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昭和42年男のカルチャー日誌

2023年12月1日(金)夕刻、会社帰りに「東京国立近代美術館:生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」を来館鑑賞。
個人的には、それ程、興味のあるアーティストではありません。一本調子な作風で、そんなに好きな作品もシンパシーを感じるキャラクターの御仁でも無いため、「時間があれば行こうかな?」位の心持ちでした。


金曜夕方で特段予定も無い中、お隣の「竹橋」が最寄り駅でもあったため、来館した次第です。そもそも人気アーティストなうえ、開催期限が12月3日(日)までだったことも手伝ってか、相当な混雑振りでした。
「棟方志功」の作品は、中野にある「陸蒸気」屋さんで数点見かけた朧げな記憶があります。ここは青森由来の美味しい食材も売りの炉端焼き屋さん。青森産の武骨な感じの食器や雑貨と並んで彼の作品も展示されてたと思います(このお店はお薦めです)。

棟方志功の有名な言葉で「わだばゴッホになる」がありますが、変人ゴッホに比べると随分処世術に長けた御仁との印象は強くありました。そもそも、ゴッホが不器用過ぎたうえに、棟方志功が活躍した時期がコンテンポラリーアートが注目を浴び始めたタイミングであり、彼が特に計算高かった訳ではないと思います。ただ、そういう時代だっただけでしょう、多分。
個人的に印象に残ったのは、彼の作品としては珍しく版画でなく洋画です。


印象派っぽいと言えば印象派っぽい作風で嫌いではないです。洋画の道に進んでも、相応に成功したとは思います。しかし、版画に進んだのは、彼なりの計算があったのかもしれません。吉田博の作品が海外で評価されてもいて「日本アート=浮世絵=版画」との連想もし易く、結果的に彼の作品の評価を海外で上げるベストな選択だったのだと思います。

民芸運動の拡がりも上手く使って、柳宗悦との交流も深め、画壇での存在感をどんどん増し、かっこたる人気を得ていきます。

戦後、海外渡航により、異文化の影響もうけた作品も紹介されていました。

自画像もニューヨークのアーティスト受けしそうな感じです。

後半エリア、有名な彼の版画作成の様子を録画した動画が流れていました。考えてみれば、アンディー・ウォフォールやジャクソン・ポロック等に代表されるコンテンポラリーアーティストによるアクション・ペインティングとの類似点もあり、棟方の流行をキッチリ捉えるセンスとセルフプロディース力を感じました。

渡欧時にゴッホ兄弟の墓石を見舞った作品もあった様で、「わだばゴッホになる」って言葉もまんざら誇張ではなかったのだなと思わなかったり思わなかったり。

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