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【読書】『独居老人スタイル』 都築響一 ちくま文庫(2019)

僕は50歳代後半なので、自分では「老人」ではないと思っているけど、僕が小さい頃は60歳というと「老人」だった。
今は60歳というと、まだまだ若い(老人として?)と言われるけど、本書に出てくる人のように「独居」で、かつ自分のペースで生きる人たちを知りたいと思い、読んでみた。
 
著者が「20代のころに50になった自分を想像することは不可能だったけれど」、と書いている。
僕もまったく同じで、20代の頃には50代の自分を想像できなかったし、何よりどうやって生きているかが想像できなかった。
でも、ずるずる生きてくると、中身がさして変わらず、さまざまな能力の劣化を自覚すると、一体これからどう生きていくのだろう、と想像できない先に若干不安になったりもする。
 
この時点で、本書の「老人」とは雲泥の差がある。
本書の「老人」は、「老人」になる前の生き方を「老人」となった時点でも続けているのだ。それは、自分でその道で生きてきたことの延長であったり、たとえサラリーマンであっても、趣味として、いや趣味以上のものとして取り組んできたことがあったりする。
この差を今からどうするのか、これは僕の問題なのでとりあえず置いておく。
 
本書に登場する方々は、いわゆる「スポーツ系」の元気な老人、パワフルな老人ではない。著者のメガネにかなった、「アーティスト系」の生き方をしている方々が多い。
淡々と、そして、自分のスタイルともって生きている方々が多い。
「生きている」というのは、生活全てにおいて、ともいえる。
「スポーツ」も「アーティスト」も自己表現だと思うけど、生活全てが自己実現になりやすい「アーティスト」だと思う。
 
これからの僕の生き方に大いに方向と力をもらえる本である。

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