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社会課題解決志向の迷えるプロダクトマネージャーがバイアスを吹っ切れてきた話
IT 業界のジェンダーギャップを打破することを目指す転職サービス Waveleap さんが主催する「#私がテックリードになる理由 アワード」の優秀賞に選んでいただきました!
私がPM (プロダクトマネージャー)にキャリアチェンジした理由は、人の暮らしを良くするプロダクトを作りたいから🙋♀️
— さいとう (@ysaitoh_t) February 19, 2024
個人の課題は社会の構造課題に通ずるもの。ミクロとマクロを往還し社会の課題をプロダクトで解くためのPM力をもっと伸ばしたい!💪
#私がテックリードになる理由
社会の構造課題を乗り越えて社会をよくしていきたい思い強めに、悩みながらPM業に従事しているので、そこを評価して頂けたことがとても嬉しかったです!
私は大学生の頃に NPO でインターンをした経験から、非営利セクターが IT の恩恵をもっと受けられたら社会はもっと良くなるはず、だからソフトウェアのものづくりができる人になろう! と思って IT 系職種を選びました。
業務外では個人のプロボノ活動で NPO まみれの日々を送り、社会を前に進め世の中をよくできる IT 技術力の使い道ってなんだろう? そもそも良い社会とは? などと考えながらシステムエンジニア→プロダクトマネージャー修行を続けてきました。
20 代中盤の頃は「趣味はプロボノです」が鉄板の自己紹介で職業的アイデンティティは若干迷子でしたが、最近はあらゆる業界の労働者の幸せに直結する価値を生み出すことはプロダクトマネジメントの専門性でこそ実行できる社会貢献なんじゃないかと思うに至りました。
「仕事と趣味」ではっきり分離していた職業的アイデンティティと NPO 経験を統合できたのは紛れもなく現職の業務経験のおかげです。
今は育児休業を頂いている最中ですが、プロダクトもオペレーションも営業などの顧客接点も守備範囲広めに、新規事業の立ち上げ・推進、プロダクトマネジメントに4年間従事してきました。徹底して本質的な課題解決にこだわるビジョナリーな代表との出会いは、ある意味でこれまでの人生の答え合わせになるような出来事だったように思えます。
しかし職種を変え、新規立ち上げの PM 実務を経験してみても、一向に自信を持てないままの自分がいました。
道なき道を進みながら自分を信じるって難しい
NPO 界隈の狭い世界を出てみると、わたしの志向性は超マイノリティで、なんといっても理解されない。プロボノという言葉もそれほど知られておらず、「プロボノ? 趣味でボランティア? へー、えらいねえ」という温度感。わかりやすく起業家志向であればまだ理解されやすいかもしれませんが、フォロワーシップとしての社会課題解決&価値創造志向はほとんど認知されず、素朴な社会貢献志向と非常に混同されやすいことが悩ましいです。
職種としてもわたしが新卒就職した 2013 年当時にプロダクトマネジメントという言葉はなくて現在のようにエンジニアが「何のために何をつくるか」の意思決定に参画するような世界観はほど遠く。アジャイルという言葉は出始めていたけれど、当時はまだまだ先鋭的かつ先進的な概念でしかなく、目の前の世界は御用聞き SIer 文化のど真ん中。
技術職として培ってきたものを大事にしたい思いもありました。自分がどんなコンディションでも正しい作業をすること、自分が仕事した結果を寸分の狂いもなく保証すること、ものづくりのエンドで矜持を持って、どこかの誰かの業務遂行を正しく支えること、職人肌のプログラマ・アーキテクトの先輩たちから学んできた仕事の基礎とマインドは、プロフェッショナルとして大事な財産だなあと思っています。
働く人に時間が生まれないと社会はよくならないだろうなと思う。
— さいとう (@ysaitoh_t) February 28, 2024
DXによる業務効率化やデジタル事業の収益化を促進して経済的な価値を生み出した先で、多くの人間が日々の暮らしに時間を取り戻せる。
ソフトウェアビジネスはそれができる業種だと思う。
NPO で IT をやりたいけど、私はこの技術を活用して働きたい。だから、NPO 支援業(DX 文脈・業務支援文脈など)もどこか遠く、そういう流れにも乗り切れなくて。IT x NPO 支援のマイナーな領域を進む同志的な方々との出会いには多く恵まれましたが、どうやら誰かのトレースでは自分のやりたいことには近づけなさそうだと気づき。そんな中で、やりたいことを明確に言葉にすることを避け続けてきた自分がいました。
自信を持てない最大の理由は自分自身の思い込みとバイアスだった
結局のところ、自己評価って自分で生み出すものです。どこからどう切り取っても半端な立ち位置の自分に、自信を持てない理由なんていくらでも見つけられました。でも、それってバイアスかかってるよね、とひとつずつ思い込みをはがしていけたら、最後に残ったのが冒頭の思いだった気がしています。
バイアスを外しながら自分に向き合うことはやっぱり一人では難しくて、わたしには考えるための時間と、文字にして飾らない考えを吐き出すことと、話してくれる誰かの存在が不可欠でした。
NPO つながりの同世代女性でキャリアコンサルタントの友人にまとまらない思いを壁打ちしてもらったこと、
同世代でソーシャルイノベーションど真ん中の仕事に邁進している先輩の話をクローズドな場で聞けたこと、
地域のゆるやかなコミュニティを支える土台としての社会関係資本の循環を支えるコーディネーター的な方々と縁の下の裏話的な雑談をたくさんしてこれたこと、
Waveleap のキャリア相談会イベントで、女性が自信を持ちづらい構造的な理由を理論的に説明してもらったうえで「で、あなたの目標は?」とアウトプットを働きかけてもらったこと、
どれも本当に有難い時間で、これらのどれもに背中を押されて、覚悟を持ってこの道を進むんだぞと自分に約束したような感覚でいます。
書いたり話したりしながら考える作業を始めてから、このツイートまで 6 ヶ月。個人用 Slack ワークスペースに書き散らした文字数は累積 1 万字に達しました。随分こじれてたなあ……
自分がゼロからビジネスを作ることはできないけど、事業収益を生みながら社会課題解決が言うだけじゃなく本当に実現するプロダクトづくりには、ユーザーをよく知り、現場解像度を高くものをつくることが不可欠。それをチームと一緒に実現できるPMでありたい。
— さいとう (@ysaitoh_t) February 28, 2024
この 10 年は、自分の問いをアップデートしながら模索し続けた日々。遠まわりだったかもしれませんが、ソフトウェアビジネスの業界構造と経営レイヤーから見たエンジニアリングの提供価値、狭義のソーシャルセクターに閉じないサステナビリティに関する社会的議論と合意と課題、既存の政府・企業セクターからは生まれえない市民参加と民主主義の理想と現実、そういったものをよく見て、解像度を高めて、各界隈の言語同士の接続できなさを言語化して、自分なりの世の中の見方を育てるために必要な時間だったのかなと思います。
じゃあこの世の中の見方をプロダクトマネージャーとしての腕前につなげるには何が必要? という職業的研鑽がこれからのテーマです。とはいえ手強い現実に翻弄されるばかりですし、二児の子育てとの両立もテーマですが、ここはポジティブにがんばりたい。
2020 年代、この時代のソフトウェアビジネスだからこそできること、プロダクトマネジメントの役割から社会に貢献できることに、引き続き向き合っていきたいなと思っているところです。
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