31歳にして自分が天才ではないと気づいた日

『この高校には根拠のない自信を持った人ばかりいます。』


ぶっちゃけ受かると思っていた。
受かる可能性を信じていた。
だからこそ当日かなり緊張した。

今日、令和6年度の一級建築士学科試験があった訳だが見事に惨敗した。合格点マイナス10点超。たぶん。

今思い返せば普通に実力不足。なぜ受かると信じていたのかがわからない。敗因はたくさんあるが、シンプルである。そう、努力が足りなかった。


そもそも受かる気があったのか?

今から10ヶ月前。
せっかく大学入り直して建築を学んだ訳だしキリがいいところまでやろうということで、一級建築士を受けることに決めた。同僚に聞き資格学校の申し込みをした。(数十万円払った。)

『年明け授業が始まるので、基礎の準備をして〇〇までやっておいてくださいね。』

気づいたら年が明けていた。

年始、授業のガイダンスがあった。ここからは週一で授業をしていくらしい。一方、自分にはやらないといけないことがあった。卒業設計に没頭した。

気づいたら4月になっていた。

異動、兼務、役割変更、水日休み

4月になりガラッと仕事が変わった。職域も役割も関係者も変わった。休みも変わり土曜の資格学校に通えなくなった。

これまで以上に仕事中心の生活になり(めちゃくちゃ楽しかったが)、一級建のことは頭の片隅に追いやっていた。

調べてみると5.6月から勉強を始めても受かる人達がいた。自分もそのタイプだと思った。『今やってもどうせ忘れるから。』と気づけばパソコンを開いていた。

勉強をやらなくてもいいように仕事をしていた。

合格のためには500時間必要

6月末、資格学校から一通のメールが届いた。直前攻略のスケジュール。最後の確認のために週3で一問一答大量にしていくとのこと。

初日は仕事でいけず、2回目に参加。”確認”というテイで周りがスイスイ進めていく中、自分はほとんど何もわからなかった。さすがにまずいと焦ったと同時にこうも思った。

『ここから受かるのがカッコいいんじゃね。』

おそらくそれまでの勉強時間は、4h/週×4週×4ヶ月の約60時間。7月頭から4h×25日の100時間やれば可能性は見えてくると信じた。

2週間前の模試で67点

試験ちょうど2週前の7/14。模試で67点を取った。偏差値は40。3500位/4500人ほど。

合格点を90点とするとくそみたいな点数だが自分はポジティブに捉えていた。2週間の勉強で20点近くあがった感覚があった。勉強したところが伸びていたからこそやればいけると思った。

[模試③]
合計67/125

計画11/20
環設7/20
法規22/30
構造16/30
施工11/25


いける可能性が見えてきたからこそ、なおさら本気で勉強することにし、試験5日前から仕事を休ませてもらうことにした。詰め込めば絶対いけると、受かるとマジで信じていた。

試験3日前、仕事で受けれなかった模試をやったら、合格点に近い水準を取れた。これはいけるとさらに思った。

[模試②]
合計88/125

計画15/20
環設18/20
法規23/30
構造15/30
施工17/25


本試験は見事に惨敗

昨日の夜はあまり寝付けず、今日の朝は少し吐き気がした。これまでの人生を振り返るとテスト当日にこんなことはあまりなかった。
ちゃんと準備をしたときは自信があるから、準備をしてない時はどうでもいいからきっと緊張しない。
今日は朝からおかしかった。自分の実力以上を出さないと受からないことを身体がきっとわかっていた。

[本試験結果]
合計79/125

計画12/20
環設15/20
法規15/30←足切り
構造23/30
施工14/25

[目標点]
合計95/125

計画14/20
環設14/20
法規26/30
構造24/30
施工17/25

結果は見事に惨敗だった。科目ごとの目標点は1/5科目だけ超え、法規は目標-11点、さらに足切りを食らう水準だった。

一級建における法規は唯一持ち込み可という特殊科目であり、法令集(主に建築基準法)を試験時間中に確認できる。
2回の模試で22点、23点を取っていたからこそ、本試験では集中力UP効果で26点くらい取れると思っていた。

今考えると本当にバカである。理屈ゼロ。


やってできないことはなかった

事前の準備をして納得するまでやって合格できないことはこれまでなかった。大した資格は受けていないが、宅建にしろFPにしろ証アナにしろキャリコンにしろ、なんとなく1発で受かってきた。

ただこれが、まさに過信でしかなかった。これまでは難易度が高くもない試験にたまたま受かってきただけなのだ。その過去によって自分はイケると勝手に思っていたのだ。天才だからなんとかなると信じていたのだ。

『この学校には根拠のない自信を持った人ばかりいます。』

高校のとき賢いやつだらけだったからか先生が何かの時にこう言っていた。なぜかわからないが自分には刺さっていて、大事なことだと思ってきた。

根拠のない自信によって失敗した

今回ダメだった理由は山ほど挙げられる。

建築に対するモチベーションの低下
仕事の忙しなさ
勉強開始の遅れ
持ち込めば解けるという過信
寝不足でのパフォーマンス不足
勉強箇所の取捨選択をした判断
隣のおじさんのワキガと後ろのおばさんの独り言

(最後以外は)正直どこまでいっても努力不足でしかないが、そうさせてしまったのは、根拠のない自信である。

『根拠のない自信によって挑戦することができる』という先生の言葉の意味が、『根拠のない自信によって努力しなくてもどうにかなる』に自分の中で変換されてしまっていた。


自分は天才ではない。凡人である。

今日、3科目目の法規が始まって15分ほどした時、これは落ちると初めて思った。圧倒的な準備不足が露呈して、該当箇所が見つけられない。法令がまともに読めず理解できず、内容が頭に入らない。気持ちが焦るとさらに理解できなくなり、法令集と時計を何度も目線が行き来する。

試験完了2分前、まだ解けていない問題が何問もあり適当にマークシートを塗りつぶした。意気消沈。構造と施工は抜け殻状態だった。

自己採点はまだまともにしていない。できなかった自分にまだ目を向けたくないからこそ、自動採点にした。

試験まで残り365日

久しぶりに悔しいと思った。悔しさが人を成長させるととある人が言っていたがまさにそれ。

この気持ちを忘れず、リベンジしたい。
次は根拠のある自信にして。

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