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607円

▼半年ほど前にこんな記事がありました。

2020年度に首都圏の私立大学に入学した自宅外通学者への仕送り額は、過去最低の月額8万2,400円だったことが2021年4月5日、東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)の調査結果からわかった。仕送り額から家賃を除いた1日あたりの生活費も607円と過去最低であった。

▼世の中には様々な格差がありますが,これは地域格差の一つである,と言えるのではないでしょうか。首都圏の私立大学に地方から進学するのはかなりのお金を必要とします。学費だけでも年間で150万円近くかかり,さらに家賃に生活費も負担しなくてはならないのですから,親の負担は相当なものになります。

▼解決策としては,私大の学費を下げることが考えられますが,そのためにはこの記事にあるように政府が私立大学と学生に対する経済的支援を充実させるしかありません。

東京私大教連では、「私立大学への補助があまりにも少ないため、私立大学の学費は高く、日本は諸外国と比べて家計負担が非常に大きい国になっている」と指摘。「とくにコロナ禍は、学費負担の重い私立大学生に極めて深刻な影響を及ぼしている。保護者の家計や学生のアルバイトが打撃を受け、私立大学の高すぎる学費のもとで、各家庭の教育費負担は限界に達している。国による私立大学生への経済的支援が急務」としている。調査結果も活用して5月から、私立大学生の学費負担の大幅な軽減などを求める国会請願署名運動に取り組んでいくという。

▼「金がなければ国公立を目指せば良い」と主張する人もいるかもしれませんが,誰もが5教科7科目をクリアできるわけではありませんし,学部や学科によっては特定の私立大学にしか存在しないものもあります。また,そもそも私大ではなく国公立大を増やして入学しやすくすること,特に東京だけでなく地方の公立大学を充実させ,首都圏の私大に地方から進学する必要をなくすことが急務だと思うのですが,学究を軽んじる現代の日本の風潮があることから地方に国公立大を新設することはあまり現実的ではないでしょうし,地方には就職先がないことや,就職活動でいまだに「大学フィルター」が幅をきかせている現状では,首都圏の私大に地方から進学する流れを止めることはできないでしょう。

▼あるいは,企業が私立大学と提携し,働きながら勉強し,さらに卒業後にはその企業に優先的に正規雇用で入社できる仕組みを作り,学費を(せめて半分でも)企業に負担してもらうこともできるのではないでしょうか。

▼イギリスの有名な家電製品企業・ダイソンは2017年に大学を設立しました。学費は無料,給料まで貰え,最先端の仕事が学べるということで,20倍もの倍率になったとのことです。

▼先日,サントリーHD社長の「45歳定年制導入」について書きましたが,どうも日本の政財界は「ケツの穴が狭いケチなオッサンたちが牛耳っていて,若者を食い物にしている」ような印象を受けます。ダイソン社のような「太っ腹」な企業が日本でも現れないのでしょうか。これからの日本の豊かさを築くためには若者への投資が何より欠かせないのですから。

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