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2020年、価値観にゆさぶりをかけてくれた10冊の大切な本たち

2020年(とくに後半)はたくさん本を読んだ年でした。「知り合いにおすすめされた本はとにかく買う」「買うかどうか迷った本は買ってから判断する」の2つのマイルールを素直に守った結果、Amazonの注文履歴がすごいことになりました。

大切なことは歴史から学ぶべきだし、知らなかったことは新しく学ぶべき。本を読んだことで、新しいことへの好奇心が高まり、何より自分の至らなさ・不勉強さを知ることができて、いい年だったなと思います。このnoteでは、2020年に読んでよかった本をまとめて紹介します。

はみだしの人類学

自分の色眼鏡を捨て、現地の人と同じ視点から世界を見る。文化人類学は、そうやって自分とは違う世界を内側から理解しようとする学問なのです。
自分たちの知識や枠組みを相手に押しつけず、相手と同じ場に身をおき、相手から学ぼうとする姿勢で「わたし」を開いておく。すると、その「つながり」はおのずと互いを変容させていく。その変容こそが「学び」なのだとインゴルドは言います。

「学びのきほん」シリーズの他の本を読んだことがきっかけで、面白そうだなと思って買ったのがこの本でした。自分たちとは違う文化や社会、思想に対して、自分を開きつながっていくアプローチ方法を知れたことが、いちばんの学びです。この本をきっかけに「文化人類学」に興味がわき、筆者の松村さんが書いた本を何冊か買いました。面白い本は、新しい勉強欲を引き出してくれます。

13歳からのアート思考

今思えば、「鑑賞」のためというよりも、作品情報と実物を照らし合わせる「確認作業」のために美術館に行っていたようなものです。
ビジネスだろうと学問だろうと人生だろうと、こうして「自分のものの見方」を持てる人こそが、結果を出したり、幸せを手にしたりしているのではないでしょうか?

『読書の秋』イベントで、編集者の林さんがおすすめしていたので買った本です。この本では、アートを植物に例えて、「アーティスト」と「花職人」の2つの立場が登場します。花職人とは、種や根のない花だけつくる人たちのこと。読みながら、自分は花職人じゃないか! とドキッとしました。これまで「“本当に” 合っているのかな」「筆者が言いたいことを “きちんと” くみ取れているかな」のように、間違えないこと = よいことだと考えていたのです。

この本を読み終えて、アートへのハードルが下がり、事実や意見を言葉にすることを恐れないようにしようと勇気をもらえました。

聖なるズー

「ズーへの批判は、異種への共感という、大切な感覚を批判しているんだよ。誰を愛するか、なにを愛するか。そんなことについて、他人に干渉されるべきじゃない」
問題をすっきりさせる鍵は、やはり対等性にある。対等性とは、相手の生命やそこに含まれるすべての側面を自分と同じように尊重することにほかならない。対等性は、動物や子どもを性的対象と想定する性行為のみに問われるのではなく、大人同士のセックスでも必要とされるものだ。

この本も『読書の秋』イベントきっかけで、編集者の今野さんが挙げていたのを見て買った本です。「動物性愛」というワードを聞いたことがなかったので、話題の本として紹介されていたのになんとなく敬遠していました。この本を読み進めながら、敬遠していた自分を悔いました。関係ないから知らないままにするのではなく、たとえ共感できなくても理解しようと歩み寄ることの大事さをこの本から学びました。

ネット興亡記

Amazonブラックフライデーのタイミングで、前からほしかったこともありえいやで買いました。760ページの大ボリュームですが、ぐいぐい引きつけられ、いつの間にか終わってしまったほど。

サイバーエージェント、ヤフー、楽天など、名だたる会社が成長する過程で、関わる人たちが何を考え、何を行動し、その裏で何が画策されていたのかをストーリーとして読めるので、学びがたくさんありました。あと、1章で登場する藤田さんが他の章で登場したりと、登場人物が網目状に関わり合いながら進んでいくので、これまで点でしか知らなかったことが線でつながっていくのも面白かったです。

「ほとんどない」 ことにされている側から見た社会の話を。

強い者と弱い者が接する場所では何らかの暴力行為が発生しやすいことを大前提として、システムを考えなくてはいけないと思う。
気を付けよう、いつの間にか自分は強者側だった、ということは誰にでも起こり得る。

cakesでの幡野さんの記事をきっかけに、自分ももっと勉強しないといけないと感じ、最初に手に取ったのが小川さんの本でした。読み終わったとき、いかに自分がこれまで知らなかったかを痛感しました。以前はなかったんじゃない、“たくさんあった” のに “ほとんどなかった” ことにされていたのだ、と。声に出せずに世に出てこれなかったたくさんの声が、今やっとメディアを通して発せられているのだと気づけた本です。まだまだ学ぶべきことがたくさんあります。

手の倫理

哲学や倫理学のような学問の領域に限らず、社会生活のさまざまな場面で、私たちはものごとを一般化して、抽象化して捉えてしまいがちです。「人間」「身体」「他者」という言葉。ほんとうは、そんなものは存在しません。それぞれの人間は違うし、それぞれの身体は違うし、それぞれの他者は違っています。
このことは、裏を返せば、「目の前にいるこの人には、必ず自分には見えていない側面がある」という前提で人と接する必要があるということでしょう。それは配慮というよりむしろ敬意の問題です。

伊藤さんの本は、『読書の秋』コンテストの対象本である『目の見えない人は世界をどう見ているのか』を読んだことがきっかけでこの本に出会いました。手(触覚)は、実は、子育て、教育、性愛、スポーツなど、思っていた以上にさまざまな場面で関係するのだと気づかされました。「さわる」と「ふれる」について考えることは、ゆくゆくは人間関係を考えることにつながるのだと、視野が広がる本です。

大人のための国語ゼミ

文章を書くとき、自分では内容が分かっている。しかし、読む人はそうではない。ここに、文章を書くときの落とし穴がある。書き手にとっては歩き慣れた道だろうが、読み手にとってははじめての道なのである。だから、道しるべを立ててあげなければいけない。文章における道しるべ、それが、接続表現なのである。

自分の文章を誤解なく届けるためにはどうすればいいのだろうかと思い、過去に野矢さんの「論理トレーニング101題」を解いたことがきっかけで手に取りました。“日本語としては読めるけど読みづらい” 文章にならないように、接続表現を意識したいなと気づけました。何度も読み直して解き直して、自分の文章の血や肉に昇華させたいと思います。

ヘンテコノミクス

「この本は面白いよ」と何人からかおすすめされたので買いました。まんが形式なので、するすると読み進められます。僕も含め人間って合理的に考えて行動していると思いきや、事前情報やヒューリスティクスのせいで実は非合理的な判断をしていることを楽しく学べます。

いきなり難しい本から入るのではなく、初学者に向いているような本から入ると、自分で面白さに気がつき意欲的に学ぼうという気持ちになります。この本から楽しく行動経済学のエッセンスを学べてよかったです。人間のこと(自分のこと)がわかったような気持ちになれます。

行動を変えるデザイン

行動するかしないか、という決定は、毎回、特定の文脈のもとで生じる。その文脈は、ユーザー、環境、行動の3つからなる。まず、実行の意思決定は、ユーザー自身の背景、つまり、経歴、パーソナリティ、知識、その他の特性を反映する。また、環境、つまり、プロダクトの動作、周囲の状況、友人や仲間、行動した場合に外部から受けるリワード(もしくは罰)などの影響も受ける。そして、ユーザーがとる行動自体の難易度、行動の組み合わせ、必要な関連作業などによっても変化する。

深津さんがこの本の帯を書たということで買った本です。行動経済学に興味をもちはじめたタイミングだったので、それをプロダクトデザインから読み解く本。デザインのあれこれではなく、行動させるためにどういうことを考えてデザインをするといいのかがまとまってるので、非デザイナーの自分でも面白く読めました。参考書として、すぐに手に取れる場所に置いています。

※ エッセンスがたくさんあったので、読書用のNotionページにポイントをまとめました。

問いのデザイン

問いは、それに答えようとする過程で、別の新しい問いを生み出します。何かがわかると、別の何かがわからなくなるのが、人間の理解の本質だからです。

「行動を変えるデザイン」を読み終えたタイミングで手に取ったのがこの本。読みながら何か通ずるところがあるなと感じていたところ、翻訳チームの相島さんが下記(↓)で詳しく解説していました。

自分自身、チーム、社会など、成果を出したいときにどういう問いを立てれば前に進めるか、問いを作成するポイント、問題を捉える思考法など、問いに関するエッセンスがまとまっています。まだ1度しか読み切っていないけど、参考書のように来年も常に携帯したい本です。

※ エッセンスがたくさんあったので、読書用のNotionページにポイントをまとめました。

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以上です!

来年もたくさん本を読み、日常からアイデアを見つけ、生活を楽しむ工夫を続けようと思います。

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