「めん次郎」のきつねうどん@大阪
現在の仕事の関係で、ときどきイベント立ちあいのための出張がある。この11月和歌山県の有田川町という、これまでほぼご縁のないところでの開催があった。立ちあいそのものは、昼まえくらいに行って、1、2時間くらいいるのをスタンダードにしている。和歌山市よりさらに南で、最寄りの藤並駅まで、特急「くろしお」で1時間半くらいかかる。アクセスにかなり迷う。
迷ったすえ、大阪に前泊することにした。大阪駅直結のグランヴィアに泊まって、朝「くろしお」に乗る作戦である。イベント前日、金曜日の夕刻、新大阪からJRで大阪駅へ。電事も駅もすごい人の多さだなあ。
京都、神戸には頻繁に出かけていて、リピートしている飲食店も多いのだけれど、じつは大阪というところは、なぜかほとんど行く機会がなく、まったくもって土地勘がない。大阪駅周辺でと、事前に知人に相談したところ「大阪駅前第3ビル」の地下がおもしろいとすすめられた。大衆的なお店が密集していて、昭和の香り満載だと。マップをみるとグランヴィアから阪神百貨店の脇の道を行くとすぐみたい。一泊するとき愛用しているCOACHのトートを部屋において、財布とスマホだけ持って出撃。すぐに「第3ビル」にたどりつき、地下に降りてみる。
いきなり喧騒と圧倒的なエネルギーに包まれる。金曜日の夜ということもあり、若い勤め人が多いように見受けられる。B1とB2が飲食店街で長方形の敷地に縦横に細い通路が配置されているようだ。そして、その通路の両側にびっしりと飲食店があった。居酒屋、串揚げ、ホルモン焼きに洋食、焼肉やエスニックもある。通路までテーブルがはみだしているような店も目につく。いったい何軒のお店があるのか、そして堂々と「店内喫煙OK」の貼り紙をしているお店の多いこと多いこと! 2つのフロアを歩くものの、どこも人間が溢れ出さんばかりで、入れる店がないではないか。。
うろうろするうち、ようやく禁煙でこぎれい系のお店のカウンターを発見。その名も「大衆酒場 びりちゃん」。なんとか席について、鳥料理とポテトフライをオーダー。芋焼酎を2杯。ぼんやり飲んでいるのだけれど、周りの若者大声関西弁に囲まれる。不思議にあまりうるさくは感じない。「びりちゃん」は2杯で切り上げる。お代は2000円ちょっと!
締めにうどんでもと通路を歩くうち「めん次郎」を発見。カウンターだけの小さな店だ。愛想のいい大将と歳上の女性の2人でやっとおられる。先代の奥さんと息子さんではと、勝手に想像する。きつねうどんは関西にしては出汁のいろが濃いと思ったが、お味はばっちり、しかもお母さんが揚げたてだからと天かすをサービスしてくれた。ここんちでは、麦焼酎をゆるりと1杯。大満足で部屋に帰る。
最初はやや動揺したが、結果的にしっかり「第3ビル」を楽しむことができた。部屋に戻って、なんだかすごいところだったなあとしみじみ思う。魔窟のようでもあるけれど、食のワンダーランドであることは間違いない。あの世界感、国内の他の街にはないんじゃないだろうか。もしかしたら、大阪で暮らしたら楽しいかもと思い始めていた。
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