マガジンのカバー画像

ベンゾジアゼピンの減薬・断薬

66
運営しているクリエイター

#身体症状症

身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(2/4)

身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(2/4)

ベンゾジアゼピンの離脱症状には個人差が大きく、医療者の側の理解水準も大きく異なっています。標準偏差が大きい変数を誤差が大きなメジャーで測定するようなものですから、離脱症状の表現型や当事者の思考や感情の表出がどれくらい過度で極端なのかを判断することが難しいのは間違いありません。

「ベンゾジアゼピンの情報を収集するためのSNSアカウントを持っているような離脱症候群当事者」の一部にはここで既に感情的に

もっとみる
身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(3/4)

身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(3/4)

つまり、ベンゾジアゼピンの離脱症状そのものだけではなく、その「純度」にも大きな個人差があるのかもしれない。

例えば、離脱症状の存在すら知らずに長年マイスリーを服用していた患者さんがマイスリーを持参し忘れて旅行に行って旅先で眠れぬ夜を過ごし、3日目に強直間代発作(benzodiazepine withdrawal seizure)を起こして救急搬送されたといったケースでは心理社会的要因の介在は皆無

もっとみる
身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(4/4)

身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(4/4)

「指しすぎ」であるように思える患者さんを診察する場合でも、先入観を持たずに病歴を聴取し、ベンゾジアゼピン離脱症候群の診断が付き、条件を満たしていれば漸減を開始します。漸減が進み離脱症状が改善するにつれて、心気的な訴えが影を潜めることも少なくありません。

減薬には時間がかかるので、患者さんと顔を合わせる期間や積算時間は長くなります。それを活用して治療関係を構築し、患者さんの性格傾向やベンゾジアゼピ

もっとみる
身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(1/4)

身体症状症(旧 身体表現性障害)とベンゾジアゼピン離脱症候群(1/4)

本稿は誤解を招きやすい内容を含んでいます。
内容どころかタイトルを見ただけで怒り心頭の方もおられるかもしれません。もっと婉曲な、あるいは比喩的な言葉を選ぼうかとも思ったのですが、敢えてそのままのタイトルにしました。

ベンゾジアゼピンの離脱症状に苦しむ当事者様の中には、医者に離脱症状を訴えても「この薬は一生飲んでいても害が無い安全な薬だ」、「止めたければいつでも止めることができる」、「離脱症状では

もっとみる