現や流行語を取り上げる時は,関連表現があるものを紹介する。
⇒珍しい表現や面白い表現の中にはいわゆる「一発屋」「流行語」がある。流行が過ぎてしまえば役に立たなくなるし,汎用性も低いため,そうした表現を取り上げる際は,できるだけそれに関連した表現も紹介し,汎用性を高める。
==========

▼この選定基準に従って,最初の月の表現を選び始めた時,真っ先に頭に浮かんだのが terror (テロ,恐怖)という単語でした。おりしもISIS(イスラム国)の問題がクローズアップされていた時で,CNN・BBCともに常にトップ記事の多くを占めていました。

▼しかしながら,terror だけではあっという間に終わってしまうので,それに関連した派生語として,terrorism / terrify (terrifying / terrified)/ terrific という単語も取り上げることにしました。

▼このように,1つの単語を紹介し,その単語と同じパーツを持つ単語をセットにして紹介することで単語を覚えやすくする方法は,英語の学習ではオーソドックスな方法ではありますが,ニュース記事の例文を引用することで,①ニュース記事の内容と関連付けて単語の意味をおぼえられる②ニュース記事の中で実際にどう使われているのかを知ることで今後ニュースを読む時に役に立つ,という点がこの「You can make it!! 時事英語」の特長であったと言えます。

▼ここでは,時間の制約上,番組内では紹介できなかった関連項目などについても加筆して,詳しく説明してみたいと思います。

【terror】

▼「恐怖」「恐ろしいもの」「テロ(行為)」「テロ集団」
▼「ぎょっと」を意味するラテン語からで,14世紀ごろから使われている。
▼terr-(ぎょっとさせる)+-or(もの)

◆ディズニーシーに「タワー・オブ・テラー(Tower of Terror)」というアトラクションがありますね。和訳すれば「恐怖の塔」とでも言えるでしょうか。ぼくのように絶叫マシンが苦手な人にとってはまさしく「恐怖の塔」ですね…(゚Д゚;)

【例文】
[001-1] PM Tony Abbott addressed the terror threat level in Australia and announced it would be raised from medium to high.
(トニー・アボット首相はオーストラリアにおけるテロ脅威レベルに言及し,中程度から高程度にまで高められるであろうと述べた。)
出典 http://edition.cnn.com/video/data/2.0/video/bestoftv/2014/09/12/sot-abbott-terror-threat-level.seven-network.html
□□ PM Prime Minister(首相)
□□ address~ ~に言及する
□□ threat 脅威
□□ announce~ ~を告知する
□□ raise~ ~を高める
□□ medium 中程度

【terrorism】

▼「テロリズム」「恐怖状態」「テロ行為」
▼18世紀ごろから使われ始めたことば。
▼terror(恐怖)+ism(主義)


◆-ismという接尾辞(お尻に付くパーツ)は,「~主義」を表します。
□□ communism 共産主義
□□ feminism フェミニズム・女権論

◆-ismはさらに「その主義に基づいて人を差別する」という意味でも用いられることがあります。
□□ sexism 性差別
□□ ag(e)ism 高齢者差別

【例文】
[001-2] The number of people who say that acts of terrorism are likely to occur around the anniversary of 9/11 has significantly increased from three years ago.
(9/11の記念日あたりにテロ活動が発生する可能性があると言う人々の数が3年前から大きく増えてきた。)
出典 http://edition.cnn.com/2014/09/10/politics/cnn-poll-terrorism
□□ act 行為・活動
□□ occur 起こる
□□ anniversary 記念日
□□ significantly 重大に・大きく
□□ increase 増える

【terrify】

【動詞】「~をひどく怖がらせる」
terr-(恐ろしい)+-ify(~にする)
⇒形容詞形①:terrifying 「人を恐れさせる」
⇒形容詞形②:terrified 「(人が)怯えている」

◆-ifyは「~にする」という意味の接尾辞ですから terrify は「恐ろしくさせる」の意味になります。

◆ここで気をつけねばならないのは,terrify から派生した2つの形容詞の用法です。形容詞形①の terrifying は「人を恐れさせる」の意味で,主語になるのは恐怖を与える「原因」ですが,形容詞形②の terrified は「怯え(させられ)ている」の意味で,主語になるのは恐怖を与えられている人になります。

◆これは,形容詞の interesting(面白い)と interested(興味がある)の違いに相当します。そもそも英語では,「感情」はひとりでに湧き上がるものではなく,何らかの「原因」が「人に感情を与える」のだと考えられています。以下の2つの例文を見比べてください。

(a) This book is interesting.
(この本は面白い。)
⇒「本」が「(人に)興味を与える」

(b) I am interested in this book.
(私はこの本に興味を持っている。)
⇒「私」が「興味を与えられている」

◆この2つの違いを頭に入れておけば,同じような感情表現に直面した時にも応用できるはずです。そこで,例文を読む前に,練習問題で慣れておきましょう。( )内の2つの中から正しいものを選んでください。

(1) The game was ( excited / exciting ) to me.
(2) I was ( excited / exciting ) by the game,

◆正解は以下の通りです。
(1) exciting その試合はぼくを興奮させた。
(2) excited ぼくはその試合に興奮した。

◆それでは例文を確認しましょう。

【例文】
[001-3] A terrifying boat trip for a dog owner has a happy ending thanks to a young rescuer.
(ある犬の飼い主にとっての恐ろしいボート旅行が,一人の若き救助者のおかげで幸せな結末を迎えた。)
出典 http://edition.cnn.com/video/data/2.0/video/us/2014/08/13/dnt-wbz-dog-falls-overboard-and-survives.wbz.html
□□ thanks to~ ~のおかげで
□□ rescuer 救助者
【例文】
[001-4] Roy is completely terrified by the movie and it proves very difficult to hide this fear ...
(ロイはすっかりその映画におびえてしまい,この恐怖心を隠すのはとても困難だとわかる。)
出典 http://www.bbc.co.uk/programmes/b00n4j0y
□□ completely 完全に
□□ prove + 形容詞 ~だとわかる・判明する
□□ hide~ ~を隠す
□□ fear 恐怖心

【terrible】

「ひどい」「ひどく悪い」「手に負えない」
terr-(恐ろしい)+-ible(~にする)


◆-ibleは able (できる・される・~にする)という意味の接尾辞です。そこから terrible は「恐れられるものにする」⇒「ひどい」「ひどく悪い」「手に負えない」といった意味になります。

【例文】
[001-5] The Ebola epidemic now raging across three countries in West Africa is three-fold larger than any other outbreak ever recorded for this terrible disease.
(今,西アフリカの3つの国々で猛威をふるっているエボラ病の流行は,この酷い病気についてこれまで記録されてきた他の大流行よりも3倍大きな規模である。)
出典 http://edition.cnn.com/2014/07/24/opinion/garrett-ebola/index.html
□□ Ebola エボラ病
□□ epidemic 流行(⇒ #002 を参照)
□□ rage 猛威をふるう
□□ three-fold 3倍
□□ outbreak 大流行
□□ record~ ~を記録する
□□ disease 病気

【terrific】

「ものすごい」「ものすごくいい」⇒ terrible とは異なり,良い意味で使う。
terr-(恐ろしい・猛烈な)+ -ific(~にする性質のある)


◆terror のところで「絶叫マシン」についてお話ししましたが,世の中にはそうした絶叫マシンが大好きな人もいます(ぼくには理解できませんが…(゚Д゚;))。そうした人にとって絶叫マシンは「恐ろしい」というよりむしろ,「ゾクゾクするほどすごくイイ!」と感じられるはずです。

◆この terrific という単語はまさにその意味で,「恐ろしい」という否定的な意味ではなく,「素晴らしい」という肯定的な意味で用いられます。今回紹介した単語の中ではこれだけが「恐怖」という意味を含まないので,気を付けてください。

【例文】
"It was a terrific weekend," said Baldwin about the event. "It was great to spend some time with the family."
(「素晴らしい週末だったよ」とそのイベントについてボールドウィンは語った。「家族と時間を過ごせたのがよかった」)
出典 http://piersmorgan.blogs.cnn.com/2012/07/09/billy-baldwin-on-his-brother-alecs-wedding-and-alecs-battle-with-the-paparazzi/

▼#001 terror の解説は以上です。この記事も少しずつ更新していきます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?