佐々木あさひ

理系と文系の間を右往左往する、23歳の大学院生です。 これまで免疫や神経生理の研究をし…

佐々木あさひ

理系と文系の間を右往左往する、23歳の大学院生です。 これまで免疫や神経生理の研究をしていましたが、ひょんなことから本当は文学に興味があるのではと思うようになり、現在学業をお休み中。 小説を中心に、本を読んだ感想をアップします!

最近の記事

SFショートショート(創作):「笑うバクテリア」

 獣、という言葉を思い起こさせる画像だった。鋭い犬歯に刺すような視線、伸びっぱなしの髪の毛。デスクのディスプレイに映し出された画像の女は、真四角で真っ白なオフィスとは対照的に、曲線的で薄汚れている。 今日の午後から、私はこの画像の女の取材に行かなくてはならなかった。普段、理知的な科学者を相手に取材しているから、この手の、何を考えているのかよく分からないような人に対する話の進め方が、いまいち判然としない。私はうっすらとした不安を覚えた。取材中、何気なく発した一言が彼女の逆鱗に触

    • 読書感想文:山下紘加さん「あくてえ」

      文藝夏季号掲載の、山下紘加さん「あくてえ」を読んだ感想を書きます。(ざっくばらんに) 母親の「きいちゃん」と共に、悪態ばかりつく九十歳のばばあの世話をしている、小説家志望の「ゆめ」の日常を描いた話。 母親のきいちゃんは、ばばあに対して特に怒りもせず、優しく接していますが、ゆめにとって悪態ばかりをつくばばあはとても憎らしく感じられます。自立して生きることもできないのに、きいちゃんや周囲の人に対する不当な不満が絶えないばばあと、ゆめはいつも言い争っています。 ゆめの父親は、

      • 文学フリマ広島に行ってきました!

        昨日4/17(日)に開催された、文学フリマ広島に参加してきました! 出店者ではなく、単に入場者としての参加です。 次回の東京の文学フリマには私も出店する予定ですので、そのための見学という感じで。。。私にとっては今回が初めての参加でした。 ・入場までの流れと会場の雰囲気 11時開場で、私は10:40くらいに現場に着いたのですが、その時点で入口には列ができていました。列の中の人も老若男女、多種多様で、私と同じように小説や詩歌に興味を持ってこのイベントに参加する人がいるのだな

        • 読書感想文:年森瑛さん「N/A」

          ※ネタバレを含みます。 今年の文學界新人賞受賞作、年森瑛さんの「N/A」を読んだ感想を書きたいと思います。 女子校に通う、「まどか」という女の子の物語です。まどかは、恋人や友人、家族などといった言葉でカテゴライズされない、「かけがえのない他人」という関係を求めていました。 「かけがえのない他人」とは、まさしく特別な、替えの効かない存在であり、誰々より愛している、とか、誰々より尊敬している、といったような、比較可能なあらゆる評価軸の外にいる、特異点のような存在です。 日常の

        SFショートショート(創作):「笑うバクテリア」

          noteはじめてみた

           不意に思い立って、noteを始めてみることにしました。本を読んだ感想とか、自分で書いている小説なんかを上げたいと思っています。この記事は、試しに文章がどのように表示されるか、テストする目的も兼ねて書いています。 「noteのヒント」って欄がエディタの画面の隣に出ています。初めてなので、詳しい操作説明なんかが書いているのかな? と思って「もっとも大事なこと」というセクションを見てみると、何よりも優先すべきことは、 「創作を楽しみ続けること」 「ずっと発表し続けること」

          noteはじめてみた